蛆虫の作曲家によるスペイン風オペラ楽団「墓の魚」記事

海洋生物の死骸をテーマにファドという音楽を作ったり、ラテン語、スペイン語、ポルトガル語…

蛆虫の作曲家によるスペイン風オペラ楽団「墓の魚」記事

海洋生物の死骸をテーマにファドという音楽を作ったり、ラテン語、スペイン語、ポルトガル語文化圏の視点から、キリストと細菌と死をテーマにしたオペラを作曲するオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」。私は西洋古典の「蛆虫」の部分(虚栄)を研究し、オリジナル作品を作っています。

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常に喪服を着て生活している[死の作曲家]が語る人生哲学

こんにちは。 葬儀のオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ ちょっと前に 黒一色や白一色の 着物を着ている若者を 「黒は喪服だから良くない」 「白は経帷子だから良くない」 と、ネットで 咎めた年配がいたらしいのですが、 年中、日頃から 喪服を着て生活している私としては(笑) 色々とこの件で 思った事がありましたので、 今回は、その話をしようと思います。 このネットでの呟きには 色々、世間からも反論があった様で、 「これは今風のコーディネートであり

    • 詩「台の上のカラッシウス」

      「台の上のカラッシウス」 黒実 音子 ◆ この世の物質は、 地図の記号の様なものだ。 墓地の大理石の上を這うカタツムリ。 それをシンボルとして 我々の視覚は 認識しているに過ぎない。 実際は、 実在しているものも、 実在していないものも、 その境界は大した事ではないのだ。 気にするな!! それはキリストが座り、 永遠に考え込み項垂れている コテジ・オルネーの バルコニーに置かれた 金色の台の上の 死んだ巨大な鮒(カラッシウス)と同じく 永久に鎮座している摂理に過ぎない

      • 下水の詩を朗読しながら、アヴェイロのキリスト教信仰と、ファドを探索する公演

        こんにちは。 葬儀のオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ フラメンコあり、ファドあり、 聖書あり・・ の全てオリジナル曲による 「墓の魚」ユニバースの 配信ライブ第二弾 「C・オビホリミスの供養 ~ミサ・ステルコラリス~」 が、いよいよ 今年の九月に収録(撮影)開始です。 [下水の詩を朗読しながら、 アヴェイロのキリスト教信仰と、 ファドを探索する旅] 「墓の魚」ユニバースは、 聖書のパロディ、 神学ユーモア、 キリストと魔女の物語を 作曲

        • 詩「ミサ・シネ・ノミーネ ~イキトスの水~」

          「ミサ・シネ・ノミーネ ~イキトスの水~」 黒実 音子 ◇ 燭台と、その上を飛び回る蛾(ティネア・ペリオネラ)は、 火の中のラテン語の王国と、地上が 邂逅するミサである。 イエスがパンを分け与えた様に、 ・・ 【ACCIPITE,COMEDITE HOC EST CORPUS MEUM. 取って食べなさい。これは私の体である】 ・・ それは肉体であり、蛾であり、火である。 イキトスの町から流れる水。 その町の泥水の上を浮かぶ 腐った魚(ぺス・ポドリード)。 イエスが葡萄

        常に喪服を着て生活している[死の作曲家]が語る人生哲学

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        • 「墓の魚オーケストラ」コラム
          87本
        • 私の詩(El Sventramento)
          33本
        • 「墓の魚」の墓場の詩の紹介と解説
          60本
        • 「墓の魚」が薦めるホラー映画
          27本

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          「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ(アルガエのファド)」という詩の解説

          こんにちは。 葬儀のオルケスタ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ 本日は、 先日にアップした 私の詩 「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ (アルガエのファド)」 に関して、 ちょっと解説というか、 思考を補足していこうと思います。 実際に [数千匹のヒトデが 浜に大量に打ち上げられて全滅する] という出来事は 海で定期的に起こるのですが、 この世界における [大量死] というものは、 自然が起こす[必然]であり、 必ずしも人間の仕業ではありま

