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【好奇心】こどもの「なんで?」にどう応えるか『ピートラ』Vol.61

こんにちは。好奇心おじさん(かわばた命名)こと、機ちょーまさとです。
3~4歳くらいになり日本語を話し始めた子ども達が、ものすごい勢いで「なんで?」って聞いてくることは、子育て経験のない方でも目にしたことがあるんじゃないかと思います。最近の育児書なんかでは、子どもの「なんで?」に対して、ぺろっと正解を与えるのも良くないので、子どもの目線になって一緒に考えてあげましょう、って感じのことを書いてある。でも、ほんとに全部の「なんで?」を一緒に考えてたら一日24時間じゃ足りないわ!って突っ込みたくなるよね、みたいな話は周囲の親御さんたちからよく聞きます。

今回はこの、いわゆる子どもの好奇心の象徴と言って過言ではない「なんで?」にまつわる、親の期待と子どもの意図のギャップについて、「もやもや会(社内の集まり)」で考察した内容を通して、見えてきた対処法(笑)を皆さんに楽しくお話したいと思います。


親の期待と子どもの現実

実は。
自分自身はお父さんとして、うちの子ども達が「なんで?」を繰り出してくることを心待ちにしてました。「お空はなんで赤くなるの?」とか「雪はなんでつめたいの?」とか「くるまはなんで走るの?」とかそういうの。自他ともに認めるオタク体質であるぼくは、嬉々として雑学知識を披露して、子ども達の好奇心にお答えして「父ちゃんなんでも知ってる」と子ども達にリスペクトされたい期待でいっぱいだったわけです。
ところが。
パターン.1
父「お風呂はいるよー!」 子「なんで?」 ←いいから入れ
パターン.2
父「くつはいて」 子「なんで?」 父「お外にいくから」 子「なんで?」 父「キミが遊びに行きたいって言ったんじゃん」 子「なんで?」 父「なんで?」 子「うふふふふ」
パターン.3
(テレビを見ていて) 子「ねぇねぇ父ちゃん」 父「なんだよ」 子「てれびのここ(場所)はどこ?」 父「え~っとね、水面に鳥居が見えるから芦ノ湖か厳島か……」 子(立ち去る) 父「オイ」

実際はこういう感じの「なんで?」ばっかりなので、父ちゃんは欲求不満です。キミたち「なんで」「なんで」言うくせにほんとは質問する気ないでしょ。それらにまともに答えてたら時間がいくつあっても足らなくて生活回らないし、そもそも興味があるのかないのかよくわからんし、どうしろっていうんじゃいと、個人的に色々思うところはありましたが、これは良いネタになるなと社内のある集まりに持ち出してみました。

「もやもや会」に出してみた

ピープルには月に一回、自由参加のオンライン集会「もやもや会」というのを開催しています。10人弱くらいがZoomに集まり、ブレイクアウトルームに分かれて、一つのテーマに対して深堀するために、あまり深く考えずに言葉を出し合い、最後共有するだけの会です。結論はあっても良いし、無くても良い、参加することに意義のある会だと思っています。

もともとは新商品企画の大本になるような、ネタの持ち寄り的な目的の集まりでしたが……。企画ネタよりもっとずっと深いところをディスカッションすることが必要なのかもしれないという流れになりました。我々の商品のネタは子ども達の本能的な行動観察から得るべきで、この会では「どんな視点で子どもを観察するか」とか「観察で得られたネタをどう料理するか」という自分たちの思考訓練の場であるべきなんじゃないか?と目的を再設定したんです。
以降2年ほど、あえて身近なテーマを深堀することで、そのなかに潜む「もやもや」をわざわざ見つけ出して考えて、議論して一定の答えを出したり出さなかったりし続けました。その過程の中で他人の雑なコメントから全然違う刺激を得て新しいコメントが出て、またそれが別の誰かの刺激になって……という小さなイノベーションが起きたりします。

個人的には、いつも何かの答えを出してシビアな判断をしなければならない日常に対して、もやもや会の2時間/月は、脳をリセットして自由に動かせる貴重な時間だったりします。

