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【論文レビュー?】 三段跳の「積極的着地」の習得法:14.71m→15.48mに記録を向上させた事例

2019.1.11 
私が書いた論文
「三段跳におけるステップ踏切時の積極的着地の習得法の提案:
踵痛を抱えた競技者が 14.71m から 15.48m に記録を向上させた事例分析より 」がスポーツパフォーマンス研究に掲載されました。
↓論文へのリンク(タイトル未設定となっていますが・・)

一言で言うと
「自分がどうやって14.71m→15.48mに記録を伸ばしたか」を書いています。

論文でも書いてあるのに、
わざわざnoteにまとめる理由。
私は主に「実践現場に役立つ研究(実践研究)」
をしていますが、
肝心な「論文」を読む実践現場の人
(特に高校生や大学生)は少ない。
「論文」よりわかりやすい「note」を書くことで
現場に届きやすくなることを願ってまとめました。
(わかりにくかったらごめんなさい・・)
論文が読みたい!人は、
上のURL(タイトル未設定となっていますが)
からどうぞ。

目次

1. 話のあらすじ
2. そもそも「積極的着地」ってなに?
3. どうやって「積極的着地」ができるように?
4. なんで「積極的着地」ができるように?
5. まとめ


1. 話のあらすじ

大学3年までの自己ベストは14.71m
大学4年の自己ベストは15.48m
と77cmの記録を伸ばしました。

なぜ記録を伸ばせたのか。

その大きな要因が「積極的着地」の習得でした。

どうやって「積極的着地」を習得したのか
なんで「積極的着地」を習得できたのか

そんなことについて書いていきます。

2. そもそも「積極的着地」ってなに?

「積極的着地」とは
「踏切脚の地面の先取り動作と
振込脚の振込動作を合わせた両脚による挟み込み技術」
「積極的着地」は
「ブレーキロスを少なくするとともに,踏切り脚へ予備緊張を与えて筋力発揮能力を高める機能を持つ」村木(1982)

つまり、
「積極的着地」は記録の向上に役立つ技術です。
(+踵を何度も痛めていた私のような競技者は踵の怪我の予防にもなる)

しかし、
当時の私は
「積極的着地」の大切さはわかるけれど
どうやってやればいいのかわからない・・
大学3年生までずっと試行錯誤していましたが
「積極的着地」ができたことがなかったです。


3. どうやって「積極的着地」ができるように?

意識しても「積極的着地」できない私は
「積極的着地」ができている先輩の動画を見比べたり
連続写真を作って、どこが自分と違うか調べました。

連続写真を見たときに一番の違いは
「ホップ空中の姿勢」でした。
特に振り込み脚の形に大きな違いがありました。

スポーツパフォーマンス研究(濱中ら2019)より引用

また、
目標とする先輩は④の「ホップ空中の姿勢」を維持するような
「タメ」があることも自分との大きな違いでした。

そこで私は仮説を立てました。

「ホップ空中の姿勢」を真似すれば
「タメ」ができ
「タメ」ができると
「積極的着地」もできるのでは?

これまで「積極的着地」のみを意識していたことを
「ホップ空中の姿勢」「タメ」「積極的着地」
と3つに分けて意識することにしました。

そして練習方法もそれぞれ考えました。

「ホップ空中の姿勢」を習得する練習
「ホップ空中の姿勢」「タメ」を習得する練習
「ホップ空中の姿勢」「タメ」「積極的着地」を習得する練習

(練習方法については、スポーツパフォーマンス研究に掲載されている論文に動画も載っているのでそちらをご覧ください)
(動画3-7が練習方法の動画です)

考えた練習を開始すると
これまでできなかった「積極的着地」が
意識してできるようになっていきました。
簡単に言うと「自分の身体を操作できる」感覚を掴みました。

この感覚を掴み、練習を繰り返すことで
記録も順調に伸ばすことができました。

スポーツパフォーマンス研究(濱中2019)より引用

4. なんで「積極的着地」ができるように?


なぜ「自分の身体を操作できる」感覚を掴めたのか

それは

「積極的着地」を
「ホップ空中の姿勢」「タメ」「積極的着地」の3つに分けた

ことが効いていたと思います。
意識することが明確になったことは自分の中でも大きかったです。

一つの課題(できない課題、難しい課題)を
分けて考えることは技術を習得する上で有効だと実感しました。

また練習を重ねる中で、
より強調した「積極的着地」ができるようになっていきました。

それは

「タメ」で一瞬、力を抜く

ことができるようになったからです。

私は取り組み始めてから
ホップ跳び出し、「ホップ空中の姿勢」、「タメ」、「積極的着地」を
頑張って(力を入れた状態で)身体を操作していました。

しかし、それだと
練習(低い速度)でできていたのですが
試合(高い速度)ではできませんでした。

どれだけ速い速度でも

「タメ」で一瞬、力を抜く(大切なので2回目)

ことができるようにすることが重要だと思います。

力の出し入れ(onとoff)ができるようになると
動きにキレがある
強弱がある
リズムがある
と言われている動きになってくると思います。

私が最終的(15.48mの時の競技会)に
意識したことは、力のonとoff、リズムでした。

ちなみに「ホップ空中時の姿勢」は元に戻っていました。
(ここ重要ですね笑)
ここでは主に自分の取り組みのよかったところを書いていますが
よくなかったところも重要なので
論文を読んでください。
(結局は伝えきれず、論文を読んでもらいたい笑)

5. まとめ

自分がこの論文で一番伝えかったことをまとめておきます。

・ 「積極的着地」は重要な技術
・ 難しい(できない)課題は、分けて解決する
・ 「積極的着地」のポイントは「タメ」(一瞬の脱力)(力のonとoff)
 → ずっと力を入れていると身体の操作ができない
・ 運動の習熟過程も重要 (別記事を書きます)

僕の経験が全ての三段跳選手に当てはまるものではないと思います。

誰に当てはまりそうかと言うと
「身体の操作が全くできない」
「ステップのブレーキが非常に大きい(距離が短い)」
「踵を何度も痛めている」

人には有効ではないかと思います。

肝心な練習方法については書いておりませんが、
今回書いたことを意識することができれば
練習方法はなんでも良いとも思っています。

論文に書いた内容を砕けて省いて書いているところもあるので
もっと知りたい人は論文を読んでください。
(簡単にまとめるのは難しいのだと感じました・・)

1人でも多くの三段跳競技者の役に立てますように。
三段跳が大好きな人が増えますように。
三段跳の日本記録が更新されますように。

そんな思いを持って研究しています。

6. 最後に

論文を書いていて思うのですが
論文って掲載されるまでに多くの評価(査読)がされるのも関わらず
発表されてからはあまり評価されないのが不思議だと思っています。

特に「実践研究」は、現場で評価されてもいいのでは。
現場で活用できる、現場の研究が「実践研究」ではないのかな。

と言うことで、もし読まれた人がいたら
「ここが役に立った」
「全然わからんかった」
「もっとここが知りたい」

教えていただけると嬉しいです。

評価やフィードバックがないと、
次に改善できないので
よろしくお願いします。

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