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令和5年11月6日の昼飯


本日、食したカップラーメンはこちら!

明星 
「一杯満足 シーフード味ヌードル」

だぁぁぁぁぁぁ!


早速! いただきます!

やっぱり、私としてはシーフードは日清のシーフードヌードルの方が好きだな。
何というか、濃厚さがたりないのよ。
各社、いろいろな工夫をしているのでしょうが、なかなかすべての消費者のど真ん中に収まるような商品というものは難しいのでしょう。
まぁ、そんなものが作れるのであれば、最初から苦労はしないわけでwww
などと、考えると……
日清のカップヌードルはさすがにすごい。
定番の醤油、シーフード、カレーなどは、いつまでたっても消費者の中心に存在している。
そして、その存在感から自然と比較対象にされてしまうのだ。
おそらく、後追いのメーカーはかなり意識していることだろう。
だが、いったん固定化した味の概念をひっくり返すのは至難の業。
でも、横綱もいつかは引退。
そう、カップラーメンの世界でも、いつかは味の常識も変わるのかもしれない。

ということで、今日は「横綱」つながりのお話を

 タカトはビン子に声をかけた。
「起きろ。ビン子。朝だぞ!」
「……ムニュムニュ……それは私のエビフリャイ……」

 いまだ起きる様子を見せないビン子を見てタカトは苛立った。
 ――寝言か! くそっ!

 だがしかし、次の瞬間、タカトの口元が意地悪そうに弛んだのだ。
 そして、油で汚れた腕がそーっとビン子の顔に伸びていくと、黒ずんだ指先が彼女の鼻と口をバランスゲームのパーツのようにそっとつまんだのである。

 うぐぐ
 息ができないビン子の顔は、みるみると赤く膨らんでいく。

 その様子を見るタカトは必死で笑いをこらえていた。
 だが、よほどおもしろかったのか、膨らむほっぺから時おりプププという小さな笑い声が漏れていた。

 一方、ビン子のほっぺも風船のようにパンパンに膨らんでいた。
 いまや眠気でとじた目を膨らんだほっぺの肉が横一文字に押しつぶしている。
 もう、先ほどまで美しいと思っていた女神様のご尊顔が、横綱のようにまん丸く膨らんでいるではないか。

 フンガ―! 
 次の瞬間、ビン子の張り手が、タカトの下アゴをクリーンヒット!

「エビフライ! とったどぉぉぉぉ!」

 高らかなビン子の勝利の雄たけびと共に、天へと突き上げられる横綱の掌底!

「我が生涯に一片の食い残し無し!」

 っご!
 その手の先をタカトの下アゴが白い唾液を引きながら飛んでいた。
 それに付き従うかのようにタカトの貧弱な体が宙を舞う。

「……1・2・3! カン! カン! カン! 試合終了! 試合終了!」
 ビン子の枕元にあった目覚ましがけたたましく鳴り響いた。

 誇らしげに腕をあげるビン子が、その手をそのままに伸びをする。
「もう、死んじゃうじゃない!」
 そんなビン子の金色の目は、涙でいっぱいになっていた。

 いまだ停止ボタンを押されぬ目覚まし時計がガタガタと騒いでいる。
「ガッチュさん! いい勝負でしたね! タカト選手全くいいところなしですね!」

 ――とっつぁん……俺は負けたのか……
 タカトはふらつく膝に力を込めた。
「って! やかましいわ!」
 立ち上がったタカトは目覚まし時計を力いっぱいに投げつけた。

「そうですね。ビン子選手の圧倒的な美しさの勝利で……」
 ガっツン!
 壁にぶつかった目覚まし時計の音声は、解説の途中でテレビがプツンと消えるかの如くピタリと止まった。

 しかし、一体、誰が目覚まし時計をこんな音声に設定したというのか。
 ベッドの上でビン子がにやりと笑っている。

「お前か! ビン子! 俺の大好きなアイナちゃんの『タカト君! 大好き! 大好きよぉぉぉぉぉ!』の音声はどうしたんだ!」
「えっ? あんなのキモイから消しちゃったわよ」

 ――何ですとぉぉぉぉ!

 その瞬間、タカトの空手チョップがビン子の頭に入った。
「いたぁぁぁぃ!」
「ボケかぁ! あの音声を作るためにどれだけ徹夜をしたと思ってるんだ!」
「いいじゃない。あんなオッパイだけの変態アイドルの合成音」
「馬鹿か! アイナちゃんは歌もダンスもいけてるんだぞ!」
「分かったわよ。私が代わりに声を入れてあげるわよ。『タカト! 大好き! 本当に大好きよぉぉぉぉ!』って!」

 タカトが白い目でビン子を見つめている。
「お前……アホだろ……」

 ――しまった……私としたことが、ついついいらぬことを口走ってしまった。
 ビン子は顔を真っ赤にしてうつむいた。
 うぅぅー

 そんなビン子が少々涙目になりながらベッドであぐらをかいてふくれている。
 窓から吹き込む爽やかな風が、足を押さえる手の間を通りシャツの前立まえたてを優しく膨らませていった。
 その瞬間、ビン子はとっさに両腕で胸を隠し身をよじる。
 そして、上目遣いうわめづかいにタカトをにらみつけたのだ。

「もしかして、私を襲おうとした?」
「誰がお前みたいなやつに興味があるかよ」

 さげすむような目で見るタカトの両の手は何かを包み込むように上を向き、タコの足の如くいやらしく動いていた。
 確実にエロい想像していると思われるその目元はだらしなく緩み、うすら笑いさえ浮かべている。
 そんなタカトの口からは、先ほどのビン子同様に一筋のよだれが垂れていた。

「俺はこう、もっとふくよかで、あのお姉さんみたいに……」

 ――そう、あのお姉さんだ……

 その瞬間、あれほどだらしなく歪んでいた眼がスッとシリアスになった。
 左手は、伴にエロい妄想をしていた右手に別れを告げたかと思うと、そっと自分の左のほほに添えられる。
 それはまるで何か昔の事を思い出しているかのようである。
 その証拠にタカトのまぶたの裏には、かつてみたお姉さんの顔がおぼろげに浮かんでいたのだ。

 かすかな記憶に残るお姉さんは、タカトを覗き込みながら泣いていた。
 その金色に輝く瞳から涙がとめどもなくあふれだしていたのだ。
 こぼれ落ちる涙。
 涙と共にその長い金色の髪が、5歳のタカトの幼顔おさながおへとたれ落ちていた。

 金色の目をした女は泣き叫ぶ。
「血が止まらない。体もどんどん冷えていく。どうしたらいいの……どうしたら……」

 女の膝に乗せられた幼きタカトの瞳孔が散っていく。
 そんな薄れゆくタカトの視界には、母が最期に笑った崖先がはるか遠くにかすんで見えていた。

 それほどの高さから落とされた幼きタカトは、今、全身血まみれの状態だったのである。

 第2話 プロローグ② より

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