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ダメなときほど、自分が出来ることに振り切る。

 私が新人の頃、お客様のところに常駐し、一人で仕事するというシチュエーションがあった。もう1度書くけど、新人で、一人で、お客様常駐ね。そんな時代もあったんだ。(いまはどうなのでしょう?)

 なので、ずいぶんお客様に育ててもらって、自分の会社の先輩より、お客様のリーダーの方がよっぽど先輩で、頼もしく、憧れだった。

 もちろん、新人なので大きなミスもある。はじめて、大きなミス(本番不具合)を起こしたとき、それはもう冷や汗垂らしまくり、一人だし。体全体が雑巾のように絞られるような感覚に襲われた。声を出すのも一苦労。

 当然、お客様のリーダーとどうするか話し合うわけだけど、その方が会ってみるととっても涼しい顔をしている。私はそれが却って怖かった。自分のことを呆れてしまわれたのか、と。

 淡々と、いつもどおりの様子で、対処について話し合い、結局、別の会社(顧客でも私の会社でもない)のベテランの人を巻き込んで、不具合を解消することになった。それがまた情けないやらで。無力感でいっぱいになって、余計に声がでなくなった。

 その様子(なんか緊張してる?)にはじめて気づいたようで、その方は最後にこういった。

「こういうときほど、自分の出来ることはなんだろうって考えて、自分の出来ることをやってくださいね。」

 とても穏やかな様子で話されるのだった。この一言で、切り替わった。もう、ここで雑巾みたいになっている場合ではない、余計に迷惑がかかると思って、自分が出来ることに目を向け集中したのだった。結果、それほど大きな影響は出ず、あっけなく問題は収束した。

 しくじったな、ミスったな、と感じるとき、ふつう萎縮する。たいていその仕事の張本人なわけで、事情などを誰よりも分かっている。そんな人が、頭白紙になって、思考停止していると、周りに余計に影響を与えてしまう。

 だから、そういう時ほど、自分のできることは何なのか冷静に捉え、自分のできることに振り切るべきなのだ。出来ないことは、他の人に助けてもらい切る。

 この時の会話は、今でも忘れられなくて。今の自分の仕事に新しく関わってくれた人に時折、伝えているようにしている。つまり、そういうタイミングがやっぱり、あるってことですね。

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