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となりのテロリスト

懐かしい地方テロの時代


となりのトトロならぬとなりのテロリスト!となりのインド人でもないですよ。(ふる)

まず最初の食事シーンでかなり期待させられる。クリームの種類、アーモンドのクリスピーな切り方を褒めたりするこの中高年男女。食事シーンの撮り方で、いやもう、メニューの選び方、カラトリーの音、魚の焼き方をみるだけで「これもしかして良い映画じゃない?」と思わせる。

食べ物シーンは大事。丁寧に艶めかしい画を撮ることは大事。決して食べ物をポルノっぽく撮って美味しいそう!と思わせる人もいるようだが私は食べ物のシーンで映画製作の人たちの食べ物への執念が映し出される。ずっと地味だが、ビスコンティにも通じる食卓シーン。神聖な時間だ。
ええ、こんな撮り方してもしかして・・と彼らが誰かはわからない。男3人女1人。誰もがカップルでもなさそうだ。。

そう、彼らはテロリストだった!

と最初の5分でわくわくどきどき。

そしてこのハゲのおっさんがあのアルモドバルのフェティッシュ俳優、Talk to herのあのおしゃべりゲイの看護師さん&あの3人のCAのひとりだと気がついてこの映画あたりー。とぐいぐい引き込まれてしまった。



ネタバレなしで

中盤はかなりだるい。ドタバタではないことは言っておく。まぁだるい。でも色々、世界中の古典テログループの名前を出してきたり、(深い議論にはならない)おちょくりもある。横のおばさんともっと絡みやハラハラドキドキがあるのかと思ったらそこまでではなかった。グルメという文化香をもつ古き良き人という感じで匂わせたかったのだろうか。おちょくりなのか、まじなのかがわからないような時間が続く。少し前(2000年代初頭)の若者はカナッペでテレビでしか時間を潰せなかったのか。。今だったらネットゲームだろう。

そして急転直下。
そして最後のどんでん返しにはまいった。花火のシーンがまるでFight Club状態で、かなり高揚させる。そして結びへ。
Van Damm と、トラックに書いてあるのも中年の涙を誘う。劇中結構スタローンって出てきてたよねぇ。そうそう、そういえば、スペイン人って、スタローンって言えないの??エスタローンって聞こえたんだけど。(このあたりは見てからのお楽しみ)


とにかく起承転結の起が10%承80%転8%結2%の長さに感じる、最後まで見ないとだめですよー。クライマックスでがががんですから!彼らの残虐性、深い罪深さも忘れはしない。そして静かに変化していく組織のあり方見るのがいいだろう。


しかしそれにしてもこんな映画作ってETAバスク残留部隊はは怒らないのだろうか?いや、もう組織は2018年に解体されてるから意味はないのだろう。ただ、多くの人を殺したり、多くの犠牲を出した傷跡は残るだろうが、ひとりひとりの形としてバスク同士たちの生き方につながっていったんだね。


世代交代がうまく行かなかったのか。私は昔のテロのニュースをオンタイムで聞き、そしてその頃はじめてボルドーからアンダイ乗り換えでバスク地方に夜行でいった頃を思い出した。

価値観と時代の変化



赤軍派や浅間山荘もドラマにされもうすでに過去の軽い事件の一つに成り下がった今、この映画は再現ドラマではなくそのもののフィクションでありニヤッと笑える中年殺し作品。悲しくもあり、寂しくもあり、そしてもう今や誰もが遠い目で思い出す熱かったあの時代を懐かしむ。

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