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雑記:幻想文学にときめく

土曜日、大型書店にて。
また心をくすぐられる本を見つけてしまった。

その名も『新編・日本幻想文学集成』シリーズ。本棚を見る限りでは9巻まであった。
堂々の第1巻は全756ページ。

そこには安部公房を含む4名の作家の作品が48編も収録されている。
よ、よんじゅうはちって豪華すぎない?

安部公房、大好きなくせに「あなた、幻想文学っていうのね!」とメイちゃんみたいな感想を抱いた。てっきり不条理文学だとばかり……。

また装丁が画集っぽくてツボ。
そして、帯。帯の文言がたまらないです。

幻戯の時空
虚構の論理で異世界を捏造する現代の四作家
『新編・日本幻想文学集成』の帯より

恥ずかしながら「幻戯」という語句が初見で、造語かしら?厨二的な響きが最高じゃ〜と大興奮。
しかし造語ではなく漢和辞典によれば奇術(手品)を意味するらしい。
しかも江戸川乱歩で『化人幻戯』、中井英夫で『幻戯』という作品があるのね?

虚構の論理で異世界を捏造、このフレーズも強い。強すぎる。なんかもうドイツ語で詠唱が聞こえてきそう。メガネをかけて聖書的なのを持って、魔法陣の上に立ってるキャラクターが浮かんでくる。

……はぁ、幻想文学で妄想がはかどりますわ。🤡笑

別の巻もコピーが自分好みの表現すぎてゾクゾクした。以下、一部抜粋。

・虚実のあわいを縫う迷宮
・騙りの力により宇宙を創出する
・ノスタルジーと夢魔を宿す

このコピーを作ったひとは私の脳を覗いたのか?と思うくらい、ツボを刺激してくる。
「縫う・あわい・騙り・宿す?」
自分の詩でも使ったことある表現だ!とひっそりニンマリ。(マスクしててよかった)

なんなんでしょう、こんな強烈に惹かれるの。

もとはと言えば『黒死館殺人事件』と『虚無への供物』を探しに来たのに。
2つとも見当たらなくて、もしかして?と思って青空文庫(文学作品を無料で読めるサイト)内で検索したら『黒死館殺人事件』は見事に収録されていてウキウキ。しかし『虚無への供物』は収録されていないようでしょんぼり。
じゃあせめて(虚無〜の作者である)中井英夫氏の別作品はないかしら?と思って書店内の検索システムを使ったら「幻想文学コーナー」という恐ろしく魅力的な棚にたどりついて、あなたに出会ってしまったのよ。で、お値段はいかほどなの?

わぁ、たかぁい。

税込で5500円かぁ。
48編も入ってるならむしろお得なのかなぁ、コスパの問題をクリアしたとして収納はどうしようかなぁ、と迷っているうちに店内では蛍の光が流れはじめる。

あああ、優柔不断のせいで。

そして帰宅してからずっとAmazonを眺めている。中古なら税込3850円プラス送料かぁ……。

さらに改編される前の旧版?なら大学図書館にあるよ、と夫の声。

な、なんと。

でもでも、正直あの本屋さんで、あの本を買いたいような気がしている。
誰の所有物でもない新品を大事に手にとって、ワクワクしながらページをめくりたい。
ときめきに由来するため息をもらしながら、本を閉じて余韻に浸りたい。

こんなに欲求のままに生きていいのかなぁ、と思いながらも明日体調が良ければまた例の本屋さんを覗いてみようかな、と考えている。

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