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誰も知らない「ミッキーマウスマーチ」〜未知の前では皆平等〜

「無知の前では皆平等」というのが、最近の個人的なモットー。とはいえ日常の保育やワークショップで自分がリーダーシップをとる時は、結構緻密に展開を組み立てることが多いです。もちろん「結果」や「ゴール」、その過程の一挙手一投足を縛るような決め方はしませんが、予想や想定をするからこそ予想外や想定外に驚き感動することができると考えています。

そんな私ですが、先日ほぼノープランで未知に飛び込む面白さを保育の中で感じました。

それは若手の先生がリーダーになった日のこと。ホールで運動遊びをした後、微妙に時間が余ったため、音楽を流してダンスをすることになりました。「エビカニクス」や「パプリカ」なら多少は先生たちも知っていたのですが、それでもまだ時間があったため、若手の先生がスマホから「みんな曲を知っているだろう」という思いからなのか「ミッキーマウスマーチ」を流すことに。

さぁ、ここからが問題。子どもたちはもちろん、私も含めその場にいた4人の先生は誰も「ミッキーマウスマーチ」のダンスはおろか、歌詞もろくに知りませんでした😓笑

困惑した雰囲気とは裏腹に流れ続ける軽快な音楽。例えるなら、カラオケで「この曲、有名だから歌えるっしょ!」と思ってサビしか知らない曲を入れたところ、AメロやBメロが全く分からず「この曲、こんなんなの😮❓知らんがな!」とポカーンとした時のような感じ。

そこで、とりあえずホールをグルグルと行進することになりました。ベテランの先生が即興で閃いたアイディアで「♪ミッキーマウス、ミッキーマウス、ミッキーミッキーマ〜ウス」の部分の振り付けは出来たものの、後は「♪たったらったらったらった たったらったら〜、ミッキーマウス、ミッキーマウス、ミッキーミッキーマ〜ウス」と適当な鼻歌を歌ってノリノリに歩くだけ(笑)
まさにカオス😓‼️「先生、ミッキーマウスはクラブのリーダーなんだよ!」と嬉しそうに語る2歳児の呟きを聞きながら「ミッキーマウスクラブって、どんなクラブやねん!」と頭の中でツッコミを入れつつ、よく分からないハイテンションに浸りつつこのカオスに身を任せました。

カオスの中、子どもたちはみんな楽しそう。大人たちも木曜日の疲労困憊のテンションも相俟って、謎のやけくそテンションで大盛り上がり。このカオスがいつまで続くのかも分からない。最後ポーズを決めようと思っても、曲が終わるタイミングは誰にも分からない。子どもも大人も汗びっしょりの中でバラバラな決めポーズをとると、自然と大笑いが生まれました。翌日も「あの『ミッキーマウスマーチ』を思い出したら笑いが止まらなくて🤣」と先生たち同士で大笑い。


この一連のカオスと大笑いは、未知を真ん中に協働・共創造で「今、ここ」を創ろうとする1人ひとりの意思によって紡がれ生まれたのだろうと思います。また、「知らない」という状況においても人はダンスすることができる(=知識を身につけなければ実践することができないという狭義の「教育」における暗黙の前提を超えることができる)という可能性を示唆する事例になるかも知れません。

「未知の前では皆平等」ー。大切なことに改めて気付かされたような、そんなエピソードでした。

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