マガジンのカバー画像

祝祭

3
3つの連作詩。フランク《前奏曲、アリアと終曲》に寄せたメモを形にしたものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

1. 祝福

1. 祝福

真っ白な部屋に光が差す

私たちはきっと大丈夫
さみしさのなかで
混沌をいきてきた
長かった
ずっと 怖かった

遠くの窓にあかりが灯る
つかれた帰路を 急ぐ人を見る

道を示す
ここに勇気があるよと
みんなが気がつくように
道しるべをつくる
あなたと私の間に美しい星空を敷こう
きっと大丈夫だからね

2. 永劫

2. 永劫

悪い夢をみたときはあなたのところにもぐりこむ
やわらかい毛布と体
クリーム色と おしろいの香り
むんわりする あたたかい肌
くるまれて つつまれて

毛布の中はもうだいじょうぶ
しあわせは
あなたのぬくもりでまもられている

天使のホルンがきこえて
あたまが ぼうっとして
耳をあてた あなたのおなかの奥 痛みがうごいてる
わたしにだってわかるよ
わたしも ちょっと痛い
わたしも なでてあげるね

もっとみる
3. 花火

3. 花火

音は消え 灯は消え
地に火が降り 海に星降る

へその緒は切れ
皮膚は未だ溶け合うことを知らず
ひとは孤独な部屋をなだめて眠る

道を示す者さえ諦めた土地で
これからも生きるのだろうか
汚れた自分はどうすれば
伸ばされた手も 後ろめたい

夢の中でも私はうなされている
渦巻く罪悪感に出口はない
時折よみがえるのは母の記憶
甘く満たされていた香りの記憶
ごめんなさいと 今さら思う

汚れた私は何者

もっとみる