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伸びる企業は社員のウェルビーイング、とりわけ健康以外の要素を重要視している

さあ、はじまりました!「リケジョのコンディショニングコラム 008」
このコラムは東工大出身のリケジョ、製薬会社勤務を経て、現在はヨガインストラクター、そして0歳児の育児に奮闘中であるEriが、科学の視点も踏まえて、ベストパフォーマンスを発揮するためのヒントをお伝えしていきます。

今月のテーマは「ウェルビーイングとパフォーマンスの関係性」

健康経営の一歩先“ウェルビーイング経営”と言われることが多くなりました。一見、社員のウェルビーイングに投資をしても、企業には利益があるようには思いません。

しかし、最新のレポートによると、社員のウェルビーイングを投資先として選ぶことが、理にかなっていることが示されてきました。

今月は、社員のウェルビーイングとパフォーマンスの関係について、一緒に考えていきたいと思います!

① 成果主義からウェルビーイング経営へ

i4cp(Institute for corporate Productivity)という、企業の生産性向上をテーマに調査などを実施する世界最大級の非営利目的の組織があります。

10年前(2011年)にこの組織が発表したレポートのテーマは、「成果主義」。

つまり、「成果と昇給・ボーナスを紐付けているか?」「高いパフォーマンスを発揮する組織は何故、成果主義を導入するのか?」といった調査レポートが出されていました。

こうした流れはその後、日本にももたらされ、あなたが働く企業でも成果主義が導入されたかもしれません。

実際、私が製薬会社で働いていた時も、営業成績がダイレクトにボーナス・昇給に紐付いており、半分ラッキーで(努力が報われて?)ボーナスを沢山頂いた期もあれば、寂しい期も…。

努力次第でお金を沢山もらえることは嬉しい反面、努力とは関係のない不可抗力で営業成績が悪くなってしまった期は、理不尽さを感じる制度でもありました。

また、学生時代の借金を両親に返済してからは、前ほどお金への執着がなくなり、成果主義で私のモチベーションが上がったか、というと疑問が残る点です。(あくまで私個人の話ですが…)

世界でも、成果主義だけでは立ち行かなくなってきた、という話も。そこで今、i4cpが注目しているのが“Well-being”です。

② 高いパフォーマンスを発揮する組織の特徴とは

i4cpが2020年に出したレポートによると、高いパフォーマンスを発揮する組織は、社員の”包括的な”ウェルビーイングを重要視していることがわかります。(以下グラフ参照)

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いわゆる健康経営で重要視される心身の健康は、パフォーマンスが良くない組織においても、ある程度注目されています。

その反面、「コミュニティ」や「キャリア」、「金銭面」、「人間関係」といった健康以外の要素では、パフォーマンスの高い企業と低い企業の間で大きな差が…。

働く人、一人一人が心身ともに健康であることが、高いパフォーマンスを発揮する土台になることはもちろんです。

しかしそれ以外にも、職場での人間関係、仕事のやりがい、給与面など、様々な項目での”ウェルビーイング”が重要だと言えそうです。

③ 包括的ウェルビーイング達成には、どのような施策が有効か考える

では、どうしたら様々な項目でウェルビーイングになれるのでしょうか?

「金銭面」は一旦脇に置いておいて、「コミュニティ」・「キャリア」・「人間関係」という項目においては、ヨガ・瞑想・運動がとても有効です。

それぞれの代表的なエビデンス(科学的根拠)も紹介します。

a) 瞑想
ドイツの心理学者タニア・シンガーの研究で、瞑想のトレーニングプログラムに参加した人を観察したところ、参加者は集中できる時間が徐々に長くなっただけでなく、自分の気持ちを深みのある言葉で説明できるようになったり、他人の気持ちを的確に表現できるようになったり、更には行動も以前より寛容になったと言います。

一言で言えば、共感力と集中力、寛容力が増したと言うことです。

この3つの力が伸びれば、対人関係が良好になったり、仕事のパフォーマンスが向上したりしそうなのは、容易に想像ができますね。

b) 運動
京都府立大学が行った研究によると、4年以上、継続的に運動を行っている人の80%が「人づきあいが良くなった」と感じていることが明らかになりました。

これは、運動によって分泌される脳内物質によって、前向きになり、協力や団結が促進されることによると考えられています。

c) ヨガ
大阪経済大学と長崎大学の共同研究によると、ヨガによって「意欲」「満足感」「健康感」が向上し、「孤独感」「対人不安」が減少することが示されています。

更に、「人生への意欲」や「満足感」も同時に向上しており、まさにヨガによって包括的なウェルビーイング向上がもたらされたと言えるでしょう。

④ 包括的ウェルビーイングにはヨガの教えが効果的?

ここからは私がヨガインストラクターとして思う個人的な意見ですが、健康だけでなく、「キャリア」「コミュニティ」「人間関係」といった多くの項目で“満たされている”と感じるには、ヨガ哲学で言う「知足」と言う教えが非常に重要なのではないかと思います。

「知足」とは「足るを知る」、つまり、「すでに足りている(満たされている)ことを知れ」と言う教えです。

“満たされていない”という思いは“欲”や“嫉妬”、“妬み”などの人間関係やキャリア、コミュニティを築く上で弊害となる感情を生み出します。

“ない”ものに目を向けるのではなく、“ある”ものに目を向ける。

これだけで、状況は変わっていないのに、驚くほど自分の気持ちが変わることがあります。

先ほどは脇に置いておいた「金銭面」という要素でさえ、収入は変わらずとも捉え方が変わることで、“満たされていない”と不安や不満を感じるか、“十分足りている”と満足と安心に感じるかが変わるのです。

このことに気がつくと、「金銭面」「キャリア」「コミュニティ」「人間関係」といった包括的なウェルビーイングに一歩近づくことができるかもしれません。

⑤ 包括的ウェルビーイングの状況になるとどう変わるか

心身の健康に加え、「金銭面」「キャリア」「コミュニティ」「人間関係」で満たされると、自分の感情はどうなるでしょうか?

“嫉妬”や“妬み”、“焦り”、“不安”といった感情が消えるのではないでしょうか?

「こうした変化が社員に起こると、社員が顧客と長く良い関係を築き、会社により貢献するようになる」とアメリカ大手保険会社の役員であるTim Stateも言っています。

成果を上げる手段として、スキルやインセンティブに注目しがちですが、社員一人一人が“ウェルビーイング”、つまり安心して、生き生きと働ける環境作りが重要なのかもしれません。

また、ひとりの労働者としても、働くことが“苦”ではなく、“喜び”と感じるのが当たり前の社会、そんな社会になったら良いな、と願って止みません。

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ととのえサポーター 尾賀 絵里
(インストラクター・ヨガリサーチャー)

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