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それでもあなたは「ワクチン拒否」しますか?

 離島で小児科勤務していた時、診療所受診するほとんどの親は、「ワクチンはなんとなく/すっごく大事だと認識」していて、ちゃんと接種するように子どもを診療所に連れてきた。しかし、離島であっても「常識」が通じない親が2人いた。2人は他人同士だがいずれも、東京在住し転勤で地方にきたようである。

 いざ関東で勤務してみると、予想通りだが親の能力が高い人が多いこと、いろいろな物事に対して明確な意見を持っている人が多いことに気づいた。    特にアトピー、ワクチン、放射線に対してはpolicyがあるようである。
①アトピーに対するステロイド治療を断固拒否するsteroidphobia
②ワクチンによる自閉症や副作用が怖い/そもそも効果が見えない
③放射線ヤバイ、ヤバイよ。

まず③の放射線の害については同感である。私自身、X線・CT・カテーテル検査に立ち会っている身として、放射線はヤバイものだと認識している。「確定的影響」と「確率的影響」というものがあり、低線量がどれぐらいヤバイのかよくわかっていないため、これぐらいなら大丈夫という閾値が明確でないという恐ろしさがある。これが毒(中毒域より大きく下回っていたら大丈夫と判断できる)とはっきり違うところである。

問題は①と②である。
①は有名TV番組が「ステロイドの害」特集したことがきっかけとなったことは事実である。steroidphobiaが増え、かつアトピービジネスが未だに蔓延っている。ステロイド治療が必要な重症度、時期があり、重症だと民間療法あるなしにかかわらず良くならず、結果的に苔癬化(不可逆的変化)をきたす方が少なからずいる。
②ワクチン拒否  やっと本題に入ります。「ワクチンで自閉症になる」と言い切ったアンドリュー・ウェイクフィールドというイギリス人医師は免許剥奪されました。だけどこの思想は未だに残っていて、反ワクチン運動は続いています。超一流雑誌「ランセット」に掲載されてしまったからかもしれません。


 今、コロナが蔓延して、皆さんコロナに対するワクチンを手に入れたい、一刻も早く接種したいと思いますよね。かつて麻疹でバンバン人が死んでいた江戸時代の人が「麻疹なんとかならんかなぁ、これが治らんと大人になれんなぁ」と思っていただけが、今はワクチンという解決方法が我々にはある幸せな時代だと改めて感じます。みんなが打たないと効果が薄い(集団接種率)、接種してもすぐに抗体ができないなど実感が得られにくい特徴がありますが、「ワクチンがないヤバイウイルスが蔓延した時の人類の恐怖」がワクチン開発に大きく貢献してきたということを忘れてはいけません。

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