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弥生短歌 20首vol.7


1.スカイブルー クリームソーダ 外側に
びっしり水滴 目が離せない

2.凍る雪 載りし梅花の 花弁は
艶やかなのに 残酷な色
 
3.かさぶたを 剥がす気持ちに 酷似する
君の目を見て 血が出てもいい

4.再開発 街は一つの アメーバだ
細胞分裂 ぐにゃりと肥大

5.スマホ越し 遠くの国も 見られども
匂いや湿気 直に浴びたい

6.ちょうどいい 言葉でうまく 表せない
そのままそっと 繭で包(くる)んで

7.年下の 君はいつでも ふざけてて
翻弄されて 我に返る

8.名残雪 ぼってり水を 含み待つ
君の受験の 合格通知

9.ああそうだ やっと気づいた 感情は
私を覆う 憤怒のマグマ

10.吹き抜ける 強い西風 葉を揺らし
春の嵐よ 掻き乱す午後

11.文旦の きめ細やかな 薄黄色
香り気高く アジアの貴婦人

12.スマホ置き 手ぶらで出かける 寒い朝
見るもの全てが 解像度高く

13.春の陽が キラリと注ぐ 鉢植えに
霧吹きかける 虹が幸せ

14.朝6時 タワマンの灯り 漏れるのは 
いつも決まって 上層階角

15.お茶にする? ふっとお互い 声かける
日曜の午後 至福の瞬間

16.新しい ビルが建ったら その前は
思い出せない 記憶はあやふや

17.後悔は いつも遅れて やって来る
寄せては返す 細波(さざなみ)のよう

18.満月の 獰猛さには 抗えず 
人は時々 獣に変わる

19.AirPods  片方失くした 頼りなさ
君への気持ちも きっと足りない

20.権力に 固執する様 禍々(まがまが)し
滑稽ささえ 狂気に満ちる

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