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コーヒーの摂取で本当に睡眠不足の影響を打ち消すことができるのか?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

コーヒーは、ADORA2A C/C-allele保有者の慢性的な睡眠制限による注意力低下を効果的に抑制する

Baur DM, Lange D, Elmenhorst EM, Elmenhorst D, Bauer A, Aeschbach D, Landolt HP. Coffee effectively attenuates impaired attention in ADORA2A C/C-allele carriers during chronic sleep restriction. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2021 Jul 13;109:110232. 5.7

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ハイライト
-睡眠不足の時に眠気や注意力を高めるためにコーヒーを飲む人が多い
-コーヒーを習慣的に飲むことで、睡眠制限中の明確な注意プロセスが改善されるかどうかについては、エビデンスが不足している
-睡眠制限はレギュラーコーヒーやカフェインレスコーヒーの摂取とは無関係に自己評価眠気を増加させた
-ADORA2AC/C-homozygoteにおいて、レギュラーコーヒー(300mgカフェイン/日)は注意力低下のすべての側面を一時的に改善した。
-「現実世界」の消費を模倣したコーヒー摂取では、反復的な睡眠不足後の注意力低下を完全には補えない

[目的]
睡眠不足による眠気の増加や注意力の低下を抑えるために、多くの人がコーヒーを摂取している。本研究では、遺伝的にカフェインに敏感な男女を対象に、忙しい仕事の週を想定した「現実世界」でのコーヒー摂取が、慢性的な睡眠制限による障害を軽減するかどうかを調べた。

[方法]
ADORA2A(アデノシンA2A受容体をコードする遺伝子)のホモ接合体Callele保有者を対象に、5時間しかベッドに入れない夜を5日間過ごしてもらった。睡眠制限後のすべての日に、レギュラーコーヒー(n=12、朝食時に200mgのカフェイン、昼食後に100mgのカフェイン)とカフェインレスコーヒー(n=14)を二重盲検法で投与した。1日4回、一定の間隔で、眠気を評価し、精神運動性金剛力検査、視覚探索課題、視空間・文字Nバック課題を実施した。就寝時には、唾液中のカフェインと主要なカフェイン代謝物であるパラキサンチン、テオブロミン、テオフィリンを定量した。

[結果]
両群とも、年齢、ボディマス指数、男女比、年代、気分状態に違いはなかった。主観的な眠気は、連続した睡眠制限日の間に両群で増加し、差はなかった。一方、レギュラーコーヒーは、カフェインレスコーヒーと比較して、持続的注意、選択的注意、および実行制御に対する反復的な睡眠不足の影響を打ち消した。また、コーヒーは、睡眠不足時のベースライン・パフォーマンスのさまざまな側面に対して、初期または一時的な効果を誘発した。両群間の差は、回復期に入ってコーヒーの投与を中止すると、すべて消失した。

[結論]
これらのデータは、遺伝的にカフェインに敏感な人において、「現実世界」でのコーヒー摂取が、睡眠制限による注意力の低下を効率的に抑制することを示唆している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅面白いのは、”遺伝的にカフェインが効きやすい人”を対象としていることである。『睡眠不足にカフェインは効果があるのか』問題は様々なところで議論されているが、あくまで一時的な効果に過ぎないのであろう。

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カフェインの感受性に関しては、以下の記事でも紹介されている。

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