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映画『恋文』 (ネタバレ感想文 )倍賞美津子はいい女。燃えろいい女。

2003年に連ドラになってたんですよ。
主演は渡部篤郎、水野美紀、和久井映見。脚本は岡田惠和。水野美紀とか和久井映見とか好きよね。
岡田惠和フリークなので当然そのドラマを観ていたんですが、「いつかショーケンの映画も観たいね」と夫婦で話して早18年。ついにその「いつか」が来ました。だいたい我が家はこれくらい呑気に暮らしています。そして今調べて分かったんですが、その連ドラの際の子役が後の「ひよっこ」の三男でした。これが歳月の恐ろしさ。

「ショーケンの映画」という認識でいたのですが、「倍賞美津子の映画」でした。「女性映画」と言い換えてもいい。
いや、「女性のプライド映画」と呼ぶのが正しいかもしれません。
金子修介に『プライド』(2008年)って映画がありますが、一条ゆかり的肉食女子の意地の張り合いではなく、『恋文』 で描かれるのは、倍賞美津子と高橋恵子二人の「内に秘めたオンナの矜持」とでも言いましょうか。
それがカッコいいし美しい。倍賞美津子はいい女。俺達のシンコ=高橋恵子様は関根恵子時代からいい女。なんで高橋伴明なんかと結婚したかな。そんなことはさておき、倍賞美津子のいい女っぷりが際立つ映画だと思います。燃えろいい女。世良公則とツイスト。言いたいだけ。

ショーケンはね、もういいんです。ショーケンだから。
どんな酷い仕打ちされても、その困ったような笑顔一つで、女なら許してしまう。オッサンの私だって「しょーがない人ねぇ」で済ませてしまう。
役作りウンヌン以前にそのキャラクターで成り立ってる話。

ただ私、クマシロ世代じゃないんです。
『青春の蹉跌』(74年)や『地獄』(79年)、『もどり川』(83年)なんかを観ては低評価を付けて、諸先輩方から「クマシロは一般映画じゃねーんだ!ポルノ観ろポルノ!」とお叱りを受けることを繰り返しております、はい。
で、何が言いたいかというと、『恋文』は高評価なんですが、でもやっぱり70年代の映画に見える。
1985年の映画でしょ?森田芳光『それから』と同じ年ですよね?
公開当時に観てたら「古臭い」って切り捨てていたかもしれません。

80年代って、映画でも音楽でも、まだ70年代カルチャーの残り香が漂っていた気がします。シティ・ポップとムード歌謡が混在しているみたいな。
杉山清貴とオメガトライブに並んで内山田洋とクールファイブがいる感じ。この例えが正しいかどうかは謎だけど言ってみたかっただけ。

そう考えると、この映画は古臭いわけじゃなかったんだ。
高校生のボクには理解不能な「男と女の機微」を、70年代を謳歌した一世代上の「大人」に向けて描いた映画だ、ということに思い至りました。

(2021.09.26 神保町シアターにて鑑賞 ★★★★☆)

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監督:神代辰巳/1985年 日

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