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04. ドアノブ

手元に鍵があるのに、目の前のドアが開けられなくて困ったことはあるだろうか。私は人生で二度ある。今回は一度目に起きた時の話をしたい。

これは私が初めてヨーロッパ生活を始めたときに起きた。
下の画像を見てほしい。わたしはこのドアの前で、夕方日の入りに迫る中、焦っていた。どうしても開けることができない。

ドラえもんの手のフォルムのドアノブ

まず鍵を入れ回しカチッと音が鳴る。そしたらノブに手をかけて開けたいところだが、このドアノブは絶対に回らなかった。回る気配もない。これは鍵が最初空いていて、わたしが施錠してしまったのかもしれない。反対側に回す。カチッと鳴るがなにも起きない。静かにより焦り始めた。

先にこのドアを開ける方法を説明すると、鍵を時計回りに2周まわし、鍵がこれ以上回らない手ごたえになったところでさらに鍵をグッとさらに回そうとすると、ドアのストッパーが引っ込んで、ドアが開くのだ。ドラえもんの手の部分はどう押しても引いてもひねってもなににもならない、ただの金属塊だ。

スペインのドアノブ

まあ、この仕組みを知らず、誰かに尋ねようにもだれも通りかからない。スマホもまだネットにつながっておらず、鍵をくれた事務所は私が鍵を受け取ったすぐ後に閉めていた。自分で考え得るすべてを試すしかない、そうでないとこのまま夜が来る。必死になっていると、やっとドアは開いた。

内側には捻れるドアノブが付いていた

ドアノブひとつでこうも違うとはさすが異国。まだ学生だった頃の私のヨーロッパ生活はこのようにして始まったのだった。

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