円陣

上司と部下のパートナーシップ6:「ハッキリさせる=◯◯と感じる」不思議

 連投148日目。「上司と部下シリーズ」第6弾。

 昨日の記事で、以下のことを書きました。
 「不明確なことは、本人に確認する以外に、ハッキリすることはない。とはいえ、やっぱり本人には確認しにくい」

 この言いにくさの正体は、いろいろあると思いますが、今回は「ハッキリさせる」ということにスポットを当ててみました。

 裏表なく、ウソ偽りなく、包み隠さず、正直に、自分がいま不明確だと感じていること、つまり「明確にしたい」と思うことを質問していると、次のように感じる人がいます。

・責められている
・怒られている
・キツく当たられている 等

 ただ不明確なことを明確にしたいから質問をしていても、相手は「キツい」「厳しい」と感じることがあるようです。

 では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
 仮に、上司Aが部下Bの言動について、明確にしたくて会話をしている場面で考えてみましょう。

 まず、観ておきたいのは、上司Aはどのようなスタンスでその会話をしていたか?です。相手がキツいと感じる可能性があるものをいくつか例示してみました。

◯不明確なことに腹を立てている
 ▶︎自分の怒りを処理するために会話していないか?
◯不明確であることが良くないと評価している
 ▶︎これもわからないの?とあきれた気分を晴らそうとしていないか?
◯不明確であることが理解できない
 ▶︎「それはこういうことでしょ?」と自分が考える答えを言わせようとしていないか?

 上司Aはうっすらと気づいているはずです。自分がどんなスタンスか。
 「それってどういうこと?」という質問をしても、これらのスタンスでは、質問じゃなく詰問に感じてしまう可能性があります。
 まずは、自分のスタンスは相手に答えにくさをつくっていないかどうかを探るようにしましょう。
 そして、その上で、「ハッキリしないところをハッキリとさせて、認識を一致しながら会話をしたいから、質問をしてもいいかな?」と前置きをすれば、相手にとって話しやすい環境に近づきます。

 次に、部下Bの立場でも観てみましょう。
 上司Aが怒りや鬱憤(うっぷん)を晴らすためでもなく、決めつけた答えを言わせようとしているわけでもなく、ただシンプルに「どういうこと?」と尋ねているかもしれないのに、部下Bがキツく感じる可能性もあります。

◯不明確なことをそのままにしておきたい
 ▶︎課題が明確になってしまうことを避けたい
◯不明確なままで進めたい
 ▶︎明確にしたことに縛られたくない
◯不明確なことが問題だと思っていない
 ▶︎そもそも前向きに状況を打開していきたいと思っていない

 部下Bは、自分自身の言い訳や自己弁護の逃げ道として、「上司Aがキツい」という問題にすり替えることができてしまう。でも、部下Bの自覚としては、「上司がキツい」という認識があって、自分が何かから目をそらしているかもしれないという認識はないかもしれない。

 上司Aにとっても、部下Bにとっても、どちらにも不明確なことを不明確なままにしておきたいという時があります。白黒ハッキリさせないでグレーゾーンを残すことで、何かを得ている。相手の渋い反応を見なくてすんでいるとか、自分の仕事が増えなくてすむとかで、それなりにできる人に見てもらえるとか。

 不明確なことを明確にする時のスタンス。
 不明確なことを明確にされる時のスタンス。

 いずれもそこが、相手とのパートナーシップを創り出す時の、最初のカギです。

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記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。