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改正湯に行ってきた話


銭湯特区と言われる東京随一の銭湯スポットが大田区だ。
その数実に37軒(2019/7/23「大田区連合浴場会」より)。都内最多と言われている。

特に有名なのは蒲田温泉だ。
大田区一帯に湧き出る黒湯と呼ばれる温泉を使用した、とにかく温度の高い激熱風呂を所有しているのが蒲田温泉。
その大きなくたびれた看板と江戸っ子感のある熱さに人気がやまない。

黒湯があるのも有名だ。
黒湯とは伊豆や熱海といった温泉地で使われるいわゆる火山性の温泉とは違い、何万年前の地層の中に眠る植物が蓄積、分解された「フミン酸」が地下水に溶け出している海洋性の温泉を指す。
主に保湿や保温機能に優れているらしい。
大田区をはじめ、世田谷区や品川区、江戸川区にも黒湯のお風呂があるぞ。

そりゃあ当然大田区に銭湯がいっぱいできるわけだ。

しかも大田区は、でかい。
まず区がでかいし
もともと蒲田の地域は空襲で焼け野原になってから再建してるから、おそらく暮らしに特化した土地の使い方をしたんだろう。広い土地に広い銭湯ができている。

住むなら大田区だ。
銭湯を味わいつくしたら引っ越しだな。

とはいえ我が家からとんでもなく距離のある地のため、大田区なんぞ滅多に足を運ばない。
今回はたまたま早い時間に、六本木で、ネタを作る必要が激烈あるわけでもない状態で暇になったので、思い切って行ってきた。

風呂友のもみあげ百貨店におすすめを聞く。

「改正湯が金魚。桜館は露天が日替わりだから注意した方がいいよ。」

こんなに簡潔で完璧な情報もまぁない。

六本木から渋谷へ歩き
渋谷から中目、中目から自由が丘、自由が丘から蒲田、蒲田から蓮沼へ。
遠すぎる。
蒲田で乗り換えるときに、小さい電車を見つけた瞬間、遠くに行くんだなと実感した。形見みた時と同じ寂寥。


そうして改正湯へ向かうと決めたのが14:50。
これは。
もしや。

15:00開店にかけつけて、一番風呂ができるのでは!!!?????
ふあぁっ!!!???

夏はじまりたての蒸し暑さをもろともせずに改正湯へ早歩き。
背の低い建物たち。
はじめてみる日本工学院。

到着。
時刻は15:06。

改正湯。
一見すると区役所のような外観。
大通りから2分程度小道を歩いて出てくるそれは清潔感のある看板とのぼりを見せつけてくる。外観だけでわかる規模のでかさと、手の込みよう。入口の上に鯉と金魚のマーク。

入る。
危うくおじいちゃんに抜かれそうになったので慌てる。
すぐに出てくるフロントにはおばちゃん。フロントの奥にはわりと大き目の休憩スペースがある。テレビもでかいし、自販機もあるし、椅子も満足な数用意されている。風呂雑誌が充実しているのは、嬉しいんだよなぁ。

左の男湯へ。

いや!!!!
え!!!!

すでに脱衣所には2人の男性が!!!!!

これから入るのか!?抜けるか今から!?

はっ!!

すでに浴室には大勢の男性が!!!!
えっ!!!!
15時開店は間違いないよね!?!?!?
うわぁぁぁ。

へこみながら脱衣所を味わう。
脱衣所は外観通りのきれいさ。全体的に濃い茶色の木目調でうまくビル館を消している。大きいサイズのロッカーも用意してあるので若手芸人は助かります。
扇風機もあるし、ドライヤーは無料。あと鏡がすっごく綺麗。違和感を感じるくらいしずく一つなかった。
天井にはひし形に木が施されており、真ん中には円形の梅の花の絵がある。梅の花は大田区の花としてゆかりがあるらしく、歌川広重も大田区の梅を描いたそう。こういうのがわかるとこだわってるなぁって好きになっちゃう。

いざ浴室へ。

もう一番風呂どころか混んでるもの。
なんだい。

まずは体を洗うべく椅子をとる。
カランが多いな。
これだけ混むならそりゃそうか。
そう思いつつ真ん中にあるカランの壁を見ると、入口にあったものと同じ鯉と金魚のタイル絵が。これはどうやらシンボルだな。
おじいちゃんが多い中におじさんもちらほら。
風呂たくやくらいの年齢の人はいない。
俺がホープ。

ボディソープやシャンプー類はないものの、シャワーの内一つだけ、「染髪用」があった。初めて見た。
普通染髪は禁止されている。
あえて逆をつこうというのか。にくいね。

さぁ、浴槽へ。

ナイスな富士山の壁画に目を奪われ、浴槽へ目を落とそうとすると、その壁画と浴槽の間に例の金魚が。
なんと壁にながーく水槽が埋め込まれており、中では多数の金魚と鯉が悠々と泳いでいるのである。
これは、子供が大騒ぎするな。
大人は、水に揺れる金魚たちでリラックスできてしまうな。
金魚と鯉なわけだ。

浴槽は一番左にシルク風呂。そこから右はすべて黒湯の温泉だ。
シルク風呂はもちろんいい。もちろんいいんだ。一番端にあるから浴室全体をみられるし、温度設定が低いのでいつまでもいられる。

あ!!
富士山の書いてある反対側、入口の上にもちゃんと壁画をつけているぞ!!!!!!
僕はこういうワンアイデアあるものに弱い!!!
くじゃくの絵!!!
よくみたらその隣のガラスにも魚や海藻の絵!!!あますことないな!!

目を奪われ終わって、隣のお湯へ。ここ改正湯の目玉は黒湯炭酸泉という、黒湯に炭酸を混ぜた新しいお湯なのだ。これ新しいんですよみなさん。
ただでさえ保湿保温機能のある黒湯に炭酸を混ぜることによって、皮膚の表面から吸収しやすくなるんですよ。カツカレーみたいな。最悪なにこのたとえ。
入る。

熱いし、なんか効いてる気がする。

まぁ入ってる間なんてこんなもんですよ。

全お湯に入る。全身マッサージもあれば、水風呂すら黒湯。
水風呂あるなら永遠に入れるじゃないの。と思ったけれども、水風呂が一人サイズで少し温度が高めだったので早々に撤退。
僕が入ってから出るまでずっと体洗ってるおじいちゃんいた。めっちゃ汚いんだろうな。明日まで洗って、明日の朝から体汚して、明日の昼からまた体洗って。曲芸師にでもなればいいのに。


出る。
さっき買ったアルプスの天然水、梅を飲む。
梅ってどうして風呂上りの水分補給に合うんだろうか。
黒酢とか、レモン系も。
酸がとりたくなるのかなぁ汗かくと。誰か教えて。

時間はまだ15:40。
まだまだいけるぞ。

一度このでかいフロントの隅っこで銭湯雑誌を読んで、対策会議だ。
次はどこの風呂に行こうか。
せっかくだしなぁ。

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