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日本とシンガポールを考える

2013年に放送された「知られざる東京改造計画」という番組では、未来に向けて進む東京の変貌ぶりを紹介していました。

◆2013年〜2020年の東京の変化

東京駅では、日本郵便が東京中央郵便局を再開発して「KITTE」を誕生させました。渋谷駅では、東急東横線と副都心線を直通する運転がスタートしました。

2013年時点で東京が変貌していることがわかります。

特に、この番組で特集されていた新橋から虎ノ門を結ぶ「東京シャンゼリゼ通り計画」はオリンピックがある2020年に向けて進んでいる計画です。現在ではその姿を垣間見ることができます。

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上の写真が計画写真で、下の写真は現在の写真です。見比べてみると奥の建物は順調に建築が進んでいるようですが、観光客が歩いている様子はありません。私はよくこの辺りを歩くのですが、ビジネスマンが多く働いており、イメージ図のような観光客が歩いている様子はまだ見受けられません。パリのシャンゼリゼ通りにはつい歩きたくなる雰囲気が漂っているのですが、それに比べればまだまだという印象です。

でも、そもそもなぜ日本はこういった開発をしているのでしょうか?

◆東京再開発の理由は、世界から労働人口を集めるため

日本は少子化によって労働人口が減少の一途を辿っています。そのため、世界各地から労働力を確保する必要があります。欧米各国からアジアの拠点として東京が選ばれなくてはならないのです。

しかし、国際都市としてアジア各国の都市が急激に力をつけてきています。

都市総合ランキングによると、2008年から2012年にかけて、シンガポールは11位から5位に躍進、ソウルは13位から6位となっています。東京はこの間変わらずに4位のままでした。

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上の図は最新の都市総合力ランキングの結果です。東京は2011年から一時は力を弱めたものの、そこから持ち直して現在では3位にまで成長しています。一方でシンガポールは着々と力をつけてきていることがわかります。

シンガポールの持続的成長の秘密とは?過去と今のそれぞれ見ていきましょう。

◆シンガポールの強みとは(2013年時点)

シンガポール政府はMICEを一番大事な政策として捉えています。

MICEとは、M(Meeting:会議・研修セミナー)、I(Incentive:招待・優待ツアー)、C(Convention:大会・学会・国際会議)、E(Exhibition:展示会)の略称です。

つまり、人を集めさせる仕組みや施設がないと都市は活力が出ないと考えています。シンガポール政府はこのMICEを意識することで、世界の国際会議を多く呼び込むことに成功しているのです。

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2011年時点で、シンガポールは919件の会議を実施しているのに対して、東京は153件です。そして驚くべきことに、2018年時点でもシンガポールは1,238件の会議を実施しているように継続して魅力的な都市であり続けているのです。ちなみに北朝鮮とアメリカの会談が実現したのもシンガポールです。

次は現在のシンガポールについてみていきます。

◆シンガポールの強みとは?(2018年時点)

2018年の番組でシンガポールは国が丸ごと実験場だと紹介していました。7キロ未満なら許可なく飛ばすことができるドローン、無人化が進む世界一の空港、自動販売機形式で購入できる高級車、公道で実験している自動運転タクシー・・・。日本よりもずっと進んでいる印象を受けます。

政府の担当者は「シンガポールで発明されなくても良い。海外から持ち込んだ技術を一番最初に実現する場所にしたい。」と言います。

シンガポールは1965年に建国されて以来、ずっと一党独裁国家です。企業と国の結びつきは極めて強く、企業は国に実験内容を相談して実施することがあるそうです。面積も小さいシンガポールにとっては必然的に世界と戦わなくてはならない。国際競争力こそシンガポールが生き残るために必要不可欠なのです。

そんなシンガポールに日本企業は進出しているのでしょうか?

◆日本企業の変わった進出方法

シンガポールは多民族国家です。だからシンガポールでの成功はそのままアジア諸国への進出の足がかりとなるのです。実際、様々な日本企業がシンガポールに進出しています。

ヘアカットのQBハウスは1坪1席の「シェル型店舗」で進出しました。日本では、美容師法で美容師の中に待合室を作らなくてはならないため実現できませんでした。ここから香港や台湾にも進出しています。

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日本米おにぎり「サムライス」は米の輸入関税がゼロなことに目をつけて、シンガポールに進出しました。

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逆にシンガポールでの成功から日本を狙う企業はあるのか?

◆シンガポールから日本を狙うカジノ

アメリカのラスベガスサンズはマリーナベイサンズで大成功を収めました。その成功を活かして日本進出を狙っています。既に計画は進んでおり、日本人ディーラーの研修も行なっているほどです。

企業が世界進出するときはその国の成功体験を他国にも活かしたいと考えるものです。シンガポールはそんな企業の想いを捉え、自ら実験国となることでアジアで急速に成長してきました。少し先の未来を目指すシンガポールからは良いこと悪いことの2面を学ぶことができるかもしれませんね。

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