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森保監督の言葉~良い守備から良い攻撃へ

森保監督と日本代表の一行が日本に帰国しました。

帰国会見を全部見られたわけではありませんが、ネットニュースではすでに次の監督をどうするか、森保監督の方向性が間違っていなかったのかについてのかまびすしい論議が行われています。

その論調は、守備を固めてカウンター、と攻撃重視で組み立て、で行くのとどちらがいいのか?という論議になっているようです。

サッカー素人の自分としてはこの論調にいつも違和感を感じていました。守備も攻撃も両方必要なんじゃないですか?と。

もしものすごい強い相手に4-2-3-1のような長い布陣を引いて打ち合いに出たらどうなるのでしょうか。

ゴロのパスをつないでいくときに強い相手はもちろんパスの相手にタックルして取りに行く、あるいはパスコースを読んでそこに走りこんでインターセプトしてきます。その敵の攻撃をかいくぐるために、パスにはさらにスピードが要るし、ボールをきちんと止める技術も要ります。

もし、そのパスが通らなかったら、全部インターセプトされちゃったらどうするんですか?つまり敵の個人能力が自分たちより上だったら、陣形をコンパクトにするしかないじゃないですか?それは守備的布陣と言うんじゃないでしょうか。

だから、自分の感覚としては、攻撃が大事、とか守備が大事、とかじゃなくて、両方大事。相手が強かったら自分たちの布陣を圧縮してドイツ戦の時のように3バックないしは5バックで守り、もし相手が引いてきたら攻撃に枚数を増やして4バックにするという臨機応変性が必要なんじゃないでしょうか。

あと、日本のサッカーをすぐたたく人たちが口にするのが、バックパスが多いとか、横パスが多いとのコメント。この批判は必要なんだろうか、と思います。マイボールを保ち、相手の守備を引きはがすためだったら、バックパスももちろん大ありです。どんな強豪国もコートを大きく使って、キーパーまで使ってマイボールを保とうとしています。意図を理解せずにバックパスはだめだ、という批判ばかりしていてはダメなんじゃないかと思います。

たとえば、クロアチア戦での三苫選手。かなりマークされていました。彼にボールが入る瞬間に二人、三人がマークに駆け寄ってきます。その時に彼は無理してドリブルでかわしにいくのではなく、他の選手にマークに行くべき人を引きはがせたことをよしとして、右方向にはたくようなパスを少なくとも複数回行っていました。これは無理なチャレンジでボールを失って逆にカウンターを食らわないよう、良い選択だったと思います。そして、あの本当に惜しかったミドルシュートを放った時は、パスという選択肢を見せた後だったのでああいったドリブルからのシュートが打ちやすい、守備する側にいろいろ考えさせてからの素晴らしいチャレンジだったと思います。あれが入っていたら日本が勝っていましたね。

そして、交代で入った浅野選手。ドイツ戦ではものすごいランとシュートでその再現が望まれましたが、クロアチアのディフェンスがえげつなく強かったですよね。浅野選手が前線に1枚いて、そこでキープするのはどれほど大変だったか。そんな中印象に残る一回のバックパスがありました。向こうの左サイドの押出に負けずに何とかキープして後ろにパス、結局最終ラインまでボールが帰ってきましたが日本はボールを保持して次の攻撃を始めることができました。すごくいいキープだったと個人的には思いました。あのキープを誰もほめずに、浅野選手は全然ダメだったというのは、ちょっと違うと思います。

そして森保監督の指導。
良い守備から良い攻撃へ、という言葉で指導されていたとか。

今回のワールドカップ、まさに良い守備、は高いレベルでOKでした。クロアチア戦も0点に抑えたわけですし。次のワールドカップに向けては、そこからの良い攻撃、を今後どう積み重ねるか、のトレーニングになるのではないかと思います。森保監督の方向性が間違っていたというのは言い過ぎです。

弱い相手にボールを支配して、司令塔が散らすパスサッカーは確かに格好いいです。しかし、相手が自分たちより早くて、インターセプトされて、タックルしてボール奪われたら、格好いいサッカーができますか?組織的にしっかり守って、こちらが相手のボールをインターセプトして攻めに転じるしかないんじゃないでしょうか。まさに良い守備から良い攻撃へ、のキャッチフレーズは間違っていないと思います。

森保監督が名監督である、と言える自分が考える二つ目の理由は、
目標とする言葉が明確で、各選手が達成可能だった、という点と思います。

今回のワールドカップで日本代表のパス回しのスピードを見ていましたが、カズやゴンさんの時代よりどれだけ早くなっているか。そしてワンタッチで正確に敵のマークをかいくぐってボランチ経由でパスを出せる回数がどれだけ増えているか。ダメだダメだと批判する前に、どれだけ昔と比べて進歩しているか、という比較するような番組をどこかのテレビ局かインターネット局が作ってくれたら、すごい面白そうです。

まあ、今評論家になっている過去の選手たちは、今の選手より自分が下手なことがばれたら困るから、そんな番組は作れないかもしれませんが、そこは大きな懐と勇気と謙虚さでそんな番組を一個くらい作ってほしいですね。





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