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喫煙習慣の問題点についてのパターンプロセス的解釈

タバコは健康のために良くないといってもやめられない方がたくさんいます。

私のような吸わない人間にはタバコを吸う人の本当の気持ちはわからないのかもしれません。嗜好品として、同じく身を滅ぼす方の多いお酒に関して、人間社会はやや寛容な印象を受けますので、喫煙家にとっては不公平に思えるかもしれません。

喫煙の害について専門に研究している方はたくさんいますから、私はあまり多く触れてきませんでした。しかしながら、パターンプロセス理論の観点から喫煙習慣をみてゆくと、喫煙習慣の持つ問題点が明らかになってゆき、どうしても知ってて欲しいと思うようになりました。今回の事実を知ってそれでも喫煙を続けられるならば、それも人生の選択かもしれません。

国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」なるものが存在し、日本人を対象とした疫学調査や、現時点で妥当な研究方法で明らかとされている証拠を元にまとめられたものとされています。その中で生活習慣に関わるものが以下の8か条です

1.たばこは吸わない

2.他人のたばこの煙を避ける

3.お酒はほどほどに

4.バランスのとれた食生活を

5.塩辛い食品は控えめに

6.野菜や果物は不足にならないように

7.適度に運動

8.適切な体重維持

よく聞く言葉がずらりと並び、ほどほど バランスの取れた 控えめに 敵度に適切に…何だか個人の主観でも変わりそうな曖昧な表現となっており、この通り全部守るのも大変ですし、個別性はどうなっているのだろうとも思います。1、2のたばこは、他より強い表現です。

平井学,健康管理における個人素因の重要性と体質診断としての一塩基遺伝子多型の可能性   健康医学,18(1):67-70, 2003.

もう20年以上も前になりますが、生活習慣関連遺伝子検査(遺伝子多型)を某医療機関で健康診断に導入したことがあります。ここでは詳しい説明は省きますが、HOMOが強い素因、ヘテロが中程度、WILD問題なしと考えて。HOMOだと、上から順に喫煙でがんになりやすい、お酒が呑めない、太りやすい。WILDだと、がんになりにくい、酒が呑める、太りにくい。ヘテロがそれらの中間ということになります。今は測定できる遺伝子も増加し、遺伝子検査はたくさんの医療機関で測定できるようになり、人間ドックにも導入している機関もあります。遺伝子で全てが決まるかのように仰せられる先生がたもいますが、実際はそんなに甘いものではありません。個人としての人間の欲求や活動が、素因を凌駕してしまっている方々も多く、呑めないはずなのに呑んでいる人や太らないはずなのに太っている人がゴロゴロいます。結果的には、潜在的な素因に対して個人の嗜好による生活習慣や生活習慣の影響度は個別に異なり、生活習慣病と言われるものは健診データで経過を見てゆく方が現実的だと20年前に感じました。

平井 学,パターンプロセス理論から見た喫煙毒性:健康診断における異常パターン別寿命短縮効果および性差について
高知県医誌,24:184-189,2019

喫煙の影響をパターンプロセスの観点から見直したものをまとめた図です。
喫煙習慣は極めて強い酸化毒性を示すことがわかり、喫煙習慣の有無で、パターンプロセスに10年近いずれが男女とも生じます。すべて正常群で肥満のないやせた方でも10年近く差が出ますので、禁煙で多少体重が増加して検査異常が出現してもまだお釣りが出ます。

各個人の肥満、飲酒、喫煙に関わる各素因の強弱と生活習慣の影響度が、健診データの異常パターンのプロセスに現れていると感じませんか?

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