パターンプロセス理論研究会

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保健指導で遭遇する数多くの困難の源

 健診では検査項目ごとに、基準値以上に区分を設け判定結果とされます。判定が一番重いのは要治療、次に要精密検査。そのあとに再検査、経過観察と続き、ほぼ正常なんて表現もあります。かくして、検査数が多い健診では項目ごとに異なる判定がずらりと並び、一番判定の重いものが総合判定とされる決まり事?が踏襲されてきています。事業所で実施される定期健康診断の後は、数多くの有所見者が見出され、総合判定別に一覧表なども送られてきますが、個別の内容や危険性も異なるため対応に苦慮される例を多く見受けま

    • 第97回日本産業衛生学会で自由集会を実施します

      このチラシを見て私のことって思った方肝機能の指導に迷っている方。健診結果を複合的に見たい方。面談の優先順位をつけたいと思っているかたぜひご参加ください。 日時 5月25日(土)10時から10時50分 テーマ:現状と将来の危険度を「具体的に」お話しできる健康診断 事後指導 ~肝機能の数値、保健指導に使えてますか? 内容:この研究会では、平井医師が研究された「パターンプロセス理論」は、健康診断の結果から見える肥満度や加齢の関係性、体内酸化やインスリン抵抗性の亢進状態、ストレス

      • 健康診断の結果からみる淘汰

        健康診断を始めて30年近く、今までに数多くの方々が目の前を通り過ぎてゆきました。当初出会った方々の中にも、もう亡くなってしまわれた方もいるかと思われます。健康診断はそういった方々の人生に貢献できていたのか……。高齢化社会と言われて久しく、自分自身もその中の一員になった現在、自問自答してみることが近年増えてきました。 健康管理にたずさわる身ですので、健康診断は健康長寿に貢献していると思いたいところですが、数々の矛盾が現実には存在します。 パターンプロセス理論に辿り着くまでに

        • 高LDLコレステロール血症の男女差の意味するところ

          LDLコレステロール(LDL-C)は本来体にとっては必須の成分であるにも関わらず悪玉コレステロールと呼ばれて久しく、現行の健康診断においても数多くの有所見者が存在します。しかしながら、悪玉と呼び、判定および対応する上において疑問に感じることも数多く経験されますので、今回はLDLCの増加と悪化の転機および性差の存在する意義についてパターンプロセス理論の観点から考えてみました。途中、素因型や生活習慣型、異常パターンという言葉が出てきますが、パターンプロセス理論が初めての方はNot

        保健指導で遭遇する数多くの困難の源

          高尿酸血症の意義について

          尿酸と聞くと痛風という足の親指の付け根が腫れて非常に痛い発作を伴う病気が思い浮かぶ方も多いかと思います。 尿酸を体内の細胞に含まれる核酸の成れの果て……いわゆる老廃物と考えれば早く捨て去ってしまいたい。痛い思いするのは嫌だし…。健康診断で高尿酸血症を指摘され、治療と称してお薬を飲んでいる方も多いと思います。痛風の発作を起こした方ならまだしも、発作の経験がない方も発作を恐れてお薬を飲んでいる方も多く見かけます。パターンプロセス理論の基本6項目に入っていない、尿酸についての私の

          高尿酸血症の意義について

          飲酒習慣の影響の個別性

          前回喫煙習慣についてお話ししましたので、今回は飲酒習慣の注意点についてお話しします。生活習慣において飲酒習慣は大きな影響因子ですし、パターンプロセス理論においても肝機能異常は重要な意味を持つため外すわけにはいけませんが、極めて個人差が大きいのも事実です。 よく言われる「飲み過ぎに注意……。」という表現も飲む方々にとっては主観的にさまざまに解釈されています。一方で適正飲酒量なども定義されていますが、遺伝素因として飲めない方も存在しますし、影響度の個人差が大きく悩ましい定義です。

          飲酒習慣の影響の個別性

          喫煙習慣の問題点についてのパターンプロセス的解釈

          タバコは健康のために良くないといってもやめられない方がたくさんいます。 私のような吸わない人間にはタバコを吸う人の本当の気持ちはわからないのかもしれません。嗜好品として、同じく身を滅ぼす方の多いお酒に関して、人間社会はやや寛容な印象を受けますので、喫煙家にとっては不公平に思えるかもしれません。 喫煙の害について専門に研究している方はたくさんいますから、私はあまり多く触れてきませんでした。しかしながら、パターンプロセス理論の観点から喫煙習慣をみてゆくと、喫煙習慣の持つ問題点

          喫煙習慣の問題点についてのパターンプロセス的解釈

          パターンプロセス理論の基礎

          第1回目でお話しした散布図上の法則性から、基本パターン16群に、各々高血圧が加わり、耐糖能異常が加わる過程(プロセス)が存在すると定義して現されたのが図のようなパターンプロセスです。耐糖能異常の生じるプロセスには高血圧を介しないものも存在し2系列存在します。 64パターンとは言っても、個人の中では、16の基本パターン内のいくつかを行き来しながら、加齢とともに高血圧、耐糖能異常を合併してゆきますので、16パターンと時系列上に沿った高血圧、耐糖能異常の組み合わせと見ることができ

          パターンプロセス理論の基礎

          すべての検査が正常であることの矛盾

          図は母集団487067人のBMIと年齢の関係から見た散布図です。 全体の図の上に前回説明に出てきた6項目すべて正常群をプロットしてみました。 健診結果が正常であることが健康長寿の秘訣なら、高齢の受診者は正常群が多く占めるかと思えば、実際はそうはなっていません。 6項目すべて正常の方々の平均年齢(男性38歳, 女性39歳)から見ても 健診データがすべて正常範囲であることが健康長寿の必須条件ではなく異常を有しつつも高齢化できる条件について考慮される必要があると思うのですが…

          すべての検査が正常であることの矛盾

          健康診断の汎用検査6項目

          健康診断を受けると検査項目に普通に入っている6項目あまりにも普通なので、検査結果をもらっても異常に慣れっこ。 すごく悪い値だと気にもなるけど、少しぐらいなら…。 ここでは6項目を素因型 生活習慣型に分けて考えます。 血圧 耐糖能 LDLコレステロールは素因型 GPT γGTP 中性脂肪(TG)は生活習慣型 素因型?生活習慣型?…とりあえずここでは丸呑みしてください。 素因型 生活習慣型 有所見率の推移を表した図です。 それにしても程度はともあれ 多くの方々が健診を受ける

          健康診断の汎用検査6項目

          検査結果の組み合わせから、現在の危険度と将来予測ができるパターンプロセス理論とは?

          この度、パターンプロセス理論研究会のnote記事配信を始めることになりました。 パターンプロセス理論って何?と思われている方がほとんどだと思います。 実は実は、この理論、ある一人の医師が何十万人の健診結果を、30年以上研究を重ねて導き出した、健診結果の組み合わせで、健康状態や、その後の健康寿命の予測ができる理論なのです。 まずは、その1回目。パターンプロセス理論のご紹介です。 みなさま、今年の健康診断は受けられましたか?健康診断の結果は、自分で理解できていますか? 血圧が高

          検査結果の組み合わせから、現在の危険度と将来予測ができるパターンプロセス理論とは?