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No.120 1989年 メディアリテラシーとしてのNIE起点の授業 5年生社会「新聞とともだちになろう」初等科教師9年目の実践

 エッセーNo.17「1987年 教員人生のターニングポイント 社団法人日本新聞協会冊子『ご存じですか NIE NEWSPAPER IN EDUCATION』が職員室の机上に」で私がNIEの存在を知り、日本新聞協会NIE部の方々や新聞各社の方々と知り合いになり、私のライフワークの一つにつながっていくのでした。
 そして、1989年5年生を担任することになり、それまでのNIEに関する知識や学習内容・方法を駆使して新聞を活用した24時間の学習を計画し実践しました。その実践「新聞と友だちになろう」が私のNIEの原点になりライフワークの1つとして現在でも実践・研究をしています。今回話題を提供する実践については、当時の東京都NIE推進委員会の1990年度(平成2年度)の研究報告書に「国際理解教育を深めるために―新聞の読み方を学ばせながら国際理解を図る―」を執筆し、それを基にして本エッセーを書かせて頂きます。ライフワークの1つであるNIEの原点になる授業をご紹介致します。


1.研究課題
 日本でも新聞を授業で活用する実践は行われてきています。しかし、その実践の多くは新聞の切り抜きを教師が子どもに提示するという形でした。そのような実践は教育的に十分意味を持ちえますが、NIEを推進している諸外国の実践は新聞をまるごと教室に持ち込むものです。そこには、教師の一方的な提示だけでなく子どもたちが自らの判断により選択した記事により学習が進むという可能性を含むものです。そのことにより情報化・国際化時代に対応し、主体的に生きていける子どもが育っていく1つの契機になるのではないかと考えています。また、新聞を提示はしますがその読ませ方については十分実践が行われてきたとは思っていません。
 私は教師1年目から新聞を活用した授業は行ってきました。その成果を1988年11月に千葉大学で行われた日本教育技術学会で「小学校におけるNIEの授業Ⅰ―新聞情報と教育技術の結合を図るいくつかの試み―」というテーマで発表しました。その反省として新聞を使った教育はしていましたが、子どもたちひとりひとりに新聞を読みとる力を授業の中に位置付けてこなかったことが挙げられます。
 現在、新聞の一面には毎日のように国際的な記事が掲載されています。新聞記事=国際的な記事というような状況です。当然新聞を使った教育は国際的な話題に触れざるを得ません。
 本研究は2つの課題を持ちます。
 1つは新聞を丸ごと教室に持ち込み、子どもたちひとりひとりが自らの判断で選んだ記事について自らの考えを持ち、その発展として新聞についての自由な研究ができるまでの研究です。新聞の読み方を学ぶにはどのような指導方法があり得るのかを課題とします。
 もう1つは新聞の読み方を学ぶ過程で国際理解を図る研究です。私は小学生の国際理解教育には2つの視点が重要だと考えています。1つ目は国際的な出来事に関心を持ち世界に目を向けることです。2つ目は相手の立場を考え多様な価値観を認める姿勢をつくることです。このような2つの視点を5年生の子どもたちが新聞の読み方を学ぶ過程で考えることができるかを研究課題とするものです。
 
2.子どもの中の新聞
5年生ぐらいになると、新聞に興味を持つ子供が出てきます。担当していた5年生の子どもたちも、授業で、新聞に載っていた記事を話題にしたり、新聞の切り抜きを教材にしたりすることからだいぶ新聞を意識するようになってきました。毎日のように新聞に目を通すようになった子どももいますが、だいぶ個人差があります。多くの子どもたちはスポーツ面とテレビ欄に興味があるようです。また、テレビからニュースをキャッチし、そして新聞を読んでみるということもしているようでした。
 
3.授業名「新聞と友だちになろう」
 
4.授業の目標
① 新聞に親しみを持たせ、言語・社会・自然等についての関心を育み、新聞を通しての情報 収集能力の必要さを考えます。
② 新聞を読む過程で、国際的な出来事に関心を持たせ、多様な価値観を認める姿勢をつくります。
 
