今日は金曜。 これから新幹線に乗り、東京に向かう。 花とケーキを買っていこう。 こんなところに花屋があったのか。いつも通っているはずなのに。 一輪か花束か。4、5分…
実家の冷蔵庫には年中麦茶が入っている。 鶴瓶の麦茶。母はパックを大量に入れるので、ピッチャーの底がいつも黒ずんでいる。 両親が寝静まった、小学2年生の8月の夜。 ど…
「やっぱまだ好きなんだよな~」 深夜の鳥貴族でチーズつくねを頬張る私に、泥酔気味の友人が語る。 また始まったよと内心少し呆れながらレモンサワーを流し込む。 川谷絵…
perch_lover
2024年5月21日 22:55
今日は金曜。これから新幹線に乗り、東京に向かう。花とケーキを買っていこう。こんなところに花屋があったのか。いつも通っているはずなのに。一輪か花束か。4、5分悩み、部屋に置きやすい小さな花瓶に入ったものにした。崩れないよう小脇に抱え、駅に急ぐ。5月の夕暮れに、白と青がゆらゆらと揺れた。ケーキはあそこの店にしよう。ショーケースの前には、骨伝導のイヤホンをした大学生、私、スーツ姿のお
2024年5月15日 21:59
実家の冷蔵庫には年中麦茶が入っている。鶴瓶の麦茶。母はパックを大量に入れるので、ピッチャーの底がいつも黒ずんでいる。両親が寝静まった、小学2年生の8月の夜。どうしても喉が渇いた。小さな湯のみに麦茶を注ぎ、一気に飲み干す。ふぅと一息ついた後、キッチンだけを照らす明かり。その時、私は、はじめて世界に自分しかいないと錯覚した。その日から、真夜中に麦茶を飲むと私は毎回切なくなる。就職にあ
2023年10月17日 18:27
「やっぱまだ好きなんだよな~」深夜の鳥貴族でチーズつくねを頬張る私に、泥酔気味の友人が語る。また始まったよと内心少し呆れながらレモンサワーを流し込む。川谷絵音似の友人は、去年の十二月に高値の花に手を延ばそうとし、あえなく崖から落ちたのだ。一ヶ月に一度飲む仲の私たちの会話は、必ずこの話題に行き着く。一目惚れだったんだと語る彼の目には、涙が滲んでいる。ただ、それが彼女を想ってなのか、夜勤明けの