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『本屋入門~双子のジャンク堂編~』

 文学フリマでクロフネ3世さんのブースでなんとなく気になって買ってみた。『本屋入門 あしたから本屋さん』という企画をまとめたもので、期間限定の本屋を開くための講義と実践の記録集といったところ。

 個人的に、最近の本屋のことが好きになれず、むしろ憎んでさえいるという人間からすると、「ぼくがかんがえたさいきょうのほんや」を企画するというのは正直あまり好意的になれない。僕は(たとえ取次流通に乗ったままの本が並べられたのだとしても)あくまで郊外の駅前にあるような本屋さんのことが好きなのだ。ポップが林立するフェアとか押し付けがましく感じるし、B&Bはなんだか居心地が悪い。そんな中、唯一キュレーション系の書店で好感が持てたのは京都のガケ書房で、本をできるだけ面陳にした上で、それぞれの関連性と非関連性が上手く設計されていた。が、あれも店主と自分の好みがシンクロしただけなのかもしれない。

 さて、この『本屋入門』では概況や実際の現場の人間の座学を受けた後に「誤配」をテーマにした企画を実践する。講師(?)を務めた仲俣暁生氏が本屋の本質は「本を売ること」ではなく、「本があることによって魅力的な人が集まる場所」であるのではないか、と言ったそうだが、これはその通りだろう。この本の中では公開企画会議のホワイトボードのメモがあるのだが、その中では「2位選書」が一番おもしろそうだな、と思った。

 ところで、この本はB4サイズ14Pというサイズになっている。前述のメモと、当日の『双子のジャンク堂』の店内図があるから、このサイズにしたのかもしれないが、個人的には本好きが作った“同人誌”には思えなかった。自分ならばB5以下の判型にしただろう。まぁ、ここは予算との相談になるのだけど。

 と、書き連ねて、つくづく自分が「本屋」あるいは「本屋好き」のことが嫌いになっているんだなぁ、と再認識させられた。僕が本屋愛を取り戻す日は果たしてくるのだろうか。読み終わった後にしばらく考えこまざるを得なかった。

http://bookshopseminar.tumblr.com/

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