「ダナエ」

私は誰にも会うことを許されず
塔に閉じ込められたダナエ

ひとりひっそりひそやかに
窓の外の雨を見ている

もしもあなたがゼウスのように
黄金の雨となって
この身に降り注いでくれるのなら
待つことなんて苦でもないのに

あなたは一度も会いに来ない
私は愛を待つだけの
雨に閉じ込められたダナエ

「サロメ」

雨は嫌い
あなたに会えないから
何日も何日も降り続いて
雨は私の邪魔をするの

ようやくあなたに会いに行っても
あなたはいつも留守で
ちっとも私に会ってくれないの

私はあなたの顔さえ見られたら
それだけで幸せなのに

ああ　あなたの首をちょん切ってしまいたい
そうすればいつでも一緒にいられるものね

あなたの首をちょうだい
あなたの顔が好きなの
あなたの顔を見ているだけで
私はとっても幸せ

傘もささずに雨の中
あなたの首を持って踊る私はサロメ

冷たいくちびるにくちづけて
愛しているわと言ってみる

「オフィーリア」

愛は流されてしまったの

降り続く雨の中
私はあなたを見失って
ひとり街をさまっている

この瞳に映るものは
大粒の雨とどこまでも暗い空だけ
もうあなたの顔さえ思い出せない

かわいそうなオフィーリア
どこへ行くの

そう問いかけてみても
もう愛は答えない
どこまでも流されて行くだけ