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濱口竜介監督映画「悪は存在しない」感想箇条書き

公開初日ほぼ満席のル・シネマ渋谷宮下で観た。
この先、観ていない方への配慮は無しで、観終わった勢いのまま箇条書きで感想を並べます。記憶違いもあると思う。

・他者って腹の底では何を考えているか分からない、見てないところで何をしているのか分からない、その分からなさが現実と近い感覚のまま映画になっていて、こんなことってあるんだ!!!と驚いた
・分からなさは、巧はもちろん全然分からないんだけど、花も分からなさを醸していた
・自然の中で暮らす人々と、東京の芸能事務所に勤める会社員とでは、文化圏が全然違う存在で、私は後者よりの生活をしているから、より巧や花のことが「分からない存在」に見えるのかも
・巧と花はネイビー~ブルー、高橋は補色のオレンジ、黛は無彩色を着ているのは各々の立場を反映しているのか
・父娘、森、生き物、地域の大人総出による迷子の捜索、の要素からはトトロを連想してしまったし、大きな水たまりや、鹿との対峙、その幻想的な背景からはもののけ姫を連想してしまった
・巧から法律を侵す葛藤が1mmも感じられず、憎しみがあらわになるわけでもなく、まるで雨が降ってきたから傘を指すくらい自然な行動としての首絞めだった  
・それはそうとして巧はなぜ殺したのか、花はなぜあんなところに居て、さらになぜ帽子を取って鹿に近づいたのか
・高橋が駆け寄ったら鹿が興奮するから制御しようとしたのかと思ったが、殺す必要はないし、花が危ない瞬間ならまず花から目を離せないのでは
・おぼろげな記憶で、巧が花の鼻血拭いてあげるとき、花は帽子を被っていた気がするが、あのあと鹿に襲われたのなら帽子被る余裕なんてなくないか
・鹿に襲われたとしたら、鼻血だけで済むのか
・町民の捜索シーンは真っ暗な森だったのに、巧&高橋ペアに画面が切り替わると森がややグレイッシュで幻想感があったと思うが、あのシーンでは映し出されたものすべてが現実だったわけじゃないのかも
・花、巧が到着する前にもう死んでいた?
・手負いの鹿=巧???
・予告編にあった枝から血が滴る理由が判明したとき安心したんだよね
・安心しちゃいけなかった
・殺すところ、脚のじたばたが長くて怖かった
・説明会で巧は、誰も反対も賛成もしていないと言葉にはしていたが、本心では許していなかった可能性は高い、さらに高橋のペラペラな言動(とくに鹿の通り道がなくなったら鹿はどこへ行く?という問いに、よそへと答えたのは高橋だった)が殺意に?
・花はグランピング建設の話題をずっとそばで聞いていて、不安があったんだろうか…花の気持ちが分からない
・花にしろ、高橋にしろ、あの場での死/死にかけは生贄を連想させられたし、儀式めいていた
・音楽きれいだった、冒頭は映像と相まってすごかった
・音楽ぶつ切りの演出が面白かった
・エンドロールの短さよ

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