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二階堂ふみちゃんのおすすめで知った韓国映画【おばあちゃんの家】

2002年に公開された韓国映画、おばあちゃんの家。
とても静かで、懐かしくて、優しくて、切なくなる映画です。
だけど色んな意味で規格外でもあります。(以下、ネタバレなしです)

簡単にストーリーを言うと、長年都会で暮らしていた娘が、突然7歳の息子を連れて山奥で一人で暮らす母の家を訪れ、「職探しをするから3か月息子を預かって」と言ってそそくさと去ってしまい、そこから、小生意気な現代っ子の孫サンウと、昭和を通り越して明治もしくは江戸時代?と言わんばかりの質素な生活を送る、口がきけず、文字も書けないおばあちゃんとの交流が描かれた映画です。

知ったきっかけは二階堂ふみちゃんの紹介

この映画を知ったきっかけは、映画秘宝から激辛韓流映画というムック本が10年ほど前に出たんですけど、この本の最初のページに、二階堂ふみちゃんの韓国映画3選が紹介されてたんです。

この映画が「激辛」であるかは置いといて(広義に解釈すれば激辛)、二階堂ふみちゃんはこの映画を小学校3年生の時に夏休みの映画イベントで観たそうです。何というカルチャーレベルの高さ…。私がその年で観ていたなら間違いなく寝ていたはず。

ちなみにふみちゃんの3選は「おばあちゃんの家」、「冬の小鳥」、「息もできない」でした。センス良すぎ!!

冬の小鳥についてはつい先日noteに書きました。

主役は本当にこの村に住んでいるおばあちゃん

先ほどこの映画は広義の意味では激辛だと書きましたが、その理由はいくつかあって、まず、孫のサンウと同時に主役を務めるおばあちゃん、この方は完全にシロウトさんなんです。
それも、この映画で登場する山奥の村に実際に住んでいる人!
監督(ちなみに女性)がこの映画のロケーションを行っている時に、おばあちゃんを気に入ってしまい、口説き落としたのだとか。

そして、多くの村民が出てきますが、彼らも本物の村人!
本当の役者は孫のサンウ(ユ・スンホ)と、サンウの母親だけだというからビックリです。

おばあちゃんを見ているだけで泣けてくる

このおばあちゃんが、ものすごくいいんです。
腰が曲がっていて、肌は浅黒く顔もしわくちゃで、日本の昭和にいたおばあちゃんというか…。

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自分の20年以上前に亡くなったおばあちゃんとは全くの別人のはずなのに、どこか重なってきて観ているだけで切なく、懐かしい気持ちになって泣けてきました。

おばあちゃんの孫への不器用な愛情

おばあちゃんは山奥で一人、本当に質素な暮らしをしているんです。多分、現金もほとんど持っていなくて、村人と物々交換してどうにか暮らしているようでして。

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そこに都会っ子のサンウが突然やってきてわがまま放題。
小生意気で、ずっとゲームばかりやってて、おばあちゃんの作ったご飯は食べずに持ってきたお菓子だけを食べていて、挙句の果てにおばあちゃんに「汚い!」とか「バカ!」とか罵るものだから、本当に憎たらしい(笑)。

だけどおばあちゃん、孫のために一生懸命なんです。
耳が聞こえないので、上手くコミュニケーションができないし、
お金がないので、買いたいものもなかなか買えない。
そして足も悪く、腰が曲がっているので山を下りるのも一苦労。
だけど自分なりに考えて、ゆっくりと静かに、彼の望みを叶えようとする…。その健気な姿が胸を打ちます。
ケンタッキーフライドチキンのところは笑っちゃいましたけどね。

村人との交流から伺える、人間として大切なこと

おばあちゃんと孫の交流だけじゃなくて村人との交流も描かれていて、それがまた素敵なんです。
おばあちゃんは色んな人のサポートや優しさをもらって、どうにか一人で生活できているようです。一方おばあちゃんも、ギリギリ食べられるくらいの生活なのに、病気で寝込んでいるご近所さんに娘が持ってきた高級栄養ドリンクをポンっとあげてしまうなど、執着がないのです。
些細な場面から人間としての在り方や尊厳など、大事なことが伝わってきた気がしました。

異例の大ヒットと、孫のユ・スンホは国民の弟に

そして、最後は号泣です。あのにっくきサンウも、最終的にはすごく可愛いい(笑)。
優しくて、切ない感情が込み上げてくる映画です。誰もが自分のおばあちゃんを思い浮かべると思います。

この映画、かなり地味で、誰一人有名な人が出ていないにも関わらず、評判が評判を呼んで、韓国で430万人を動員する大ヒットとなりました。
そして、孫を演じたユ・スンホ君は、国民の弟と呼ばれるほどの人気者に。

今は超イケメン人気俳優です。なんか、嬉しい(笑)。

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そしておばあちゃんを演じたキム・ウルブンさんは、映画の人気が出過ぎて住んでいた村から離れざるを得なかったそうですが、ソウルで息子さん達と同居し、今年95歳で亡くなりました。

この映画、数年前までは観るのが本当に大変だったんですが、なんと今年、AmazonPrimeVideo(プライム会員無料)に入ったのです!
本当にすごい時代ですね…。文明の利器を利用して、ぜひ素朴なおばあちゃんの世界を堪能してください。

極私的スキ度 ★★★★★★★★★★(10)


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