ということで、この会に「子どものなんで?とは何なのか」という問いをブッ込んでみました。

子どもの「なんで?」は多機能で便利な道具

いつも通り、メンバーは「なんで?」について、大真面目に考えてテキトーなコメントを次々出していきますが、その中でだいぶ見えてきた気がしました。子どもには様々な意図で「なんで?」を使いまわしていたんです。

上の例で言うと
パターン.1 …… 拒否の気持ちを表現する、時間稼ぎ
父「お風呂はいるよー!」 子「なんで?(まだ遊んでいたい)」

パターン.2 …… 単にかまってほしい
父「くつはいて」 子「なんで?」 父「お外にいくから」 子「なんで?」 父「キミが遊びに行きたいって言ったんじゃん」 子「なんで?」 父「なんで?」 子「うふふふふ(満足)」

パターン.3 …… 質問したかっただけ(答えは求めていない)
(テレビを見ていて) 子「ねぇねぇ父ちゃん」 父「なんだよ」 子「てれびのここ(場所)はどこ?(この時点で満足)」 父「え~っとね、水面に鳥居が見えるから芦ノ湖か厳島か……」 子(立ち去る) 父「オイ」

これらのように、好奇心からくる質問というより、単純にかまって欲しい、お話したい気持ちの時に便利に使っているのではないか?という仮説にまとまってきました。ということは。
忙しい子育て中の親御さん方にとって、大真面目に何かを答えたり、一緒に考えてあげるなど多くの時間を使わずとも、遊んでさえあげれば子どもたちの気持ちに応えられるのではないか、という朗報に捉えることができます。

時々、いきなり、子どもは核心を突いてくる

ただ。
ごくたまに、真剣に向き合うべき芯をついた質問が飛んできます。

最近の話。
妻と2人の男児を連れて近所の温泉に行った時。
次男「なんで ぼくは 女湯に入れないの?
そういう風にきまってるからだよ、と口からペロっとこぼれそうになるのを必死でこらえて考えました。

なぜこの子はこの質問をしてきたのか。
男湯は3名に対し、ママが女湯で1人になるのが、寂しくてかわいそうだから一緒に入ってあげたいというやさしさから出た言葉に違いない。小さいお脳で一生懸命考えて出てきた言葉に、父ちゃんは涙がこぼれそうです。一刻も早くお風呂に入りたい(長野の冬は寒い)気持ちをこらえて、一緒に考えることにしました。話し合った結果は本題と違うのでここでは言及しませんが、時間をかけて子ども達の気持ちをお話してもらって、納得の上で我が家の男たちは男湯に入ることができました。
急に飛び出すジェンダー問題。ほんと、ものすごくたまにこういう核心をついた「なんで?」が出てくるから油断できない。大人がもっている変なバイアスで子どもの好奇心にフタをさせてはいけない。

いつでも「好奇心対応」ができるわけじゃない

この仕事をしていると、「いいから早くやんなさい」というセリフを使うことを極端に敬遠して、悩んでしまうお母さんにちょくちょく出会います。

育児書なんかでも、子どもに指示するときは必ず理由も添えましょう、みたいに書いてあったりしますからね。子どもと真摯に向き合いたい、向き合わなければならないというまじめさが伝わってきます。

ただ。「子どもの好奇心に応えたい」というパーパスを持つ私たちですが、今のところの結論を言うと、共働きが多数派になった現代の日本のご家庭では、子どもの気持ちに100%応えながら生活することは難しいと思います。
自分自身も
「いいからお風呂はいれぇ!」
「はやくやんなさい!」
「とにかく片付けなさい!」
「はい!お目め開くの今日はもうきんし!」
これらのセリフなしでは生活が回せません。
重要なのは選球眼。ここぞという場面を見極めて、子どもとじっくり向き合う時間をとりつつ、「いいからやんなさい」も使ってきちんと生活を回せるバランスが必要なんじゃないかと思いました。

今回は以上です。長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。


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