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人生を愉しむために#9 映画館


映画鑑賞の多様化

年齢を重ねるにつれて少なくなってきたことの一つが、映画館での映画鑑賞です。
個人的なものだとは思いますが、孫の世話や家事で週末の時間確保が容易でなくなったことなど一時的な要因の他に、劇場で見たいと思う作品が少なくなったことや、サブスクの普及で家の中でも十分に楽しめる環境がコロナ禍を経てここ数年で一気に進化したことが影響し、娯楽としての映画の楽しみ方が多様になってきていることが背景にあると思います。

寄る年波

もう一つの理由としては、加齢に伴い動体視力の低下によって字幕を追うのが困難になりつつあり、画像に集中し辛くなってきたことがあります。
どちらかと言えば洋画が好きなのですが、英語のヒアリング力の乏しいが故に画面よりも字幕を追うのに集中していて、作品そのものを十分に楽しめなくなっていることも、情けない話ですが要因になっています。
ヒアリングについて言えば、英語のみならず母国語でさえも最近は聴き取り辛くなっているような気がしていて、家の中で録画やサブスクで観る時はセリフを上手く聴き取れなければリバースして確認できるので、それに慣れてしまい、何度も中断させることが当たり前のようになっています。
作品が持つストーリーの「流れ」のようなものを壊してしまって申し訳なく思いつつも、「今、何て言った?」が何度も飛び交い、その都度中断と巻き戻しを余儀なくされる鑑賞スタイルが定着してしまっているシニアには、映画館が遠のくのも仕方のないことかもしれません。

「観かた」を変える

いろんな理由ですっかり遠ざかってしまった映画館ですが、今年、一本だけ映画館で鑑賞した作品が『THE FIRST SLAM DUNK』です。
アニメ作品ですが、正直、劇場で観て良かったと思えるような仕上がりでした。
音、スピード感、コミックで読んで粗筋は理解していましたがそれでもセリフの聴き取りには支障がないくらいの流れで、何より中断がないことが没入感を味わえて映画本来の愉しみを味うことができました。
思ったのは「これならシニアでも愉しめるかも」ということです。
字幕を追うのではなく、そこに映し出されている映像に没入できるような空間、効果音、ストーリーに浸る時間を味わうための場所としての「映画館」は手軽に味わえる娯楽であることと、日頃、テレビで観るドラマとは別物であり、愉しみ方も違うということを改めて確認できました。

シニアの感覚で

という訳で、アラ還のうちにあと何本か劇場で観ておきたいと私は考えていますが、付け加えておきたいのは、最近の映画館は音響も優れており、エンターテイメントな空間としての質もかなりハイレベルなものになっているということです。
ノスタルジックな古い劇場もそれなりに魅力があり、閉館が話題になるのは寂しいのですが、最新のシアターを若い人たちだけに楽しませるのは勿体ないような気がします。
是非、良質な作品を選らんで、シニアだからこそ「温泉に浸かるような感覚」で、映画館の非日常感に身を委ねる愉しみを味わってみてはいかがでしょうか。


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