読書


本を読む面白さを知ったのは小学生の頃。

きっかけはたしか、席替えで僕が一番後ろの席になったこと。教室の後ろにあった小さい本棚に自然と目が行った。偉人伝や歴史の本、図鑑、小説などが置いてあったと思う。その中に一際分厚い本があった。上下巻で置いてあった。この一番分厚い本には何が書かれているのかと気になった。

まずはこの分厚い重量感。
ずっしりと重い。このずっしりという表現がとてもしっくりくる重さだ。
そして表紙。
タイトル。

新鮮な驚きと高揚感を感じながら
机の上に置いて表紙をひらく。
ひと文字一文字、ゆっくりゆっくり、ページをめくる。

物語の世界に自分の意識が入り込む。景色を眺める。人物がしゃべる。物体が質量と手触り、温度をもってそこにある。
確かに本の中に彼らは存在していた。
そして私も。


本を読むことに没頭した経験はこれが初めてだった。
早く続きが読みたくて仕方がなかった。
読みたい、というか物語のつづき、その先を知りたくて仕方がない。

私はこの本を機に自分から本を読むようになった。


今日もまた、ページをめくる。

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