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退職時の誓約拒否と日車寛見

さて、退職に対する上司の承諾を得たところで、次は会社への形式的な退職手続きが必要です。

一般的に、どんな会社でも少なくとも以下2つの書類の提出が求められると思います。

  1. 退職届

  2. 誓約書

退職届は、会社に対して、何月何日にどういう理由で退職するということを書面として提出するものです。この書類については、何の疑問もなく提出しました。

問題は、誓約書です。
今回はこの誓約書について、自身が対応した方法含めて書いてみたいと思います。

誓約書とは

誓約書は、例えば以下のような点を退職者に対して誓約させるものが一般的で、退職者のみが会社に対してその債務を負う片務契約になります。

  1. 会社の秘密情報を持ち出さない、また正当な理由なく開示しない

  2. 一定期間、会社の秘密情報を用いて競合事業に関与しない

  3. 一定期間、競合会社に就職しない、又は就職する場合その旨会社に通知する

上記項目1.の秘密情報を持ち出さない、開示しない点に関してはまだ納得ができます。

一方で、項目 2.と3.については、原則的には憲法で職業選択の自由が担保されていますし、何故退職者だけが自らに縛りを課す内容で合意しないといけないのか、という疑問があります。

そもそも、一般的な退職時の誓約書には「秘密情報」や「競合」の定義などは盛り込まれておらず、非常にグレーゾーンの多い内容となっています。

私はこれから弁理士として起業する身であります
し、その業態からしても、また一法律家としても、このような誓約書に合意することはできません。
(もちろん、今の会社に迷惑の及ぶような行為をするつもりは全くございませんが)

合意(=契約)を強制することなどできませんから、誓約書のサインについて、私はお断りすることにしました。

余談;呪術廻戦の日車寛見

全く話は変わりますが、最近読んだ呪術廻戦という少年?漫画に出てくる日車寛見というキャラクターに感動しました。

日車は呪術の使える弁護士という設定なのですが、法律家らしく、権力や財力などに関係なく「ルール と真実を持って公平に裁かれる」世界を望んでいます。
そして、その能力も自らの呪力によって裁判を強制するものであり、相手方に有罪/無罪の事実主張、立証をさせ、有罪の場合には相手方にペナルティを課すことができます。

(このキャラに限らず、この漫画に出てくる種々の能力は、要件と効果が明確になっており、まるで法律漫画のような印象すら受けます。)

結果として、相手方(主人公)が罪を自白してペナルティが課されるのですが、日車は、自らの罪を認めて受け入れるその姿勢こそが人間として尊ぶべきもの(本来自分が守るべきもの)であることを思い出し、我に帰って戦いをやめてしまいます。

この流れは非常に感動して、漫画自体の画力や構成の進め方も相まって、「漫画家さんって本当にすごいな」と感心しました。

弁理士も似たようなことが日常でも多々あります。
「こんなクソみたいな発明…」とか、「この発明者エラそうだな…」とか感じることで若干やる気を失うことがあります。(大分しょうもない悩みかもしれませんが)

元々「血と涙の結晶である発明を守りたい」という考えも弁理士を志した理由の一つであり、私自身も初心を忘れてはいけないな〜と思わせてくれる話でした。







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