5.授業の構想
【「新聞」の基礎的読み方】
1)「新聞」の誤りを考える(1時間)
2)「新聞」をいろいろな視点からキャッチする(8時間)
3)「新聞」を丸ごと使い、記事の内容について考える(4時間)
4)「新聞」の記事を比べて読む(2時間)
【「新聞」の主体的な読み方】
5)「新聞」の記事のおよそをつかみ、自分なりの解説を書く(2時間)
【産業としての「新聞」の理解】
6)「ニュースは世界をかけめぐる」仕組みを理解する(4時間)
【「新聞」の個性的な読み方】
7)「新聞」に関する自由研究(オリエンテーション2時間)
 
6.授業の過程(23時間)〔注〕資料として新聞を丸ごと一人ひとりに配布した場合は明記しましたが、それ以外の新聞資料は省略しました。
1)「新聞」の誤りを考える(1時間)
<目標>
「新聞」にも誤りがあることを具体的な例を通して理解します。
第1時 「新聞」にも誤りが ある 89.9.11 実施
<内容>
①サンゴ事件、グリコ事件、宮崎勤アジト事件を取りあげ、作られた記事や誤報があることを考えます。
②各新聞には「訂正」「おわび」の欄があることを通して新聞の誤りについて考えます。
③平城京跡から出土した最古の絵馬の写真(『読売』はモノクローム)の色が新聞社によって違うことから、写真も必ずしも事実を正確に伝えるものではないことを考えます。
※この日から、個人差を少し縮めるために、できたらテレビや新聞からニュースをどこで、何があったかの2つの視点からキャッチするように指示を出し、朝や帰りの会に自由に発表させるようにします。
 
2)「新聞」をいろいろな視点からキャッチする(8時間)
<目標>
「新聞」の内容をいろいろな視点からキャッチし「新聞」に親しみを持ちます
第1時 「新聞」を開いてみたら 89.9.26 実施 『読売新聞』 89.9.26 朝刊 を一人ひとりに配布。

<内容>
①新聞にはどのような記事が載っているかを見ていきます。
②普段はどのような面を見ているのか聞きます。

新聞にはどのような記事が載っているか

第2時 「見出し」をキャッチする 89.9.28 実施 『毎日新聞』 89.9.28 朝刊 を一人ひとりに配布。
<内容>
①明治時代と現在の新聞を比べ、見出しの有無や構成の仕方の違いに気付きます。
②『漁場目前「空飛ぶ漁船員」』の見出しから、見出しは情報になることを考えます。
③『電気バリアさわるとギョ!』『ドロボウの足は〞ロバの足〟』の見出しから見出しの 工夫を考えます。
④この日の朝刊から、興味ある見出しを探します。
第3時 「写真」をキャッチする 89.9.29 実施
<内容>
①前時に一人ひとりに配布した新聞から引き付けられる写真を探し、その理由から内容を想像し記事を読みます
第4時 「数字・統計資料」をキャッチする 89.10.3 実施
<内容>
①見出しに使われた数字に注目したり、統計資料から分かることを出しあったりして、 記事を読んでいきます。
第5時 「イラスト」をキャッチする① 89.10.5 実施
<内容>
①イラスト「だっこちゃん」「カルピスの黒人マーク」からイメージするものを出し、イラス トからニュースを知ります。関係者や投書の言葉を読み、イラストについて自分の意 見を持ち、討論します。
②アメリカで使われている日本語テキストの中の「日本の家族」を紹介するイラストを知り自分の意見を持ちます。
③日本の黒人キャラクターとアメリカの日本家族やレストランのイラストを重ねて自分の意見を持ち、討論します。

1985年米国で発行された日本語テキスト『JAPANESE in 10 minutes a day』
日本語テキストの中の「日本の家族
日本語テキストの中の「レストラン」

