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やっと、めんそーれ。#ひとり旅エッセイ

 第3話にして、旅先に着く人。
 どうも、コーシです。

 前日のポカポカ陽気が幻かのように、白い息を撒き散らしながら、成田空港に足を踏み入れる。寝起きの成田空港は私と違って目覚めが良い。なんかみんなテキパキしている。

 流れるようにチェックインを済ませ、保安検査場を通過する。
 保安検査場で近くにいたご家族のお父様が「あれ?チケットどこだ?」と言った。即座にさりげなく自分も当たりを見回す。「あぁあったわ。」お父様の声。
 思わず「よかったぁ。やめてくれよ。」と家族のような反応をしてしまう。その反応を娘さんに直視されていた。小走りで保安検査場を後にする

 ゲート付近でエッセイを書いているとあっという間に搭乗時間になった。午前8時。私はいよいよ東京から飛び立つ。

 3人がけの真ん中の席で両脇はおそらく同世代くらいの女性だった。ふとぜ席のポケットに入っていた隣の人のケータイ画面が見えてしまい、隣の女性がエルビス・プレスリーを聴いていることに気づいてしまう。
 うーわまじかぁ、めっちゃ話したい。人のケータイに表示されるエルビス・プレスリーをおそらく初めて見た。おそらく俺は同世代の中で最も『Little less conversation』の魅力を語れる人間だ。私はあの曲を崇めている。

 そんな気持ちをなんとか押し殺し、『ブラッシュアップライフ』を再生する。これさえ見始めて終えば、こっちのもの。大感動している間にいよいよ沖縄到着である。

 ちなみにこのフライト中8回ほど、5秒だけチケットを無くしては見つけて安堵するということを繰り返した。こういうのって”ひとりの時あるある”じゃないですか?

 エルビス同世代に勝手に別れを告げ、那覇空港に降りる。あっったか!!!
 想像を絶する暖かさだった。ここ数年で1番レベルのギャンブル魂で持ってくる服を全部半袖にしたのだが、大穴的中。これは間違いなく、良い旅になります。

 そして出迎えてくれたこの看板。

間違いなく、ここは沖縄。

 私は「めんそーれえええ!!!」と叫んだ。もちろん心の中で

 割とスムーズに預けた荷物を受け取り、レンタカー屋さんと合流。バンに乗り込みレンタカー屋さんに向かう。
 天気が理想的すぎる。澄み切った青空に、水彩画の様な雲がぽんぽんと配置されている。雨男の私はあまりの歓迎ムードに若干引くレベルだった。「こんな俺を沖縄が晴れで迎えてくれるもんか。」ともはや卑屈だった。

 バンの窓から流れる景色は、落ち着く雰囲気と馴染みの無さを併せ持っていて不思議な感覚だった。建物が全部、かっこいい。もっと似合った言葉がありそうだけれど、なかなか言語化しづらい。
 どれも太陽との関係性が感じられる建物なのだ。日焼けした白い壁、日を遮断したいコンクリート、燃えるような赤。どの建物も、自然の中で不自然を感じさせないようなイメージ

 ちょっと失礼かもしれないが、子供の頃に東京で赤と白の鉄塔を見かけると東京タワーだと信じていた様に、赤い建物を見ると全て首里城を連想してしまう。それくらい、赤い建物に私は馴染みが無くて、興味深くて、じっくりと眺めていたい。

 何気なくその辺に生えている植物。名前も知らない。

 レンタカー屋さんに着いた。バンに乗っていたお客さんのなかでは1番早く手続きを済ませたのだが、車に案内してもらえたのはレンタカー屋さんに一人になって5分後くらいだった。私のそういう所は東京にいようと沖縄にいようと変わらない。むしろこれくらいがちょうど良い。
 なんてったってその間、ずっと私はソーキそばを調べていた。

 そう、沖縄一発目。私は人生初のソーキそばを食らいに行く。

 
 フクダコーシ しそとツナ缶。
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