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ハードル走の記録を向上させるアプローチの指導


1 ハードル走記録向上のポイント


「ハードル走はアプローチで7割決まる。」
アプローチとは、ハードル走における、スタートから1台目のハードルまでのことである。ハードルを専門に行っている選手の多くが、アプローチの練習に力を入れている事実がある。そこで、ハードル走の授業においても同様にアプローチが重要であると考え、指導を行った。
 

2 スピード曲線による趣意説明

生徒に、1台目までにできる限りスピードをあげることを意識させるため、グラフを使用し、趣意説明を行った。
発問「100m走では、最も速いスピードは50mくらいのところで出ます。では、100mハードルの場合はどんなグラフになると思いますか。」
ハードル走の場合、1台目を越えたあたりでトップスピードに入ってしまう。(最終ハードルからゴールまでを除く)よってアプローチでどれだけスピードを上げられるかがレース全体を左右する。
 

3 場の設定


本単元では、50mハードル(間にハードル5台)のタイム測定を行っている。ハードル間のインターバルは5.0m、5.5m、6mを設定し、走力に応じて3歩でリズム良く走れる距離を選択させた。スタートから1台目までは13mで固定した。
 

4 アプローチのつまずき


スタートから全力疾走し、1台目に向かう中で、ハードルに近すぎるケースが見られた。ハードルから近い状態で跳んでしまうと、どうしても上に跳びすぎて、スピードが減速してしまう。その原因は、アプローチを8歩で走れる生徒が9歩、9歩で走れる生徒が10歩と1歩歩数が多くなっていると予想した。

5 アプローチのポイント①


 何度か練習させた後、集合させ、以下のような発問と説明を行った。
発問「ハードルとハードルの間は何歩で走りますか?」
説明「3歩です。同じ足で踏み切り、スピードを落とさないためです。」
発問「スタートから1台目のハードルは何歩で走りますか?」
指示「ペアで数えてみなさい。」

 数えさせて聞いたところ、予想通り8歩~10歩となったが、続いて以下の説明を加えた。
指示「1台目でスピードが落ちていると感じたら、スタートの足を逆にしなさい。」
スタートの足を逆にすることで、1歩減らすことができる。
1台目までを偶数歩(8or10歩)の場合は、踏切足が前。奇数歩(7or9歩)の場合は、踏切足は後ろになる。
 

6 グループ練習


①3人で1グループをつくる。グループでハードル1台、ストップウォッチ1つを使用する。
②役割分担 1.走る人 2.スターター 3.測定する人
③方法 走る人は、スターターの合図で1台目まで走る。測定する人は、スタートから1台目のハードルを跳び、着地した瞬間までのタイムを測定する。
時間がある限り何度も測定する。走る距離も13mほどなので、体力的にも疲れずに挑戦できた。また、走った後にタイムですぐにフィードバックさせるので、モチベーションの向上にもつながると感じた。0.01秒でも記録が上がると、喜びの声が上がった。
 

7 アプローチのポイント②

声かけによる意識づけをすることで、勢いよく1台目まで走り、ハードルを跳ぶことができると考え、以下のような声かけを行った。
「イチ、ニ、サン、シ、ゴ、ロク、ナナ、ハチッ!!」
始めは、教師がグループを周りながら、声かけをする。そのあとは、生徒同士で声かけが行われた。声かけにより、スタートからの走りやハードリングに勢いが増している実感が得られた。実際にタイムも向上傾向が見られた。
 

8 50mハードル測定

クラス平均(中3女子)
はじめの記録       11秒72
最後の記録        10秒03
 

9 生徒の感想


□初めは、ハードルが怖く、苦手でしたが、だんだん力も身についていきとても楽しむことができました。インターバルでは3歩、アプローチでは8歩、これをきにしながら走っていましたが最後のときには、体が覚えて、リズムよく走ることができました。(略)前より、ハードル走が得意になったし、好きになりました!先生のアドバイスもとても参考になりました。
□最初の授業では走るのも得意ではないし、ハードルの跳び方もよくわからなかったから、ハードルやだな、どうせタイム伸びないだろうなと思うところもあった。だけど、毎回の授業で歩幅やリズム、自分がどちらの足の方が跳びやすいのかを知って実際にやってみることで少しずつタイムが上がっていって嬉しかった。だんだんハードルの授業が楽しくなった。

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