 この事を当時初等科で英語を教えていらっしゃった米国の女性の先生に伝えると、その先生が米国で日本語を学んだ時のテキストを私に下さいました。第5時・第6時の記事にあった米国のテキストの実物を子どもたちに見せることができました。
第6時 「イラスト」をキャッチする② 89.10.6 実施
<内容>
①「だっこちゃんマーク」「カルピスマーク」を黄色に塗ったものや黒人キャラクターの 商品(だっこちゃん、サンリオのキャラクター「サンボ&ハンナ」「ビビンバ」)と絵本 『ちびくろサンボ』の実物を見て黒人キャラクターについて考えます。
②「国際化必要なのは米では…」を使い、日本の家族のイラストと記事について疑問 に思うことを出しあいます。
第7時 「おもしろ広告」をキャッチする 89.10.12 実施
<内容>
①いくつかの引き付けられる広告を使い、広告のアイデアについて考えます。 ②各家庭で購読している新聞から、面白いと思う広告を探します。
第8時 「4コマ漫画&テレビ欄」をキャッチする 89.10.13 実施
<内容>
①『朝日新聞』のフジ三太郎の4コマ漫画を使い、どのような社会の出来事を漫画にしているかを話し合いそれぞれの漫画に各自題を付けます。
②テレビ欄からよく見る番組を出し引き付けられる言葉を探します。
③ニュース番組に印を付け番組名にどのような外来語が使われているかを調べま す。
 
3)「新聞」を丸ごと使い、記事の内容について考える(4時間)
<目標>
「新聞」を丸ごと読む練習をし、テレビの報道の仕方との違いを考えます。
第1時 教師の発問・指示により記事を読む 89.10.17 実施 『朝日新聞』 89.10.17 朝刊 をひとりひとりに配布。
<内容>
①一通り新聞に目を通させ、私が選んだ記事を私の発問・指示(どこで、どんなことが 話題になったのか)により読み進めます。
第2時 子供が選んだ記事を教師の発問・指示により読む 89.10.19 実施 『読売新聞』 89.10.19 朝刊をひとりひとりに配布。
<内容>
①子供が読みたいと思う記事を出してもらい(今回の場合は前日のサンフランシスコ大地震の記事が大きく扱われていたので、その記事が選ばれました)、
それを私の発問・指示(写真では何が分かるか、記事はどこで、どんなことが話題になったの か)により読み進めます。
②東ドイツのホーネッカー議長が解任(『読売』)された記事も子供から出され、『朝日』は退陣、『毎日』は辞任、『産経』は更迭と見出しに書かれており、それぞれどのような意味なのかを調べることにします。
第3時 サンフランシスコ大地震のテレビでの報道を見る 89.10.20 実施
<内容>
①NHKとテレビ朝日のサンフランシスコ大地震の報道の一部を見ます。
4時 新聞とテレビを比べる 89.10.24 実施 <内容>①新聞とテレビのサンフ
ランシスコ大地震の報道の違いを比べ、ニュースを受け取る には、新聞とテレビとどちらがいいかを討論します。
②ホーネッカー議長の解任、退陣、辞任、更迭の意味を発表し、新聞社によって捉え方が違うことを理解し、次の時間の新聞を比べて読むことにつなげます
 

サンフランシスコ大地震の記事を読む
サンフランシスコ大地震の記事を読み比べる

4)「新聞」の記事を比べて読む(2時間)
<目標>新聞をいろいろ比べ、その必要性を考えます。
第1時 教室で『ヤジウマ新聞』(数社の新聞を比べる)をⅠ89.10.24 実施
<内容>
①「読売」「朝日」「毎日」「産経」「日経」「東京」の一面を黒板にはり、それぞれどのような記事を掲載しているかを見ます。
②各自がその他の面から読みたい記事を読み、みんなに紹介します
第2時 教室で『ヤジウマ新聞』(数社の新聞を比べる)をⅡ 89.10.26 実施
<内容>
①『毎日』からの記事、余録、4コマ漫画と『産経』からの記事をクイズ形式で出し、内容を考えます。
②各自がその他読みたい記事を読み、みんなに紹介します。
 