          「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ(アルガエのファド)」という詩の解説

          詩「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ(アルガエのファド)」

          「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ (アルガエのファド)」 黒実 音子 ◇ やぁ、船乗りよ。 打ちひしがれた ファディスタよ・・ 世界の悲惨さを見たいのなら・・ 海という 感情の無い深淵(アビスモ)の 無数の十字架の墓地を 見たいのなら・・ ある時、無人の海岸線を埋め尽くす アステリアス・ブルガリス・ベリル達の 打ち上げられた山の様な 死骸(シャルニエ)を見るがいい。 北方の 棘皮類(ブルガリス)達の 裏返った臓物と、 それを啄む海鳥達の 限りない無感情な

          詩「大量に打ち上げられたヒトデ達の死骸に幸いあれ(アルガエのファド)」

          「カルネ・レヴァーレの黒いナメクジ」という詩の解説

          大きな動物が森の中で倒れ、 死骸になると、 そこで腐敗が始まり、 その下敷きになった土壌は 腐汁や富栄養化により、 草木が枯れるなど、 何年にも渡って変化が起こります。 それを生物学では、 îlot de décomposition de cadavre (フランス語) と言います。 ちなみに、英語で書くと cadaver decomposition island となり、 その頭文字で [CDI] と言うのですが、 今回の詩 「カルネ・レヴァーレの黒いナメクジ」 は、そ

          「カルネ・レヴァーレの黒いナメクジ」という詩の解説

          沢山の古楽系の演奏家に「なぜ後半はこんな奇天烈な旋律になっていくのか?」と問われた作品(バロック風のチェンバロ曲を作曲)

          こんにちは。 葬儀のオルケスタ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ 先日「墓の魚」の 新作動画をアップしましたので、 お知らせさせていただきます♪ 今回は、オリジナルで私が作曲した 「アリア」という 宮廷風(チェンバロ)音楽となります。 作曲家・黒実音子(私) 演奏者・山角倫代 今回の曲で使われている チェンバロという楽器は、 ルネサンスやバロック時代に 活躍した鍵盤楽器で、 ピアノとは全く異なる 構造、音を持っています。 残念ながらピアノが登場した

          沢山の古楽系の演奏家に「なぜ後半はこんな奇天烈な旋律になっていくのか?」と問われた作品(バロック風のチェンバロ曲を作曲)

          詩「カルネ・レヴァーレの黒いナメクジ」

          アリオン・アテル・三部作 「カルネ・レヴァーレの黒いナメクジ」 黒実 音子 ◇ ああ、 カルネ・レヴァーレ!! カルネ・レヴァーレ!! 肉(サルクス)の中に 異質な蟹が入り込む苦痛。 渋面の翁(カッサンドロ)の面の上を這う 黒い蛞蝓(アリオン・アテル)。 巨大な魚は、陸地に打ち上げられ、 のた打ち回り、やがて息絶え、 そこに、かの 死体肥の領域を作り出す。 ああ!! イスラ・デ・デスコンポシシオン・カダベリカの神殿・・ 排他的な 悪臭と死髪と蠅共の王国・・ 死の体液と混

          聖書とファドの物語「クーフス・ポリタラミアの和声」という詩の解説

          聖書にも登場する災厄のイナゴは、 ブルーコン、アッタケーン ([レビ記]では、アルベ、サルアム、ハルゴル、ハガブ) などの名前で聖書に記されています。 乾燥した荒野に生息する聖書のイナゴは、 勿論、日本のイナゴとは別種であり、 サバクトビバッタなどではないか? と言われていますね。 当時の人々にとって蝗害とは、 食物を荒し、住居の平安を脅かす [死に直結するもの]として 恐れられていました。 こうした 乾いた荒野に生息する[災厄の痛み]は、 そのまま現代人の [地上の苦

          聖書とファドの物語「クーフス・ポリタラミアの和声」という詩の解説

          詩「クーフス・ポリタラミアの和声」

          「クーフス・ポリタラミアの和声」 黒実 音子 ◇ ああ、尖度として突如現れ、 呆気なく消えてゆく疫病(エピデミカ)の様な、 [地表の痛み]を 我らの背骨が覚えている。 ユダは何者を裏切ったのか? 何を恐れていた? 魚屋の台の上の死に聞いてみるといい。 ナザレの濁った目の死魚に。 ああ、私は 血走った眼球の、 唸る野良犬の唾液に 悪霊の笑いを見た。 獣自身、己を諫められぬのなら、 それは、災厄に憑かれた 悲しい地表の痛みと何が違う? ------------【伴奏】--

