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「すずめの戸締まり」を見て

 面白かった点は2つ。まず、映画に対する感想が恐ろしく別れていること。もう1つは、前2作には感じられなかったメッセージ性が、はっきりと感じられたこと。
 前者から話そう。個人的には、凄く面白かった。民俗学的なことはよく知らないので、作品の細かい設定に対する批評は、賢い映画オタクの人たちに任せるとして、単純にストーリーとして面白かったし、人物像もしっかり描かれていて共感を持てた。いつものテンポ感の良さと美しい映像。何より、今までの作品でなかった、多くの人に向けたメッセージみたいなものを感じられたのが大きかった。しかし、兄弟に聞いてみると、全然面白くなかったと酷評。友人の話では、君の名は大学生向けで、天気の子は中学生向けで、すずめの戸締まりは高校生向けという、なんとも微妙な反応だった。ちなみに、私は君の名はをそんなに高く評価していないし、天気の子は単純に微妙だと感じていた。だからまあ、ストーリーくらいは楽しめるかなと思っていた。けれど、端的に良い映画だった。だから、少し混乱している。映画とは見る人によって変わる、そういうものなのかもしれない。
 もう一つのメッセージ性というのは、「あの震災を忘れるな」というものだ。たぶん、その土地にいなかった、多くの人がいつの間にか忘れている東日本大震災。阪神淡路大震災に関しては、経験していないし、なんとなくあったんだという感覚しかない。しばらくの間、震災のニュースしか流れず、助けたいとか、なんとかしたいと思った人もいるかもしれない。私もそうだった。けれどやっぱり風化してきている。震災のリアルな描写も、廃墟がテーマになっていることも、ドキッとさせられてしまった。君たち忘れているでしょ、と言われている気がした。

 映画を見てて思ったのは、もう一つ。凄く旅に出たくなった。聖地巡礼とかではなく、単純に、ふらっと、講義とか研究室とか部活とかほっぽって、フェリーに乗ってどこか違う土地へ行ってみたくなった。正直、1番の魅力かもしれない。

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