vivie

詩、感想文、自己分析など…形態を問わず自由に書いています。 BPDとBDは人生の課題…

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詩、感想文、自己分析など…形態を問わず自由に書いています。 BPDとBDは人生の課題。 道に迷ってばかりだけど、自分のペースで歩いていきたい🐾

マガジン

  • 人生学習帳

    BD(双極性障害)、BPD(境界性パーソナリティ障害)、愛着関連、自己愛関連の記事をまとめています。

  • じゆうちょう

    雑記や液タブで描いた絵をまとめています。

  • 発話集

    たまには音声で伝えたいときもある……そんな記録。

  • 戯言感想帖

    購入した本をなんとなく紹介したり、読んだ本の感想を自由気ままに書いたりしています。漫画も含みます。

  • 遊言集

    自作の詩をまとめています。

最近の記事

詩「膠着」

復讐心を餌に悪意が膨らんで弾けた 臨界点を迎えたら 流れ出たのは涙だった 怒りの裏に潜むのは かなしみだった そんなこと本当は知っていた 黒いヴェールを纏ったかなしみは 自分の輪郭を極限まで薄め 怒りと同化した 何もかもが憎くて 無視は否定だと認知する 増幅される歪みのなかで また自分の感情を失っていく 羽交締めにされて 麻痺していくのは身体だけではなく 心に温度がない 指先はどこまでも冷たく がらんどうの瞳は 未来を映さない いま、から逃走を企てて どこへ行こ

    • 詩「捜索」

      驟雨の如し葛藤を防ぐ傘は どこにあるのか 振り分けた白と黒 善人と悪人を生みだす判定は 容易に入れ替わる 二項対立の円環を閉じる留め具は どこにあるのか 反芻するパターンの先の 失望にそっと目隠しをして 苦悶の末、獲得した 緊張感を雲散させる環境 内なる扉をノックし、 確認する不在の事実 空白をみつめなおすうちに 探しものは見つかるだろうか 鉄塔からのびる五線譜に 夕闇が流れ込み、 美しい不穏を奏でだす 細く湾曲した月は 善悪に依らない 中立の面持ちで休符役を

      • 詩「迂回」

        心もとなさに気づかぬよう ため息さえ殺して 温もりに魅入られぬよう 肌を刺す冷たさを ありのままに全身でうけとめ 爪の余白を押し広げるうちに あっけなく粉状になる甘皮の儚さを見つめ 時計からは目を背ける 透き通るような歌声に 思いがけず緩む涙腺 もう戻らない時間が流れ込む 画素の粗い記憶 うっかり焦点が合うまえに 音楽をとめて唇を噛む これはベースコートが乾くまでの 小さな寄り道 色を薄く塗り重ねたら 輪郭を縁取るのも忘れずに ほら、僅かな隙間から剥がれてしま

        • 詩「黙視」

          音もなく しかし果てしなく 延焼する罪が心を焼き尽くす 灰で埋められ、詰まる血管を黙視する 苦し気に律動してみせる器官に 指を這わせ、耳をそばだて 爆ぜそうな脈を味わい そっと唇で撫でて 純粋を装った桜色の爪を突き立て紅潮する頬 無様な裂け目から 際限なく噴き出るのが花弁ならば わかりやすく奇術めいているが かような変身は 幻想のなかでのみ実現することを 知ってしまっている 自らを欺く秘術への傾倒 禁じられたダブルイメージ 減少する細胞が躍動する 押し流され、確実

        詩「膠着」

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          20本
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          5本
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          0本
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          24本
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          178本

        記事

          詩「回帰」

          それが自己身体に舞い戻るたび 少女はまたひとりになる 頼りなくも移行していたはずの対象愛は わずかな掛け違いから色を やがて輪郭すら失って 対象ではなく ふたたび自己に向かうリビドー 境界線を溶かさずに ひとつの個としてともに在る難しさよ 関係という見えざる薄い板を ともに運び続ける難しさよ 数多の不可能性に誑かされ 折れそうになる直前に 眼前に広がる優しい記憶の手触り 自己と対象の間を揺れ動くリビドー あなたを、わたしを 優劣をつけずに大切にする方法を 探して

          詩「回帰」

          狭間

          夜と朝の狭間 はじめて出会った時刻を 異なる季節のなかで懐かしむ 噛みついて刻んだ傷はそのままに それでもこの手を握り返してくれる指先は 一層深く私を探り、澱みを払って 常夜灯の下 待ちわびるのは暗順応 五月蝿い羽音がまどろみを遮断する いつだって種を撒くのは粘着と騙り 蹴散らさない優しさが憎くて 棘だらけの蔓で締め上げたいのに 指を絡めて、潤んだ瞳で 声帯を震わせられたら 身動きできなくなるのはこちらで 生まれたての悪意は緩やかに死んでいく 夜と朝の狭間で 薄

          夜景

          裸眼で見つめる夜景はひどく滲んで 本来のかたちなど露ほども分からないのに 正しく見えないほうが美しい気がして ただ光が自由に揺らめいて 川があると思しき場所に映り込む もう空も水面も大差ない ただ漆黒を柔らかく切り裂いている 多様な色があるだけのこと カーテンを閉めてもなお侵入を試みる いささか図々しいその眩さは 閉じようとする世界をこじ開け 夜の延長に成功したのだった