5)「新聞」の記事のおよそをつかみ、自分なりの解説を書く(2時間)
<目標>
「新聞」のおよその内容を捉え、自分なりの解説が書けるようにします。 第1時 私は迷(?)ニュース・キャスターⅠ89.10.27実施 『毎日新聞』89.10.27朝刊を一人 ひとりに配布。
<内容>
①ニュース・キャスターのための用紙(B5版)を配り、やり方を説明します。 ②『毎日新聞』から題材を探し、それに対する自分なりの解説を書きます。
③発表できる人はします。
第2時 私は迷(?)ニュース・キャスターⅡ 89.10.31 実施
『朝日新聞』 89.10.31 朝刊を一 人ひとりに配布。
<内容>
①『朝日新聞』から題材を探し、それに対する自分なりの解説を書きます。
②できるだけ多くの人が発表します。
※この日からニュース・キャスター用紙を必要なだけ配布し、それぞれの家庭で購読している新聞から題材を探 して解説を書き、朝や終わりの会に自由に発表します。書いたものはニュース・キャスター用ファイル(B5版)にとじておきます。

ニュース・キャスターをするための記事を探す

6)「ニュースは世界をかけめぐる」仕組みを理解する(4時間)
<目標>
「世界のニュース」の記事を書くためには、どのような人がいるかを理解します。 第1時 世界のニュースをキャッチする 89.11.7 実施
<内容>
①「読売」「朝日」「毎日」「産経」「日経」「東京」の一面を黒板にはりどのような世界のニュースがあるか調べます(金日成氏の中国訪問の記事が載っていました)。
②国際面、その他の面にどのような世界のニュースが載っているか調べます。それらの記事に、OO特派員やロイター、APとか書かれていることに気付きます。 第2時 特派員の仕事・特派員マップの作成 89.11.9 実施
<内容>
①特派員の仕事の大変さを理解します。分からないことが多いので手紙で尋ねることにします。
②特派員マップ(特派員の駐在先)の作成。
第3時 通信社の役割・通信社マップの作成 89.11.10 実施
<内容>
①「産経」「毎日」「日経」「読売」「朝日」の特約している通信社を知ります。
②通信社マップ(どの国に本社があるか)の作成。
第4時 世界に日本のニュースを送る・在日外国報道関係者マップの作成 89.11.14 実施
<内容>
①日本にも外国から報道関係者が来ていること、日本の新聞社が外国にニュースを送ることを知ります。
②在日外国報道関係者マップ(どの国から来ているか)の作成。
 
7)「新聞」に関する自由研究オリエンテーション(2時間)
<目標>新聞に関する自由研究に取り組むヒントを提供します。
第1時 もう1度「新聞をキャッチする視点」を振り返る 89.11.15 実施
<内容>
①新聞をキャッチする視点(見出し、写真、数字、統計資料、イラスト、広告、4コマ漫 画、テレビ欄)を振り返ります。
第2時 自由研究のすすめ 89.11.16 実施
<内容>①自由研究のヒントを提供します。
※以後、各自自由研究に取り組みます
 
8)世界にいる日本人特派員に手紙でインタビュー
 6)の「ニュースは世界をかけめぐる」仕組みを理解する学習で特派員の仕事を理解してもらおうと考えましたが、私自身もよく分からないことが多かったので、子どもたちが外国郵便を出して特派員の方に教えて頂きました。住所とお名前は日本新聞協会でお聞きしました。お手紙を差し上げ、全員からお返事を頂きました。毎日新聞のジンバブエ・ハラレ特派員の伊藤友治氏は日本から送られた手紙がかなり遅く着き今から送るけど学習に間に合うかというご連絡を学院に国際電話でかけて頂き、国際エクスプレスでお送り下さいました。お手紙をお送り下さったのは以下の16名の方々です。
黒田勝弘氏(産経新聞ソウル特派員)、二村克彦氏(朝日新聞シドニー特派員)、高井潔氏(読売新聞北京特派員)、村上宏一氏(朝日新聞テヘラン特派員)、新妻義輔氏(朝日新聞モスクワ特派員)、大阿久尤児氏(朝日新聞ワルシャワ特派員)、池田卓お氏(日本経済新聞フランクフルト特派員)、熊田全宏氏(読売新聞アテネ特派員)、那須省一氏(読売新聞ナイロビ特派員)、伊藤友治氏(毎日新聞ハラレ特派員)中道正樹氏(読売新聞トロント特派員)、山本進氏(毎日新聞ニューヨーク特派員)、村上吉男氏(朝日新聞ワシントン特派員)、深沢健二氏(日本経済新聞ヒューストン特派員)、平井晋二氏(毎日新聞メキシコシティー特派員)、波津博明氏(読売新聞リオデジャネイロ特派員)