          キリストと確率の話

          こんにちは。 葬送のオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ 今日は、メモみたいな感じで、 死後の世界とか、 この世界の確率だの、 神学だのについて 日頃、考えてる事を 適当に綴っていきます。 まぁ、こういう私の思考が 「墓の魚」オーケストラの作品の 基盤になっていますし、 これは、私にとっての キリスト教の話なのかもしれない。 例えば、まずは、 [死]の解釈について・・ そもそも 世は上手く出来ているもので、 生き埋めにされる苦しみ、 病に冒

          詩「海藻L.ochroleucaとEchinus esculentusによる魂の罪の償い」

          「海藻L.ochroleucaとEchinus esculentusによる魂の罪の償い」 黒実 音子 ◇ 海藻オクロレウカの生い茂る 暗い褐藻林に住むウニ達は、 豊富な餌に囲まれ、 巨大に肥え太る。 魂も自我も無い死人の髪の毛にも見える 黄土色の茎の海藻達が光を遮り、 太古の死骸である岩礁を 仄暗い魂の闇夜(ノーチェ・オスクラ・デル・アルマ)に 浸している。 水の上の霊の栄光。 人の住めぬ地(アネクメーネ)の虚しい神殿。 社会的な精製を拒絶する野生。 放線菌ストレプトミ

          詩「海藻L.ochroleucaとEchinus esculentusによる魂の罪の償い」

          詩「ミゼレーレの聴こえない午前四時の礼拝堂のミサで・・」

          「ミゼレーレの聴こえない午前四時の礼拝堂のミサで・・」 黒実 音子 ◆ 無限という数字は 輪の形をしている。 それは口内と尾の無いヘビの如く、 濃縮され、 やがて一つの黒い濁点となる。 その濁点とは宇宙であり、 あらゆる可能性は 過去も未来もなく、 そこでは全て再現され、 永遠に繰り返される。 振り続けられる賽の目は 輪に閉じ込められる事により、 あらゆる可能性を再現するのだ。 矮小な人よ。 我々が今、ここに集う奇跡は 奇跡ではない。 愛すべき者に出会った奇跡は 奇

          詩「ミゼレーレの聴こえない午前四時の礼拝堂のミサで・・」

          ラテン墓場系YOUTUBERの新作動画[南米をテーマにした映像と詩の世界]

          こんにちは。 葬送のオルケスタ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」 の作曲家です♪ 今回、「墓の魚」オーケストラの 新作動画を投稿いたしましたので、 ご紹介いたします。 今回は音楽ではなく、 自作の詩の朗読。 その詩に合わせた映像作品になります。 【ポマセア・カナリクラータの臓物】 早朝の南米の熱帯雨林を歩く探検家が、 川から打ち上げられた巻貝 (ポマセア・カナリクラータ) の死骸を見つける。 まるで白昼夢の様な熱帯という命の源泉の中で、 彼は、キリストが死から復活

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          詩「ガリラヤの海 ~打ちひしがれる不幸から、焚火の前での幸福な団欒~QUIA VIDISTI ME, CREDIDISTI. BEATI, QUI NON VIDERUNT ET CREDIDERUNT!」

          「ガリラヤの海  ~打ちひしがれる不幸から、焚火の前での幸福な団欒~ QUIA VIDISTI ME, CREDIDISTI. BEATI, QUI NON VIDERUNT ET CREDIDERUNT!」 黒実 音子 ◇ おお、ガリラヤの海よ!! 濁った灰緑色の海よ!! 臓物が崩壊し、 血中に溶け出す様に 魚(ムシュト)の死骸が お前の水に溶けだす様を・・ そして、それにより 見よ!! 病んだラプラス分布の尖度を!! 増殖した虫共の蔓延る疫病を 私はキリストと共に

          詩「ガリラヤの海 ~打ちひしがれる不幸から、焚火の前での幸福な団欒~QUIA VIDISTI ME, CREDIDISTI. BEATI, QUI NON VIDERUNT ET CREDIDERUNT!」