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通過してしまう前にとどめておくための短い日記









毎日生活してるって感じ。


うまく言えないけれど、夫もいて子どももいて三食みんなでお家でご飯食べて、寝て笑って毎日を生きている。

家にいても季節の変化は感じるし、最近は外の空気はあったかくて入ってくる風は涼しくて、そのバランスがとても気持ちいい。

近くで鳥の鳴く声が聞こえる。それから水が流れるような、さらさらと軽くて淡い音。
この近くには川もせせらぎもなにもないのになんだろう、どこかの家の水を撒く音? ホースか何かで? と不思議に思っていたけれど、よく耳を凝らすとそれは木々の音だった。風が木を小さく動かして、枝がやさしくゆれる音。

静かだけれどなにかが常に動いていて、ざわざわとしている窓の外側。

それから手をぎゅっと握りしめて、隣でお昼寝している我が子を見る。眠っている時はより一層ほっぺが真っ赤で、やわらかくてふにふにしている。
一生懸命手で掴んで食べるから、洗っても洗っても手のひらからはやんわりとごはんのにおいがする。
ひじをすこし曲げたバンザイの姿勢で、足をがしっと広げて、ぎゅっと険しく、むずかしい顔をしている。まだ小さいのに、堂々とした姿勢で。
ふいに声を出して小さく笑う。どんな夢をみているんだろう。

この日々の中でのこの毎日を忘れたくないと思った。今の瞬間をいつまでも憶えていたい。やわらかい肌の感触も、甘いにおいも、両手で抱き留められる限りのすべてを。








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