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まっしろな穴

わたしはたぶん、SNSにハマりやすい。


高校のときはSNSでプロフィールを書いたりブログを書いたりして、見知らぬ人とやり取りしていた。

そこで知り合った北海道の女の子と文通もしていた。1年くらいだったろうか。プリクラを交換したり、恋バナをしたり、その子から手紙が届くといつも心が満たされた。
それなのに、わたしが日常にいっぱいいっぱいになり、しばらく返事できなくなった。いつしか返すタイミングもわからなくなって、自ら音信不通にしてしまった。


大学時代は、mixiにブログを書いていた。思い出せないくらいしょうもない内容だったと思う。これも少し余裕がなくなるとフェードアウトした。


社会人。最初の3年間は教員だったし休みの日は友達と遊んでたしで、ネットまで人間関係を築く暇も余裕もなかった。

4年目に事務の仕事をした時は、定時上がりで前職より話す量も減った。
周りのおじさん達は私を可愛がってくれて、お茶休憩のようにわたしと話してくれたけど、前職が話す量も頭を使う量も多すぎたのだ。
体力的にも余裕があり、帰宅してからどうぶつの森とInstagramにハマった。
教員の時に行けなかったサカナクションのライブに行ってやる!と、毎ツアー行った。

インスタは趣味で埋めようと、サカナクションの投稿ばかりした。リアルの友達はみんなブロックした。「いいね」と思ってないのにいいねして、なんとなく返さないと悪いんじゃないかというプレッシャーが嫌だったから。どうせ仲良い友達にはサカナクションの話を聞いて聞いてとなるから、対面で聞いてくれ。と、公言してブロック。
インスタで仲良くなった人とは一緒にライブやフェスにも行った。誰にも話せない話を互いにするような友達もできた。


5年目。支援員になったわたしは再び対人業に就いたからか、帰宅後にネットで人と関わるエネルギーがなかった。事務員のときより家で話さないし、でも仕事は楽しくて充実していた。外で話す分、家でバランスを取るのだろう。
インスタの友達は好きだけど、とにかく仕事に夢中でインスタ稼働率がグッと減った。存在すら忘れるくらいだった。

7年目。人生の転機すぎて病んで病んで、自分を励ますためにTwitterを始めた。Twitterで知り合った友達は、今の私の大きな支えでもあり、半分心の拠り所のようになっている。



でも今、まっしろになっている。
Twitterは好き。仲良い人にいいねをもらえば返したいと思う。読んでいて癒されたり元気をもらうこともある。

それなのに時々、物凄くイライラする。

表面だけ繕ってる感満載のツイートや偉そうに物申すツイート、負のオーラが滲み出て元気を吸い取られそうなツイート。そういった投稿を1つ見るだけでなんかイライラする。

ただただ、思ったことを呟きたいだけなのに、変に解釈されたり、いらんアドバイスが来たり、そういうのが今は物凄く面倒臭い。一瞬でイラッとする。
こういう時は、自分のメンタル状態が良くないのだろうなと思うことにしている。

思えば、ネットで色んな人と関わりたい気持ちは今あまりない。でも今、そばに友達がいない。スマホがなければ、Twitterがなければわたしは1人な気がして、孤独になりたくなくてTwitterを開く。
なんとなく呟いた方がいい気がして、なんとなくツイートして、なんとなくツイートを眺める。



自分を励ますために言葉を紡いでいたけど、自分は今、概ね元気だ。
誰かに向けて書きたいことも浮かばない。

言葉を紡ぎたいけど、言葉が何も浮かばないのだ。

まっしろ。

この状態に気付いてから、Twitterをお休みした。この2年半、Twitterを休んだのは長くて3日くらいだったろうか。
1週間休んでもまっしろ。孤独感も、休んでも休まなくても変わらないのだと気づいた。

「どうして大人になっても寂しくなるんだろう」
ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の2番目の夫、佐藤鹿太郎がそう言ったとき、「やっぱりそうなんだ」と胸に刺さった。


わたしはいま、病んでるとかではない。むしろ元気だ。ただ、何か欠乏感があり、その穴が寂しさのように気になるのだと思う。
病んでる時のような暗い闇の穴ではないし、ここを埋めたら完成する!とエネルギーに溢れた穴でもなく、1人でいたくないからどうにかしたい衝動的な穴でもない。

ただひたすら、まっしろな穴である。
なんでもできるけど、何も浮かばない。何を埋めたらいいかわからない、どうにか埋めたいとも思わない、なかなか扱いの難しい穴だ。

わたしがSNSにハマるときは、何かしらの欠乏感を埋めているのだと思う。目的がある。
人との関わりは欲しいし、Twitterの友達と話すのは好きだけど、変に触れるとまっしろな穴が濁るのだろう。


まっしろなキャンバスに一点でも黒があるとそこばかり目立つ。

触りたいのに触りたくない。

イライラするのは、目的なく描いて全てがボヤけたままなのが不快で、紙を破り捨てたくなるのだろう。



まっしろなこの中に、これから何か描けるのかもしれないなと、無理に描くのをやめてそっと筆をおろす。

この穴に、そのうち色が入りますように。



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