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牛糞や鶏糞を使わない理由って何かあるんですか?

organic farm88では、牛糞や鶏糞などの動物糞の厩肥(きゅうひ)を使っていません。使用する堆肥や肥料はは、地元のムギやダイズ、米ぬか。farmの周辺に生えている竹や雑木などを独自に発酵させたものです。

牛糞や鶏糞などの動物糞を全てを否定しているわけではなく、日本で良質な家畜糞を手に入れようと思うと難しいというのが一つの理由です。

家畜の飼育環境が劣悪過ぎる。

北海道での研修中に、牛肉用の牛さんを見に行かせてもらって、その暗い畜舎に閉じ込められて自由に動き回れず、動かせるのはエサを食べるための首動作のみ・・・。その光景を見て本当に可哀想だなと胸が痛みました。
ヨーロッパでは広がりつつある、「動物福祉」という考えかたが日本でも広がっていって欲しい。

輸入品であるエサも、どういう状態かとても怪しい。遺伝子組み換えの問題もあるし、ポストハーベストの問題もある。そしてエサには※抗生物質も入っていて、そんなもの全てが糞として出てくるので、そういった物を畑の土に入れたくない。

※抗生物質は主に病原菌に対して使われるものだが、抗生物質の副作用として身体が早く成長するという特徴がある。そのため、家畜を早く太らせる効果もある。

二つ目はお客さんが分かりやすい、ということ。

野菜を売る時に、これは動物糞使ってます、これは使ってませんっていうのは僕も面倒だし、買ってくれる人も分かりにくいと思ったので、それなら全ての栽培作物が「動物糞不使用」の方が分かりやすいので使っていません。

「引き算」の野菜作り

僕が野菜を育てるコンセプトとして「いかに肥料に頼らず作るか」というのがあります。

だいたい野菜を作っていて野菜の出来が悪いと「肥料が足りなんじゃないか」「ミネラルを入れた方がいい」など、何かを「足す」という方向に行きがちです。

しかし、農業で野菜を作る場合、天候、地形、地質、種子・・・、様々な要因が重なりあっていて、その中の一つに、「肥料」というものがあるに過ぎません。
「肥料」という1番大きな思い込みを遮断するために、始めはあえて「ゼロ」という状態から栽培を始めてみました。

そうやって、作物にどのくらい「肥料」が必要なのか、を数年観察していきました。それによって、何が栽培にとって良くなかったのか、もしくは良かったのか、自分が考えられる範囲がもっと広くなりました。

作物を育てる時に、県やJAが定めている栽培指標というものがあって、その中に詳しく、この肥料をこの時期にコレぐらいあげなさい、というのが作物ごとに定められていますが、「organic farm88」オリジナル栽培指標を作りました。作ったといっても、頭の中ですけど。

一番大事だと思っているのは、「適地適作」。

その土地土地で栽培に適した作物があって、その土地に合ってないようなものを作ろうとした場合、たくさんの労力とエネルギーが必要になります。つまり肥料をたくさん必要としたり、そうなると病気になりやすいから、農薬もガンガン使わないといけなくなる。

逆にその土地でよく出来る物を作った方が、労力もエネルギー面でも効率的です。農薬に頼る必要もなくなります。

今の畑はあんまり肥えていない黒ボクと呼ばれる土質なのですが、カブとか大根が美味しく出来る所で、この土地にとても合っています。そういう物は肥料をそんなに使わなくても種を蒔くだけで本当に美味しい物が採れるんです。

農法はあくまで『手段』。

基本的に僕が大切にしている事が、
『100年1000年後も、この地で同じように農業をし、この地で生きる人達が農業を営めること』
かつ、『健康的で美味しい野菜』を作るというのが目的です。

その目的の為に、どういう手段を取るかというのが農法であって、僕の場合はその中で、農薬や化学肥料、動物性厩肥は必要ないかな、ということで今のスタイルになっています。

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