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豊かな「土」を科学する

僕は神戸の北に位置する農園で働いていたことがあります。
関西の土は粘土質が強く、乾けばガチガチのひび割れた土になり、その堅さから野菜の苗を植える時にはアイスピックを使って土を砕き、その穴に苗を植えていきました。逆に雨が降るとドロドロの粘土になり、歩くのが困難な程です。

お米やダイズは良く育つのですが(丹波の黒豆、山田錦など有名です。)、野菜となると適切に育っていると言いがたいものが収穫出来ました。

さて、農業の本を読んでいると、さかんに「土づくり」なるものがでてくるけれども、果たしてそれは何を意味するのだろうか。

ここでいっている「土」とは、ただの鉱物的な粒の集まりのことを言っているのではない、と想像出来ると思う。

ただどんな「土」が理想的なんだろうか。
農業の教科書には、まず「団粒構造」という言葉から始ること多い。

土の「団粒構造」とは

種を蒔くときに、種袋のうらに書いてある栽培の仕方を読んだことがある方は分かると思いますが、種まきに適した畑の条件として、

水はけの良く、水もち良い畑に蒔いて下さい。

これって、矛盾しているよな・・・
初めてこれを読んだ時に僕は困惑してしていまいました。

この矛盾してる畑の条件こそ、理想的な「土」の状態です。

では理想的な「土」とはなんだろうか?
それは団流構造と呼ばれ、小さな団子の土が集まっている構造のことです。
この団子状の隙間に、水や空気が適度に含まれることで、植物が根を張っていくのに必要なもの(水・空気・栄養分)を取り込みやすくなります。
そして、時間ごとに変化する気候にも対応し、雨が降ればその隙間から水分を速やかに地下へと浸透させ、日照りが続いても逆に地下から水分が上がってきて適度な湿り気を保ちます。

そして、その隙間には微生物もたくさん住むことができるので、土の中の小さな生物の生態系が豊かになっていきます。
個人的に、この生態系によって団流構造が生まれているのでは、と考えています。

冒頭に戻りますが、前述の働いていた農園では、敷地に生えまくっている竹を原料に、これに米ぬかを混ぜ発酵させて堆肥を作り、畑にまいていました。発酵中は湯気が立つ程、熱が発生します。
一年目、二年目、と年が経っていくと土に団流構造が生まれてきました。そのせいか野菜も順調に育つようになってきました。

ここで重要なのは、チッソ肥料が多く含まれる堆肥を使わなかったことです。実は、この畑には先任の管理者がものすごい量の豚糞を投入していました。それでも畑の構造を変えるには至らず、むしろ悪臭がして逆効果であったように思われます。

肥料や堆肥にも種類があって、使用した原料によってC/N比(チッソと炭素の割合)というものがあります。

このC/N比が高くなると、分解するために時間がかかる有機炭素が多いということになります。農業のセオリーとして、この数値が20くらいの堆肥を使いなさい、ということになっています。

しかし、竹の場合280という数字になっています。
このまま直接畑に入れてしまうと、分解するまで長い時間がかかってしまいますが、米ぬかと一緒に発酵させることで、微生物が分解出来るようになります。お米を炊いて食べやすくするのと、一緒ですね。

この有機炭素を畑に入れることで、畑の生態系を豊かにし、土を団粒構造にすることで、理想的な作物を栽培していこう、というのがorganic farm88のコンセプトです。

チッソ肥料についてはたくさん研究されていますが、なかなか有機炭素について研究しているところがないので、手探りでの状態です。





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