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ミニマルミュージックと古事記

起きたのは2時40分だった。小腹がすいたのでYouTubeを見ながらお茶漬けを食べ、ブログの記事を投稿すると、その後はひたすらコーヒーを飲みながら「偉大なる敗北者たち―メアリ・スチュアートからゲバラまで」を読んだ。まだ早い時間だったのでローソンに行って赤ワインの「MICHAY」を買ってきて飲んでも良かったのだが、今日は午前中に内科の診察があって、9時には病院に行きたかったので我慢した。BGMはフィリップ・グラスやスティーヴ・ライヒといったミニマルミュージックである。
ミニマル・ミュージックは、1960年代のアメリカで生まれた音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽で、現代音楽のムーブメントのひとつである。テリー・ライリーの「In C」(1964年)やスティーヴ・ライヒの「It's Gonna Rain」(1965年)「Come Out」(1966年)などの作品が代表的なものである。
同時期にヨーロッパでは、ルチアーノ・ベリオ、ジェルジ・リゲティ、ヘンリク・グレツキらも単純反復による音楽語法を試みており、これらの作風はアメリカのミニマル・ミュージックと類似している。1968年には当時、音楽評論家として活躍していたマイケル・ナイマンがコーネリアス・カーデューの「The Great Digest」を評す際、当時は抽象絵画などを表現する時に用いていた単語「ミニマリズム」を文中で用い、音楽評論で初めて「ミニマル」の概念を持ち込んだ。
比較的シンプルなメロディーやリズムのパターンを、これでもか、というほど繰り返してパターン化し、それを複数重ねたり、それらを少しずつずらしたりして、同じパターンを繰り返し聴いている中にも少しずつ変化が現れ、ずっと聞いていると、それらが大きな音楽のうねりのようなものになって聴こえてくる音楽は、60年代のドラッグムーヴメントとも関係が深い。そうした手法は後年、ハウスミュージックに受け継がれていく。
8時になって大阪の再開発関係のブログや建設ニュースをチェックするが、特にこれといって目新しい記事がなかったので、9時になると同時に近所の病院に行った。今日は整形のリハビリと内科の診察である。リハビリはすぐに済んでしまうが、内科は待たされると思ったので、もうちょっとで読み終わる「偉大なる敗北者たち―メアリ・スチュアートからゲバラまで」と斎藤英喜の「古事記 不思議な1300年史」を持っていく。
内科の診察が予想よりも早く終わったので、この時間なら午前中の会議に間に合うのだが、サボってしまうことにする。薬局で薬を受け取ると、業務スーパーに行って、今日は赤ワインの「SIEMPRE」を2本買った。これからの予定は、「SIEMPRE」を飲みながらひたすら読書である。
「古事記 不思議な1300年史」によると、古事記は天武天皇の命で稗田阿礼が「誦習」していた『帝皇日継』(天皇の系譜)と『先代旧辞』(古い伝承)を太安万侶が書き記し、編纂し、元明天皇に献上されたものであるというのが通説であるが、これは確定した史実ではない。古事記の成立は712年だとされるが、奈良・平安時代の朝廷で編集された六国史の「続日本紀」には、720年の日本書紀の記述はあるが、古事記の記述がないのである。このことからも、近世(江戸時代)以降、偽書の疑いを持つ者があった。賀茂真淵(宣長宛書翰)や沼田順義、中沢見明、筏勲、松本雅明、大和岩雄、大島隼人、三浦佑之、宝賀寿男らは、『古事記』成立が公の史書に記載がないことや、序文の不自然さなどへ疑問を提示し、偽書説を唱えている。
また、平安時代前期に、国史である日本書紀の講義・研究を行った宮中行事の一種で、大学寮の学者が公卿に解説する日本紀講筵が行われ、太政大臣以下の公卿や官人が出席して熱心な講義・意見交換が行われたとされているが、ここで用いられているのも漢文で書かれた正史とされる日本書紀であり、上代特殊仮名遣「フルコトブミ」の参考資料として古事記がサブテキストとして用いられたに過ぎない。
天地開闢の部分を日本書紀と比べてみると、日本書紀では天地開闢は渾沌が陰陽(これは中国の陰陽五行説に影響されていると言われる)に分離して天地と成ったと語られ、続いてのシーンで性別のない神々の登場のシーン(巻一第一段)と男女の別れた神々の登場のシーン(巻一第二段・第三段)に分かれるのに対して、古事記では天地がいかに創造されたかの記載はない。世界の最初に、高天原に相次いで三柱の神(造化の三神)が生まれたとなるのである。神話全体としては、古事記は日本書紀と比べて出雲神話を大きく取り扱っている。
「古事記 不思議な1300年史」が読みやすかったので一気に読んでしまい、そのまま渡辺一枝の「消されゆくチベット」を読み始めた。何時ころまで読んでいたのか分からないが、ワイン2本を空けて、翌日の11時にヘルパーさんが来るし、午後からは精神科の診察もあるので、早めに寝ようと思って睡眠薬を飲んで寝てしまった。

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