見出し画像

詩「台の上のカラッシウス」

「台の上のカラッシウス」
黒実 音子

この世の物質は、
地図の記号の様なものだ。

墓地の大理石の上を這うカタツムリ。
それをシンボルとして
我々の視覚は
認識しているに過ぎない。

実際は、
実在しているものも、
実在していないものも、
その境界は大した事ではないのだ。

気にするな!!

それはキリストが座り、
永遠に考え込み項垂れている
コテジ・オルネーの
バルコニーに置かれた
金色の台の上の
死んだ巨大な鮒(カラッシウス)と同じく
永久に鎮座している摂理に過ぎない。

おお、
美しい白石(カッラーラ)の上に置かれた
死んだ海綿動物の栄光・・
(水瓶状の肉(ケセストスポンジア)の・・)

ああ、我々は
キリストの背負う
光背(マンドルラ)を見る事で、
栄光ばかりを見つめるが、
その光輪が輝けば輝く程、
後ろに広がる闇の事を知らない。

それらは一見すると
存在しない様に思える程に
光を引き立てる色のない無に過ぎないが、
その底の無い深淵は・・
あるいは[存在の葬儀]は、
拡大して見れば
栄光との境目が無い様にも見える。

故に・・
内臓と骨に巣食う癌(カニス)や、
海藻の内部に巣食う
マウリニアの・・・
あるいは、
腐敗し、悪臭を放つ
何かの死骸のミサの為に
我々は蝋燭に火を
灯さなくてはならない。

灯さなくては!!

そうしなければ、
我々は地図の記号の上ばかりを歩き、
その記号の奥に存在する
本質に対して盲のまま
あまりに巨大で恐ろしいそれらに、
夢の中では脅えながら、
黒い主身廊(ナヴィス)を歩き続けるに等しい。




【1000視聴突破ありがとうございます♪】
「墓の魚」オーケストラの
映画の様な配信コンサート・第一弾
「死んだ珪藻とマキシロポーダのミサ」
こちらで公開中です↓↓↓

◇◇◇楽団公式サイト◇◇◇

◇◇◇「墓の魚」の音楽動画(ちゃんねる登録してね)◇◇

◇◇◇Twitter◇◇◇


この記事が参加している募集

私の作品紹介

自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。