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星が綺麗なのは

最近、欲しいと思うものは、常軌を逸していない限り、なるべく手に入れようと思っている。今は幸いお金は稼げているのと、いつどうなるかわからないということは2020で身に染みたので、つかめる物は今つかめという気持ちで過ごしている。

しかし、お金のあまりない学生生活を過ごしてきたから、100円以上の買い物は常に迷っている。商品と値段を天秤にかけて、釣り合っているかものすごく考える。時間の無駄だなあと思うこともあるけど、はじめの若干冷静さを欠いた決断が覆ることがあるから、これはこれで人生に必要な時間だと思っている。それにしても、人生のうちどれくらいの時間をこの迷いに費やしているのだろう。

そんだけの時間をかけて手に入れたものも、いざ手に入れると、そのことに満足しておわりのことがある。お店に並んでいるときはあんなに一つだけ光っているみたいだったのに、自分の部屋に置いてみるとにわかに色あせて見えてしまう。逆に、迷った末に買わないことに決めたものについては、ことあるごとに思い出す。そんなに引きずるなら、買ってしまえよ!と思う。

だけど、この気持ちがすべてかもしれないと思う。手に入れたいものは、簡単に手に入らない前提のものに輝くのだと思う。そして本当に欲しいものは手に入らないことを暗に示されているのかもしれない。そして手に入れたいという気持ちは、物に宿るのではなくいろんなものを宿主として付きまとい続ける。手に入れたい気持ちからは逃れられないということかもしれない。その気持ちをどれくらい飼いならすか、人間は試されているのかもしれない。

何でも手に入れすぎるとよくない。お金も名誉も持ちすぎると何かが離れていく気がする。遠くに輝くお星さまを、まぶしく見ているくらいでいいのかもしれない。この世にはまだ手に入れていない欲しいものがあると思うとワクワクできる。その気になれば手に入れられるけど、星は遠くにあった方が綺麗なのよ、と言っているくらいで生きたい。そうしているうちに、窮極、死んでもつかんで離したくないものがわかったら、手ぶらにしておいた両手でしっかり掴む。

それで、手元に置いたもののことはもっともっと愛でようと思う。

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