特派員への依頼の手紙を書く

9)新聞に関する自由研究
 子どもたちが新聞の個性的な読み方ができるよう自由研究に取り組みました。まず、個人研究として次のようなレジュメを配り自由研究のヒントを提供しました。
① 新聞の読み方の研究 例「私の新聞読み方術」
② 見出しの研究 例「おもしろ見出し集め」「見出しカットの研究」
③ 写真の研究 例「心に残る新聞写真の数々」「新聞写真あれこれ」
④ 数字・統計資料・地図の研究 例「引き付けられる数字を集める」「統計資料
あれこれ」「記事の中の地図」
⑤ イラストの研究 例「イラストコレクション」「イラストは新聞記事のオタス
ケマン」
⑥ おもしろ広告の研究 例「おもしろ広告批評」
⑦ 4コマ漫画の研究 例「4コマ漫画は社会を見る眼」
⑧ テレビ欄の研究 例「テレビ欄の外来語はどこから来たの?」「ニュース名に
外来語を使わなかったら」
⑨ 新聞の中の外来語探し
⑩ 新聞とテレビを比べてみたら 例「1つの大きな事件について比べる」「新聞
とテレビの問題点を考える」
⑪ 新聞からヒントをもらう研究 例「アイデア漢字」
⑫ 世界のニュースをキャッチする 例「1週間とか1か月とか期間を決めて世界のニュースを集める」「どこの国の記事か世界地図に書き込む」
⑬ 世界のおもしろニュース集め 例「国際面のトピックス的な記事を集めて解説をつける」
⑭ 記事を追う 1つの大きな記事を何日間かにわたって追う。例「サンフランシスコ大地震」「ベルリンの壁ほうかい」
⑮ イラストを追いかける 例「だっこちゃん、カルピスマークから黒人キャラクターを考える」「アメリカの日本語テキストの中の『日本』」
⑯ 通信社の研究 例「AP研究」「ロイター研究」外国の通信社の方にインタビュー
⑰ 日本にいる外国の新聞記者の研究 例「外国の新聞記者にインタビュー」

自由研究に取り組む


子どもたちの作品

1月にはグループで自由研究に取り組むことにしました。各グループの研究テーマは以下のようでした。
① 「新聞の読み方」の研究
② 「特派員」の研究
③ 「通信社・外国の報道記者」の研究
④ 「地球の健康診断マップ」の研究
⑤ 「熱帯林の破壊・海洋汚染」の研究
⑥ 「オゾン層の破壊・地球の温暖化」の研究
⑦ 「酸性雨」の研究
⑧ 「野生生物の絶滅」の研究
⑨ 「身近な環境を見つめ直す」研究
⑩ 「新聞に載った産業」の研究
 
7.終わりに
 授業を終わって子どもたちのこんな考えがありました。「新聞もいろいろ読んでみるとテレビで放送していなかったこと、ある事けんの続きなどがのっていてとても面白いです。このように私はだんだん世界のニュースに興味をもちました。始めはいやいやでしたが、今はいつも見ています。こんなふうに楽しくニュースを見られてとてもいい成長だと思いました。」「新聞を読むと、今世界でおこっている出来事や時の流れや動きがよくつかめるしテレビよりもくわしく解説してあるのでなにも知らない私たちでもよく理解できます。それに一つの出来事についていろいろな意見が書かれているので、見方が広くなって私なりの考え方が持てるようになってきました。天気予報やテレビらんも利用できるし、いつもむずかしい記事ばかり読んでいなくてもけっこういろいろな楽しみ方ができることも学びました。私は朝新聞を手にする時、半分わくわくしながらそして少し大人になったような気分になります。これからも沢山新聞を読みたいと思います。」
 
 教師として授業を振り返り以下のような課題を把握しました。
① 発問・指示を明確にした授業を
② 新聞を丸ごと使う時の授業の充実を
③ 個に応じた指導の具体化を
④ 新聞の理解から具体的に社会を観察する力を
⑤ 授業研究の方法の多様化を
 子どもたちから沢山のことを学びました。この授業は私のNIEの原点です。そしてその後現在までNIEを研究しているエネルギーの源です。

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