【BCIで脊髄損傷の回復を】脊髄損傷の回復に脳波コントロールで刺激を送るぞ

Gert-Jan Oskamは、EPFLの研究者が開発した脊髄刺激および脳コンピューターインターフェースシステムにより、1日に200メートル以上歩くことができ、歩行器を使用せずに3分間立つことができるようになりました。ジル・ウェバー/EPFL

脊髄損傷は、人生を一変させるような重大な障害です。脊髄が損傷すると、脳からの神経信号が遮断され、身体の一部または全部の感覚や運動能力が失われます。このような損傷は、交通事故やスポーツ事故などの外傷的な原因によって起こることが多く、完全に回復することはほとんどありません。

しかし、スイスのローザンヌ工科大学(EPFL)の研究チームは、この状況を変える可能性のある革新的な技術を開発しました。彼らは、脳と脊髄の間のインターフェースを作り出すことで、脊髄損傷患者が自分の足で歩くことができるようにする装置を作りました。この装置は、ブレイン・スパイン・インターフェース(BSI)と呼ばれています。

BSIは、2つの主要な部分から構成されています。1つ目は、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)です。これは、患者の頭皮に貼り付けられた電極から、歩行に関連する脳波を測定するものです。BCIは、機械学習アルゴリズムを用いて、患者が歩くことを意図しているかどうかを判断します。2つ目は、脊髄刺激装置です。これは、患者の背中に埋め込まれた電極から、歩行パターンに応じて脊髄に電気刺激を送るものです。この刺激によって、足の筋肉が収縮し、歩行動作が引き起こされます。

BSIは、脳と脊髄の間の壊れた回路を再接続することで、自然な歩行運動を再現することができます。この技術は、Gert-Jan Oskamという男性に対して試験されました。オスカムさんは、2011年に自転車事故で頸部の脊髄を損傷し、下半身不随になりました。彼は、EPFLのNeuroRestore研究センターで治療を受けました。

オスカムさんは、BSIの装置を装着し、リハビリテーションのトレーニングを行いました。その結果、彼は1日に200メートル以上歩くことができるようになりました。また、歩行器を使わずに3分間立つこともできるようになりました。彼は、この技術によって自分の生活の質が向上したと感じています。

BSIは、脊髄損傷患者の希望の光となるかもしれません。しかし、まだ多くの課題があります。例えば、装置はまだ外部のコンピューターに接続されており、携帯性が低いです。また、装置は個々の患者に合わせて調整する必要があります。さらに、装置の安全性や効果性を長期的に評価するためには、より多くの患者を対象とした臨床試験が必要です。

EPFLの研究チームは、BSIを改良し、より多くの脊髄損傷患者に適用できるようにすることを目指しています。彼らは、この技術が将来的には、脊髄損傷だけでなく、他の神経系の障害にも有効である可能性があると考えています。BSIは、脳と身体の間のコミュニケーションを回復することで、人々の生活を変えることができるかもしれません。

ジミー・ラヴィエ/EPFL

オスカムさんは、2011年に自転車事故で背骨を損傷し、下半身不随になりました。彼は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のグレゴワール・コートイン教授率いる研究チームの協力者として、BSIの開発に参加しました。研究チームは、オスカムさんに頭皮に貼り付けた電極と脚に埋め込んだ刺激装置を装着させました。電極は、オスカムさんが歩くことを想像するときに発生する脳波を捉え、刺激装置に送信します。刺激装置は、脚の筋肉に電気パルスを送り、歩行動作を引き起こします。

BSIにブレイン・コンピューター・インターフェイスが加わることで、歩行制御はより直感的になりました。記者会見でオスカムさんは、この改良について、「以前のシステムでは、刺激が私をコントロールしていた。今は、私が刺激をコントロールしている」と語りました。

BSIのもう一つの利点は、オスカムさんの背骨の損傷した組織をある程度修復することである。数週間から数カ月かけて刺激装置の使い方を覚えたオスカムさんは、装置の助けを借りずに脚を動かす能力を取り戻しつつあることを研究者たちは発見しました。研究者たちは、オスカムさんが最初の股関節駆動型刺激装置の使い方を覚えたときにこの回復を確認しましたが、脳駆動型の制御を加えることで背骨の治癒が大幅に進んだことを確認しました。

研究チームによると、この回復の原動力は、脊椎の損傷部位への送信とそこから読み出す両方の神経細胞の協調的な動作を、装置が再び確立したことにあるそうです。近接したニューロンが同じようなタイミングで確実に活性化すると、私たちの神経系はそれらを連結する傾向があります。オスカムさんの場合、BSIシステムは損傷部より下の脊椎のニューロンを刺激しましたが、損傷部より上のニューロンは、脚の動きを開始・制御する脳の部分とつながっているため、まだ発火していました。「詳細なメカニズムは不明ですが、感覚運動ループが閉じているというのが全体的な考え方です」と、コートイン教授は言いました。「彼は、同時に刺激される自然な経路で、ある領域を活性化しようとしているのです。この自然経路とデジタル経路の連携が、突起の再生を促しているのでしょう。」

この研究は、BSIが歩行障害を持つ人々にとって有望な治療法であることを示しています。オスカムさんは、「私はこの技術に感謝しています。私にとって、これは人生を変えるものです」と語りました。

研究チームは、この結果を有望な概念実証とみなし、より多くの脊髄損傷患者を支援するために研究を拡大しようとしています。Courtineと彼のチームは、四肢麻痺の脊髄損傷患者に失われた腕の動きを回復させる可能性を含め、BSIシステムの他の用途も模索しています。「同じ原理を腕や手の機能回復に応用できないわけがない」とCourtineは言います。「私たちは、このデジタルブリッジの腕と手の機能回復をヒトでテストするための承認を得て、患者さんを募集しています。」

この研究は、脊髄損傷に苦しむ人々にとって希望の光となるかもしれません。BSIシステムは、彼らが自分の体を再びコントロールできるようにするだけでなく、生活の質や健康状態も改善する可能性があります。

BingAIで作成


鹿児島県のある大学病院で脳卒中の後遺症のリハビリで画期的な成果を上げているというのでNHKに特集として紹介されていたことがある。

動かしてもらう際に動くべき筋肉に動かすタイミングで外部から刺激を送っていくようにリハビリを行う。脳神経障害によるリハビリは発症から半年間が回復のタイミングだという。NHKで流れていたのは発症してから、2年ほど経過した人で、そこでリハビリを受けてつまめなかった指先がつまめるようになるまで回復をしていた。

脳梗塞などで壊死したことで脳神経の接続が切れてしまっているので、このコネクションを復活するのはとても難しい。この場合新しい神経ルートを学び直すという解釈の方が近いという。

この技術も麻痺した四肢にアクセスをしているわけではなく、脊髄にアクセスをしているので、理論的には近いものだと思う。

ある意味脳をだまして、あたらしい動きを効率よく学ぶということか。この技術がまだどこまで通用するかわからないけれど、研究が進めば、脊髄損傷の回復治療も日常生活に戻れるくらいまではなれるだろうと信じたい。

むしろ、アスリートでも競技に復活できるまでなれるといい。


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