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パティシエの仕事 ウェディングケーキ製造編

一生に一度の結婚式。
ドレスやリングはもちろん、式場を華やかに彩るウェディングケーキも欠かせないアイテムのひとつです。
パティシエにとっても、ウェディングケーキの製造は店に並べるケーキとは違う見た目のケーキがつくれるだけでなく、お客さまの「特別な一日」に華を添えることができるというやりがいも大きいのではないでしょうか。

ウェディングケーキはブライダル事業に特化している企業やホテルであれば自社でつくることもありますが、式場によっては街のパティスリーに委託している場合もあります。
勤務先によっては、ウェディングケーキに携わる機会がまったくないこともしばしば。

そこで今回は、ウェディングケーキに携わったことがないパティシエ必見の、「ウェディングケーキ製造現場」の様子をご紹介します。
店や式場によってパターンはいろいろですが、今回はパティスリーで受注した場合を例に挙げてみます。


打ち合わせ


ウェディングケーキの製造は、打ち合わせからはじまります。
式場のプランナーが打ち合わせを行う場合、パティシエが出向く場合などケースは様々。
新郎新婦は、「世界にひとつだけのウェディングケーキにしたい!」と思っていても、実際打ち合わせの場になると、やりたいことが多すぎてデザインが決まらないということもよくあります。
流行は次々と変わっていくため、オーソドックスなものから流行のものまで、パティシエ側も勉強しておく必要があるでしょう。
イメージやコストを具体的に説明しながら、ケーキのデザインを決めていきます。

ウェディングケーキは当日のお客様の人数や、一人当たりのコストの計算が大切です。
ゲストは100人、一切れ700円であれば、全体でどの程度の予算をかけていいのか、など検討していきます。
飴細工、チョコレート細工を使うとどうしてもコストがかかってしまうことなどもお客様に説明しなければいけません。
これらは作るのに時間がかかってしまうため、人件費・技術料がかかるのです。


ウェディングケーキの製造


では、実際どのような工程で作られるのでしょうか。
オーソドックスなスクエア型ケーキの作り方を紹介してみたいと思います。

納品4日前、チョコレート細工のパーツを作ります。
味の良さより加工のしやすさを優先させるため、プラスチックチョコと呼ばれる溶けにくいチョコレートを使用します。
融点が高く、一度固めると加工したままの形で持ちが良いのが特徴です。

飴細工の場合は2、3日前に作ります。
飴細工は製造工程で室温の温度管理が大切なので、専用の工房でつくることが多いです。
ケーキの土台となるジェノワーズは2日前に四角い方で焼きあげ、冷蔵庫で一晩休ませます。

そして、式の前日にほぼ完成まで作業を進めます。
ジェノワーズにイチゴと生クリームをはさみ、ナッペして平面を整え角も綺麗に整えます。
最終的にナッペする時に平面をキレイに取りやすくするため、これを冷蔵庫で休ませます。
ウェディングケーキは長時間常温にさらされるため、出来立ての状態では納品しません。
作りたてのケーキだと型崩れがしやすいので、休ませておいたケーキの土台に最終的なナッペを行い、生クリームで綺麗にコーティングするのです。

出荷当日、早めの時間にフルーツをカットし、ケーキに乗せてツヤ出しのゼリーでフルーツをコーティングし、チョコレート細工を最後に乗せて出来上がりです。
フルーツを当日に乗せるのは、早めに乗せると果実の果汁が生クリームに沁み込んでしまうため。
最後まで気は抜けません。

そして、式場へ納品です。
その際、運搬途中に傷がつくことを想定して直し用の生クリームとスパテラも持っていきます。
式が始まる直前に会場に設置し、最終的に見た目を整えて納品完了です。
式場によってはケーキ入刀が終わったケーキをカットする場合もあります。

ここまでがパティシエの仕事です。
実際に結婚式の様子を見る機会は多くはありませんが、後日お手紙などでお礼の言葉をくださる新郎新婦の方もいらっしゃいます。
店出しのケーキとは異なり、ウェディングケーキならではの気遣いや技法で、結婚式という晴れの舞台を彩るこの仕事は、やはり大きなやりがいを感じる瞬間と言えるのではないでしょうか。

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