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エッセイ | こういう小説はいらない(青ブラ文学部募集要項、締切2/4まで)


 最近、小説とくに長編小説は読んでいない。時間がないというより、noteをやるようになってから短い文を読むことに慣れてしまったからだ。1人の作家の長い小説を読むより、短い作品のほうが、より多くの人の考えに触れられるような気もして。

 だが、短い断片のような文章ばかり読んでいると、作者の深い思いに深く心を寄り添わせることができていないような気もして、もう一度過去に読んだものでもよいから古典的な名作長編小説にひたってみたいなとも思う。

 noteに発表される短編はみな、文章がうまくて共感もすることが多いが、最近なにか物足りなさも感じている。正直に言えば、私の求めている小説ではない場合がほとんどだ。こういうことを書くと批判も多いだろうが、美辞麗句を並べると疲れるので告白しておく。

 エッセイと小説の違いは、必ずしも明瞭ではない。エッセイならば読んでみて「よかったね」「わかる~」だけでもいいのだが、小説の中まで他人の反応を気にし過ぎて、読者に「よかったね~」「悲しかったね~」「わかる~」を求めるのは、やはり間違っているのではないだろうか?

 小説というものは、なんら「こう書くべし」というルールはないから、なにをどう書いてもいい。しかし、私は小説を読むとき「感動したい!」とか「共感したい!」「気持ちが楽になった!」という気持ちになれることなど期待していない。どちらかというと「傷ついた」「わけが分からない」「モヤモヤする」「自分の倫理観が破壊された!」みたいな気持ちに放り投げ出されるものを好む。だから必然的にハッピーエンドの小説は嫌いだ。

 いい小説ってなんだろう?と、noteの作品を読んだり、自分でも書いたりしながら考えるが「これ!」という答えはない。しかし「これはやめてくれ!」というものはある。誰の書いたものという特定の誰かを念頭において言うわけじゃないが、「こういう小説はつまらないからやめてくれ!」というものを書き出してみたい。自戒の意味も込めて


①オチが見えてしまう短編

 文章はよく分かるし、とくに反論もないけど、結論が見え見えなもの。わざわざ小説にして書く必要性を認めない。


②無駄な描写が多い。

 実際に見たものだか、脳裏に浮かんだことだか知らないけど、見えたものを全部書く必要あるの?
 いちばん伝えたいこと一点に収斂していくならまだ許せるけど、ストーリーにも心理描写にもなっていないものをいちいち書くな!


③もう結論が出てるのに、長く書こうとする意図が見えるもの

 たぶん思いつきか何かで書き始めたんでしょうけど、もうあなたが描きたかったことは、もうすでに出尽くしているでしょう?
 なのに、このままでは記事にするには短すぎる、と思ったのかどうか知らないけど、ダラダラと後続の文を書くのは時間のムダだよね。少なくともあなたの文章を読まされる人にとってはね。


④読者の反応を恐れ過ぎてるんじゃない?

 小説なんてね、非常識や非日常の世界で遊ぶものなのね。読者から「それはおかしいんじゃない?」とか「間違ってる!」とか「気持ち悪い!」とか「許せない!」とか、様々な反発を恐れて、自分の心にもないことを書き連ねるな!

 思ったことを思ったまま書けばいい。一般常識からズレていても、深く理解してくれる人がいるのなら、その人のために書いたほうがいい。
 「どちらかと言えばいいね」という人が多いよりも、「そうだ!」とか「認識が揺さぶられた!」「傷ついた」という人がいたほうが1人でもいるなら、そっちの1人を選んだほうがいい。
 あなたの作品を読んで、気がおかしくなるような人が出てくるような作品が真に素晴らしい作品と言えるだろう。


⑤悪魔になることを拒否するな!

 ①から④に書いたこととほぼ同じだけど、小説を書こうとする者は、神になることよりも悪魔になる決心がなければ面白い作品は永遠に書けない。
 自らの心に眠る悪の心に蓋をしているうちは、文章に色気が出てこない。表面的な心しか見ない・聞かないという心構えでは、読者が浸りたい作品とはならない。
 別に官能小説やマフィア・モノを書けと言ってるわけじゃない。
 恍惚感に浸る全裸モロ見えの女より悪の黒いランジェリをまとった女に強い色気を感じるのと似ていると言えば似ている。
 どうなってるの?、なんで?、とわけが分からなくても、共感できなくても、強い魅力のある悪の作品を読んでみたい。常識の枠におさまる、心温まる凡庸な小説など読みたくはない。

 別に善人なら善人のままでいいけど😊。でも、悪が分からなければ善もわからないと思ってる。

 私の好きな言葉。

Vice makes virtue shine. 
悪があるから善が輝く。


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