円陣

「厳しいことを言う」のが苦手なあなたへ

 noteマガジン「パートナーシップを磨く」は、(職場や学校や家庭で)安心で安全に話し合える関係と環境を創り出したい人が、その土台となるパートナーシップについて探究できるフィールドです。研修やセッションで扱っているエッセンスを届けています。

 連投128日目。昨日、大坂なおみ選手がコーチに求める条件に触れましたが、今日はその延長線上のことを見てみましょう。

 「厳しいことでも直接、言ってくれる人がいい」

 彼女が求めるコーチの条件、そのひとつがこれだと言います。

 もしかすると、「厳しいことを言う」というフレーズを聞いた時に、ふと、自分が厳しいことを言えないままでいる相手が浮かんだ人もいるかも知れませんね。

 ところで、「厳しいこと」ってなんだろう?

 それって、相手と敵対するために、言いたいことなんだろうか?
 それって、個人を傷つけるために、言いたいことなんだろうか?

 上司が部下に言う場合は、仕事で成果をあげる、あるいはチーム全体の協力関係や信頼関係を深めるために言いたいことだろうし、親が子どもに言う場合は、子どもが多くの人に慕われたり頼られたりしながら生きていけるようにするために言いたいことだろうし、テニスなら選手がいいプレーができるようになるために言うことじゃないでしょうか。

 そんな理想とする未来に向かっている時に、問題だと思うことや訂正が必要だと思うことを、ただ、言うだけですよね。
 しかも、相手は気づいていないかもしれないけれど、こちらは大切だと思うことを、ただ、言うだけですよね。
 つまり、ただ、物事をはっきりさせるために、こちらの考えをはっきりと伝え、相手の考えもはっきりと聴き、不明確なことを明確にしたいだけなんですよね。

 ただ、物事を明確にする会話をすればいいだけのはず。大坂選手が言っている「厳しいことを言う」も、率直に、言いにくいことも言うという意味合いが含まれるだろうと思うのです。

 だとしたら、「厳しいことを言う」って「言いにくいことを言う」とも言い換えられますね。

 そして、「言いにくい」のはあなた自身の反応であって、言われる側は、言われてみないとどんな反応が起きるかはわかりませんね。
・あちゃ〜痛いところつかれちゃったな
・そんなつもりじゃなかったのに…ショック!
・なんて、心外な!
・へ〜そんな風に捉える人もいるんだ
・そういう観点持ってなかった〜確かに言われる通りだわ 等

 言いにくいムードが自分に湧いてくる時、想定しているのは、「そんなつもりじゃなかったのに…ショック!」と相手が傷ついたり、「なんて、心外な!」と相手が怒りをあらわにしたりという未来なのかもしれませんが、他にもいろんな反応があり得るでしょう?

 相手を傷つけたり、怒らせたりするために言ってるんじゃないのであれば、明確にしたいことをただ明確にするために会話していることを、相手にも伝えればいいだけです。

「もしかしたら、これを伝えて傷つきはしないかと思うと、言いにくいんだけど、仕事の成果をしっかりあげるために、明確にしておきたいことだから、伝えてもいいかな」
「あのね、誤った情報で、誤解をしたまま仕事を進めたくないから、明確にしておきたいことがあるのね。何点か、確認するけど、もしそういうつもりじゃなかったのに、とか言いたいことがあったら言ってね」

 本題に入る前に、あなたの懸念を伝える会話をしてみることをおススメします。そして、「そういうつもりじゃなかったのに、とか言いたいことがあったら言ってね」と、反対意見を述べていいということまで明確にしていると、相手は感情的に伝えなくてもこちらに聴いてもらえるとわかるので、感情的にならなくて済みますよね。

 そして、「言いにくいんだけどさ」という前置きなんだけど、相手がしっかり受け取れるような内容だった場合、「あ〜なんだそんなことか。全然、言ってくれていいですよ」というような内容だったとしましょう。その時、相手は自分が見くびられた感じがする(こんなことで怒る人と思われたのか…)かもしれないので、そういうことも含んで言葉を選べるようになると、ずいぶん話しやすい環境を創り出せるようになると思いますよ。

 こういうのも、自転車に乗るのと同じで、練習&実践♪ 練習&実践♪

記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。