          相殺

          冬特有の物悲しさ あるいはうら寂しさをかたどって 寒空いっぱいに放たれた鈍色の雲を みつめていると頭重感は増し 心まで何かに容易く覆われ、ざわめく 切れ間から射す黄金色の光は あまりにも淡く 明滅する命のようで 愛しさと忌々しさが拮抗して、爆ぜる オルゴールに耳を澄ませば 一音、一音を弾く歯車の丁寧な仕事に 浄化の予感を察知するが 何かを振り切って隆起した不安を あっさりと打ち消すのは なぜか可哀想で悔しくて どうにか薄めた復讐心を甦らせるために ひどく不快なものをわざ

          沈黙

          朝方までたしかにあった温もりは冷気に変わり 高い天井の下に取り残され、ひとり 生皮をゆっくりと剥ぐような 別離の痛みは久々で これだから依存はだめなんだ、と 名づけを拒否する感情をアルコールで押し流す また同じレールをつま先立ちで歩いている かなしい予感と錯覚に熱く見つめられても 意地でも視線を合わせずにいる このささやかな抵抗を 冷蔵庫の駆動音だけが見守る 土曜日の夜 https://note.com/preview/nb68001cae755?prev_acces

          鮮明

          閉店してから20年が経つ 居酒屋のシャッターの鍵は もう随分と黒ずんで ギギ、と耳障りな音を立て 止まった時間を解放した ところどころ縮れた 縄のれんが頬に触れ 横開きの扉はことのほか カラカラと軽い音を立てる 幻を見ているのだろうか 目の覚めるような真っ赤なタートルネックに 黒のベストを着て 淡い水色のデニムを履いた祖母が カウンターで突っ伏し 座敷では 藤色の長袖ポロシャツと 黒のスラックスを合わせた祖父が 仰向けで微動だにせず眠っていた 身を粉にして働き続け、

          詩「魅了」

          小さな懸念を数珠つなぎにして 大事に抱えてしまった結果 タナトスの侵入をゆるし 不安が暴れる夜 眠りは見事に妨げられ 積んだものを丁寧に破壊したくなる衝動と 暗闇のなかで見つめ合う 惹かれ合う根拠のない因果は ただのこじつけで 回避という悪癖を助長するだけ わずかに光る出口に手を伸ばしながら 足を動かさないのは 馴染み深い挙動だと知っている 分かりきったこたえの整列 張り詰めた夜空にひとりきりで輝く 満月が妖しく美しいから 魅入られたまま静止していたい

          詩「魅了」

          詩「抱擁」

          同じ景色を共有し 流れる涙を重ね合わせた刹那 あらゆる輪郭が曖昧になりはじめ 古の融合願望が呼吸を取り戻す それがある側面においては 成長を阻む引き金になろうとも 内側から溢れだす純然たる悦びを 封じることはもうできそうにない つけ根の脈をさらうように 指を深く深く絡め、生を確認すれば 豊かな睫毛に縁どられた 硝子玉のような瞳に捕縛され 本能の開眼と理性の降伏 赤錆だらけの南京錠さえ、音もなく外れ 「あなたといると私を象る境界線がもどかしい」 抑えきれない本心がとめ

          詩「抱擁」

          詩「再生」

          ぽとり、と どこからか落ちてくる一滴の不安は 目を凝らすほど じわり、と大きなにじみを生む 油断すれば瞬時に折り重なる 過去―いま―未来 心のレンズは微小な共通点を拡大し 全ての景色を同一視したがる 限りなく類似性を感じて ときに恐怖を覚えたとしても 個々の事象は別物であって とりまく環境はもう違うのだから ひとまず深呼吸 茨を踏みしめる足裏は 幾度となく出血に咽び、苦痛に喘ぎ その皮を無様に散らしては 卑小な存在を叫んだ 寒空に吸い込まれる号哭と 失笑を買う変化へ

          詩「再生」

          詩「飼育」

          遠くの方で空を裂く飛行音と たどたどしく電子のキャンバスを掻く音が 鼓膜のなかで捻れても 騒々しく飴を噛み砕く音が それらをあっさりと定位置に戻す 固着した口唇期の証明 実際の距離にかかわらず 対象を心に描く練習は容易くはなくて 留め置くためにあらゆる手がかりを求め 忙しなく過去といまを往復すれば 軽々しく手を振った記憶と 重々しく手をまわした記憶の継ぎ目が滲み 露呈する愛着の生成過程 静寂を飼い慣らす誓いを 易々と破っていく薄弱な意志を 荒々しく咎める批判屋はもはや劣

          詩「飼育」

          詩「色彩」

          私だけを見て、 そう叫びたがる幼さを殺したくて ひとまず閉じることにしたのに 丸めた背ごと包むような 柔らかさが鍵となって 殻の内部に愛しい声が反響して 結局ふたりで呼吸することを望んでしまう 同じことを繰り返しながら 違う不安を抱きながら それでもまた還りたくなる その腕のなかに 形容できない虚しさを ひとりで抱きしめていた頃には もう戻れない それは新たな絶望の胚胎か 毒の糸を吐いて、編んで 身を包んでいれば 穏やかな孤独に安住できるのに その笑顔が、香りが、

          詩「色彩」

          詩「法則」

          潰えていく気概を傍観する 吹けば飛んでいってしまうような安寧が 努力の交換により成立しているなら 真顔で手を振る瞬間から 緩やかに死滅していくのだろう 注がれる優しさすら むずがってしまうのは そんな資格などないと分かっているから それでいて 事実を詳らかにする勇気など微塵もなく 面を変え、名を変え、 狡猾に微笑んで 繰り返す過ちの予見から 自責の泉に身を投げても 無様に手をあげ、声をあげ 結局は助かってしまう 裁かれるのを待ちわびながら 延命措置を自ら施す業の深さ

          詩「法則」