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一見無駄な超心理学研究、でも‥

「私は超常現象を研究しています」と公言する輩が現れた。

さあ、あなたはどうします?

前のめりで耳を傾けるでしょうか、それとも引いて身構えるでしょうか?

私の経験ではたいていそのどちらかになりますね、中間はあまりいない。


荒唐無稽?上等だよ

超常現象と聞いただけでオカルトのたぐいと同列視、マッドサイエンティスト扱い。

‥そんな経験は数知れず、というかもう慣れた(笑)。

おかげ様で内心ではバカにしながらの同情含みの愛想笑いと、公然とバカにした半笑いの区別が簡単にできるようになりましたよ。

でもね、歴史的に見ると一見荒唐無稽な研究が、思いのほか科学の発展に貢献してもいるんですよ。

例えば、発想の突拍子もない大転換のことをよく「コペルニクス的転換」などと言いますよね。

地球が宇宙の中心にデンと構えて動かず、天空に見える星々が総じて地球の周りを周回しているとする「天動説」。

現代に生きる私たちには想像しづらいですが、当時はこれが支配層・知識層を支配していたキリスト教的世界観の教えるところであり、疑わざるべき世間一般の常識中の常識でした。

そしてこの宇宙観に抗うコペルニクスの学説は、一石を投じたどころかまさに荒唐無稽、あり得ない暴論だったのです。

少なくとも最初のうちは、ね。

今どうなっているか、は言わずもがな。

超常現象研究に見る新境地の萌芽

同じようなことが、超常現象や生まれ変わりの研究についても言えるのではないかと思っています。

私は超心理物理学者を名乗っていますが、超心理学というのは超常現象の中でも人の認知活動に絡む現象を扱う学問で、対象となるのはテレパシー・透視・念力などなど。

怪しさ振り切ってるって?わかるわかる(笑)。

でも実際、科学的手法を用いた研究は世界的に進行中であり、そのような現象が本当に存在するのか見極めようという作業は続いています。

私は物理学者ですので現象論というよりは、それらの現象がもし実在のものだとした場合その背後にどのような物理的過程が潜んでいるのかという、メカニズムの問題を研究しています。

神経学者ハインズは、疑似科学や超常現象の研究の意義について、1)ひょっとしたら本当かも知れない、2)間違いであるなら間違いであることを白日の下にさらすことに意義がある、3)超常現象の研究と心理学的問題が結びつくことがある、4)疑似科学を安易に受け入れることの危険性を明らかにできる、の四つを挙げています。
 
これについては拙ブログ「疑似科学を放置すべきでない理由」をご覧ください。

失敗研究は無駄?

でもひょっとしたら、超心理現象も生まれ変わりも存在しませんでした、という最終結論でケリがつくかも知れない。

その時、では超心理学研究は全く無駄だったのかが問われることになるのでしょうが、私はそれでも無駄とはならないと思います。
 
それにより、疑似科学を見極める科学視点が養われることが期待できるからです。

一例としては、科学視点が子供の夢を奪うというような意見が専門家からも出てきます。

とある社会心理学者の件について、拙ブログ「科学は子供の夢の敵なのか?」

誤認識に基づく思考が、デマ拡散や高額商材売り付け、効かない医療の蔓延などにつながった事実にも目を向ける必要があります。

そのことを殊更に無視して、あらゆる体験談を鵜呑みにすることをロマンとか夢で片づけるのは無意味、いや危険ですらある。

超心理学の研究は、一見科学のように見えて実は科学とは縁のない、私たちを誤った認識に導く疑似科学を見極める、「科学リテラシー」の醸成に大きく役立つのです。

そして、複雑なことに超心理学の研究者や医師といった専門性の高い職種の人ですらも、「物質だけを扱う現代科学を否定し非物質的な世界に目を向けるべき」などとのたまい、安易な物質論に乗っかって科学思考を否定する始末。
 
これについては拙ブログ「物質世界を越えた見えない世界?」で批判しています。
 
疑似科学信奉は一般に、私たちの人生の大切な時間、財産、そして命をも奪い得るものです。
 
その意味でも超心理学の研究には意義があるのです。

#探究学習がすき

○新刊 脳は心を創らない ー左脳で理解する「あの世」ー
(つむぎ書房、2023年)
心の源は脳にあらずとする心身二元論と唯物論を統合する新説、「PF理論」のやさしい解説。テレパシーやミクロ念力などの超心理現象も物理学の範疇に。実証性を重視し、科学思考とは何か、その重要性をトコトン追求しつつ超心理現象に挑む、未だかつてない試み。「波動を整えれば病気は治る。」こんな「量子力学」に納得しちゃう人、この本を読んだ方が良いかも!?あなたの時間・お金・命を奪うエセ科学の魔の手から自分を救うクリティカルシンキング七ヶ条。本書により科学力も鍛えられちゃう。(概要より)

○ Youtubeチャンネル「見えない世界の科学研究会」
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