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手術から三ヶ月。治療の間の不思議・びっくりアレコレ②

予想よりも遅れた桜も咲き始め、いよいよ春真っ只中。
四月には手術から3ヶ月を迎えるだけでなく、去年の五月に告知を受けてから再びの春になり、はや一年近く経つのだと季節からも感じられるようになってきた。
早かったような、長かったような、一年弱。
でもまだ治療は、次の冬の終わりまで続く予定だ。大きな治療は終わったけれど、まだ道半ば。
次の春はどんな気持ちで迎えているだろうか。

◇ ◇ ◇

少し間があいてしまったけれど、これまた下らなくも些細なことばかりの、治療の中でのびっくりしたこと・不思議だったことなどの備忘録・その2について

不思議だったこと

  • 生理食塩水の点滴は冷たい

抗がん剤の点滴を打つときは、最初に生理食塩水を入れて、その後で抗がん剤を入れ、薬が終わった後、最後にまた生理食塩水で流す、という流れで行う。
これは自分が通っている病院でのことだけなのかもしれないが、この最後の生理食塩水だけが、なぜか冷たく感じるのである。
あ、入ってきたな、というのが分かり、ひどいときは、冷たさに手首から先が冷たく痛くなってしまうほどなのである。

看護師さんに、
「生理食塩水は冷たくて、入ってきたのが分かる」
と言うと、
「なんでかそうみたいなんですよね。他の患者さんもそうおっしゃいます」
とのことで、看護師さんも理由はわからないよう。
ちなみにGoogle検索もしてみたけれど、それっぽい情報は見つからず。

自分の周辺の意見によれば、
・やはり温度が違う説:
生理食塩水のパックは(きっと)冷蔵庫などに保存されていて、抗がん剤の点滴パックとはもともとの温度が違うので、多少室温に晒されたとしても、その温度には違いがあるだろう、という説。
・濃度が違う説:
濃度というべきか液体としての粘度というべきか、生理食塩水は抗がん剤とは濃度が違い、血液に混ざりやすく、体温より低い液体が混ざったときにより冷たく感じてしまうのではないか、という説。
の2つ。
はてさて理由はいかに?

  • 顔のシミ薄くなる(爪には黒くスジが入るのに)

私は右頬の頬骨のあたりに大きめのシミがある。
若い頃に、ろくに日焼け止めも塗らずに、運転したりスキーに行ったりして、紫外線を浴びたせいだ(と思う)。シミに効果のある化粧品を使っても大して効果もなく、コンシーラーを塗った下でもその存在が分かるほど濃いシミで、ひと頃はレーザーで薄くなるならやってみようかなと思っていたこともある。

ところが、抗がん剤を打ち始めて数ヶ月経った頃、シミが薄くなっているように感じたのである。
抗がん剤のせいで顔色全体がくすんでしまって、ただシミが薄く見えているだけかなあ?と家族や知人に確認してみても、顔色は別にくすんでないよ、と言う。
やはりシミが薄くなっていたのだ。
爪の端には黒いスジが出るようになってしまったというのに、抗がん剤で顔のシミが薄くなるなんてことあるのかしら?と驚いた。

どうやらこれは抗がん剤のせいではなく、砂糖もしくは小麦粉が理由かもしれないと今は思っている。
抗がん剤を始めてからしばらく、口がまずくなって、小麦粉を加工した食べ物(パンやクッキー、カスタードクリームやチョコレートなど)はどうにも美味しく感じられず、ずっと食べないままでいた。きっとこれが原因なのだろうと思う。
シミが薄くなったことは、乳がんになって身体的に得られた唯一の恩恵?かもしれない。
でも、シミは目に見えて薄くなってくれたけど、なぜかソバカスは変わらない。

  • 冷たい飲み物を飲むと胸が冷たい(手術の後しばらくの間)

右胸全摘の手術をしてからしばらくの間、冷たいものを飲むと、胸のあたりが冷たく感じて、ちょっと不思議な感覚だった。

冷たいものを飲むと、胸の真ん中から少し右寄りのあたりまで、きぃん、というか、きゅっ、というか、冷たい感覚がひろがる感じ。
ただ、右胸を取っただけなのに、今までは感じたこともなかったのに、胸にあった皮下脂肪がなくなって、ダイレクトに皮膚表面の感覚(冷点)が反応するせいかしら?と思ったりしたけれど、よく分からない。

手術の直後はそんな違いからも、右胸を取ったことを身体から感じたりした。
手術から三ヶ月経った今は、もう馴染んでしまったせいか、冷たいものを飲んでも冷たく感じることもなく、もうそれも懐かしい感覚である。

◇ ◇ ◇

今となっては、そういえばそうだった、という懐かしい “びっくり” や “不思議” もある。
抗がん剤治療を終えて四ヶ月、手術からは三ヶ月。まだ爪の端っこは黒ずんだままだし、指先も少し痺れたままだ。
すっかり抜けた髪の毛は少しずつふわふわと生えてきて、前髪はまださっぱり伸びないものの襟足はもう長めになっているにも関わらず、いじらしくてまだ切れずにいる。
こうして少しずつ時間は過ぎていき、いろいろなものが戻ってくると同時に、いろいろことが遠くなり、また馴染んでいくんだろうなと思う。

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