マガジンのカバー画像

THE VOYAGE アポロ特別号

10
運営しているクリエイター

記事一覧

早い者勝ち?!世はまさに月面大航海時代!!

1969年7月20日16時18分。’’The eagle has landed” という言葉ともに、アポロ11号は月面に降り立った。それから半世紀が経つものの、アポロ11号ほどの歴史的な出来事を人類はいまだ経験していない。 人類は月の支配者となったのだろうか。 月面を縦横無尽に車が走り、地下居住区には各国の研究所や宿泊施設が建築され、いつも地球からの出張者や観光客たちでごった返している。 50年前アポロを見た人たちはきっと想像していたに違いない。 しかし、未だ月は静かなまま

史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」始動 - ispace の月面資源開発と新たな産業創出 -

株式会社ispace | Founder & CEO 袴田武史 SpaceX Falcon 9 ロケットで2020年、2021年に月へ打ち上げ 史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」始動 月面探査レースは次のフェーズへ 株式会社ispace は、計画を進める月周回と月着陸の2回のミッションに向けて、アメリカの SpaceX と打ち上げ契約を締結しました。同社が提供する再使用型ロケットFalcon 9 にランダー(月着陸船)を搭載して打ち上げ、月周回ミッションを

次世代のアポロへの想い

「夢は宇宙飛行士です!」 それが少年のキャッチフレーズ。 6年生の時だったかな。 僕がまだ公文に通っていた頃。でも「公文大好き、勉強大好き」なんて一度たりとも思わなかった頃。与えられた文章を読み、解答欄を埋め、延々と問題集を進めていた僕は、一編の抜粋文に心を奪われた。 「これからみなさんを、『相対論』の世界へご案内しましょう。」 そういって僕に宇宙をくれた一冊の本。 そこには僕が聞いたこともないような世界が広がっていた。重力によって時間の進み方が変わったり、進む速

アポロの失敗、シャトルの成功

 はやぶさ2の人工クレーター生成、イスラエル月面探査機ベレシートの月面着陸失敗、ブラックホールシャドウの直接撮像成功など、ビッグニュースが盛りだくさんな昨今の宇宙界隈ですが、本記事では僕の勝手な趣味全開で有人宇宙探査を取り上げてみたいと思います! ★彡 5年以内に再び月へ というのも、先月末にアラバマ州ハンツビルで行われたペンス米副大統領の演説が、めちゃくちゃ直球で力強く、NASAに対して怖いくらいの脅しと発破を掛けるものだったからです。曰く、 "我々は5年以内に再び月

歴史的偉人との遭遇 -バズ・オルドリン-

宇宙開発だなんて言ったって、日々の仕事はそんな地味な作業の連続である。しかし、この日は特別だった。2015年1月、フロリダ・ケネディ宇宙センターへと向かった。そこで出会った人物は、今からおよそ46年前に月面に着陸した僕のヒーローだったーー。 人類が誕生してから25万年の間に、何百億もの人が、この地球という星で生を享けた。その殆どは地球以外の星の土を一度も踏むことなく、地球の土へと還っていった。 しかし、たった12人だけ、例外がいる。アポロ計画の宇宙飛行士たちである。そして

エイハブの六分儀 ~7月の星空案内~

『天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に出でし月かも』 百人一首にある和歌ですから一度は耳にしたことがあるかと思います。PEQUOD内で開催される天体観望会を「仲麻呂会」と呼んでいます。アメリカ、イギリス、日本各地それぞれ離れた地で星空を見上げよう、という趣旨で発足者および命名者は小野さんです。 この和歌を詠んだ安倍仲麿(百人一首での表記)は平安時代に遣唐使として唐に渡り、時の玄宗皇帝に仕え当時の著名な李白といった詩人とも交流があったそうです。長年の宮廷での勤めを終

アポロの子

今月号の特集記事を書くため中須賀先生にSkype越しにインタビューした時、アポロの思い出を楽しそうに、懐かしそうに語る中須賀先生を見ながら、僕は強い羨望の念を抱いた。 僕はアポロ計画が終わって10年後に生まれた。図鑑でアポロを知った世代だ。本がボロボロになるまで何度も読んだ。サターンVロケットの全長だとか、アポロ宇宙船の各部の名称だとかを、全部記憶していた。紙をセロハンテープで繋ぎ合わせてサターンVとアポロ司令船、機械船や月着陸船を作った。ロケットは子供部屋の地球儀のケネデ

アポロから超小型衛星へ〜宇宙には人類の哲学を高める力を持っている

現在、宇宙開発の第一線で活躍している技術者や科学者の中には、50年前にアポロの「洗礼」を受けてこの道を選んだ人が多くいます。小野雅裕さんの恩師である東大の中須賀真一先生もその一人。今回は小野さんが Skype 越しに中須賀先生にインタビューし、アポロの思い出から現在のキャリアに繋がるまでの紆余曲折、そして未来のビジョンについて語ってもらいました。 アポロの洗礼 「おう小野くん、なかなか頑張っているみたいだね。」 Skype の向こうには、15年前と何も変わらない、軽快な関

月着陸50周年〜僕とあなたの「小さな一歩」

「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ。」 1969年7月20日、ニール・アームストロングが人類ではじめて月に足跡を残した時、そう言いました。 あれから50年。人類は、僕たちは、どう変わったでしょうか? 文明の、地球の、宇宙の、大きな流れの中で、僕たちはそれぞれ小さな、しかしかけがえのない人生を送っています。人生とはいわば、「人類にとっては小さな一歩だが、一人の人間にとっては偉大な飛躍」をいくつも刻んでいくことです。 僕の家には3歳の女の子が

SPACE SHIP PEQUOD CREWS の note が始まります。

みなさんはじめまして。SPACE SHIP PEQUOD CREWS の note部です。 SPACE SHIP PEQUOD とは、NASA JPL(ジェット推進研究所)に所属する小野雅裕さんの読者コミュニティで、この note という場所で、みなさんと一緒にもっと宇宙を旅したい!そんな思いから note部を立ち上げることとなりました。 小野さんと、各方面でご活躍の多彩なゲストからのご寄稿で毎月お届けしている宇宙メルマガ『THE VOYAGE』から、特に反響が大きかった