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ホラー小説「ドールハウス」第6話 人形に取りつかれた少女

最後に作者からのお知らせがあります。

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


10.春香

私はウソのような愛美の日記を読んでいた。

2023年5月18日
今日も学校が終わってから、ずっと彼女を追っていた。
彼女の優しい声が今も耳に残っている。
彼女の人形のような美しい姿を見ていると、自分の物にしたくなる。
写真よりも近くで眺めていたい。あの頃のように一緒に遊びたい。可愛がりたい。
マリーを連れて帰る準備はできている。
明日、連れて帰るから待っててねマリーちゃん。

2023年5月19日
今日はマリーを屋敷に連れて帰った。
学校が終わったら、待ち伏せしてマリーちゃんの首を延長コードで絞めて、お人形さんにしてあげた。
お人形さんになったマリーちゃんをキャリーケースに入れて、お屋敷に連れてあげた。
ここは今日から、マリーちゃんの家だよ。
マリーちゃんが少し汚れていたから、お風呂に入れてきれいに洗っておいた。
その後は血を抜いた。生き生きしていたマリーちゃんの顔色が青白くなって、生命力が消えた。
でも、その方がお人形さんみたいで美しい。
マリーちゃんのために買ってきたお洋服を着せてあげたら、とても似合っていて可愛かった。
そして、冷たくなったマリーちゃんのきれいな肌は触っていて気持ちいい。
マリーちゃん、ずっと一緒だよ。

愛美が小柳百合と思われる人物を殺害した記録が書かれている。紛れもない愛美のきれいな文字で。
そして、死体を洗って血を抜く様子や死体の感触まで書かれていた。
私が知っている愛美とは全く異なり、狂気に染まっていた。

2023年5月27日
今日はマリーちゃんに「モニカとふしぎなふで」という絵本を読み聞かせした。
この絵本は私が子供の頃、大好きだった絵本。
絵を描くと、絵が出てくるふしぎなふでのお話。
マリーちゃんは喜んでお話を聞いていた。

2023年6月23日
今日はマリーちゃんの新しいおともだちを連れてきた。
シェリルというなまえで、おかしが大好きな女の子。
マリーちゃんにシェリルちゃんを紹介したら、マリーちゃんはにこにこしていた。
おともだちができてよかったね、マリーちゃん。
なかよくしてあげてね。

この先を見るのはやめた。

愛美が人殺しだったなんて信じたくなかった。
しかし、この日記には愛美の文字で小柳百合と思われる人物をストーキングして殺害した様子や死体を可愛がっている様子が生々しく記録されていた。
アルバムと日記を見たことを後悔した。信じたくなかった事が事実だと証明されていく。
信頼していた友達が化け物になっていくのが耐えられなかった。

11.美夏

「ん?」机の上に開かれたスケッチブックが置かれているのを見つけた。
スケッチブックには茶髪のショートヘアの女の子の絵が描かれていた。絵柄は少女漫画風で可愛らしい感じだった。
服のデザイン画なのだろうか、茶髪のショートヘアの女の子がいろんな種類のロリータみたいな感じの服を着ている。その中の一つは見覚えがあった。それは、佐々木愛美が声を掛けていた死体が着ていた服に似ていた。
このページを見ると、マリーという名前があった。
端には「わたし」とコメントが付いている長い黒髪の女の子とマリーが仲良くしてる絵が描かれていた。
次のページには飴を持った眼球にバラの花が刺さっている金髪の女の子と前のページにも描かれていたショートヘアの子が一緒に書かれている絵が描かれていた。
その次のページは着物を着たピンク色の目の黒髪の女の子と右目を縫われていて片腕が義手の女の子、パジャマを着た女の子とチャイナドレスを着た女の子が描かれていた。
あたしは可愛い絵に魅了されていた。
しかし、次のページには目を疑う絵が描いてあった。
それは、魔法使いの衣装を着ている眼鏡をかけたモニカという女の子の絵だった。その絵の女の子はなぜか春香にそっくりだった。髪型や眼鏡の形が似ていた。
眼鏡の女の子の隣には黒髪のショートカットで男装をしているツバサという女の子が描かれていた。
男装している女の子はあたし?
その女の子の髪型が美容室でセットしてもらった髪型に似ていた。
この少女漫画タッチの可愛らしい絵が怖くなってきた。
やっぱり、あたしと春香はあの狂った少女に狙われているようだ。

12.愛美

さて、ふたりの新しいおともだちがいるへやに行こう。
二人を人形にする手術をしてあげる。

モニカちゃんとツバサちゃん。
マリーちゃんがふたりのことを楽しみにしているよ。
かわいいお人形さんにしてあげるから、待っててね。
わたしはふたりがいるへやに入った。
あれ?ふたりともいない。もしかして、逃げた?
モニカちゃんはおくすりで寝かせたし、ツバサちゃんはちゃんと首をぎゅっとしておいたはずなのに。

ちゃんと、死んだか確認しておくべきだった。
二人は私のかわいいお人形になって可愛がられる運命なのに。

このへやにいたシェリルちゃんにふたりのことをきいた。
シェリルちゃんはおめめにバラがさいてる子で、きんいろの髪の毛がきれいなんだ。
「ふたりなら、はずかしがってこのおうちのどこかに隠れたみたいだよ。」とシェリルちゃんは言っていた。
モニカちゃんのハンカチが落ちていた。やっぱり、にげたみたい。
さぁ、かくれんぼの始まりだよ。

作者からのお知らせ

今回も「ドールハウス」を読んでくださり、ありがとうございます。

11月19日 日曜日 公開予定の第7話ですが、私の都合により、本来の公開予定時刻の朝9時頃に投稿できないため、朝7時頃に前倒しさせていただきます。

どうか、ご理解ください。

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