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沖縄渡航にパスポートが必要だった!? 首里城復興と本土復帰50周年を迎える沖縄の今

今年でアメリカからの本土復帰50周年を迎える沖縄。50年前は沖縄に行くのにパスポートが必要で、通貨もドル。車は右車線を走っていたといいます。今の沖縄しか知らない私たちからしたら驚きですが、沖縄に住んでいた人たちは本土の人たちから返還後も「日本語が話せるのか」と揶揄されることもあったのだとか。2年前、私が沖縄旅行をしたときに知り合いになった沖縄を拠点に活動する2人組ボーカルグループ「5th Elements」に、当時の沖縄のこと、2019年に焼失した首里城のことなどを聞いてみました。

「そばを通ったら焦げ臭かった」首里城焼失から3年たった今

首里城が焼失したのは2019年10月31日。火災の原因は不明ですが、漏電から火災につながったのではないかといわれています。当時、沖縄を拠点に活動する2人組ボーカルグループ「5th Elements」のYUさんとA-RAさんは、ライブのために東京を訪れていて、朝起きたニュースで首里城が燃えていることを知ったといいます。

今日あるからと言って明日もあるとは限らない

沖縄在住の5th Elementsの2人にとって首里城とは、子どもの頃からあり遠足などで必ず行くため「そこにあって当たり前」のものだったといいます。それが火事で焼失してしまったことで「あって当たり前ということはないんだ」ということを改めて感じたそうです。
コロナ禍ということもあり、5th Elementsの全国ツアーは中止、ライブも開催できない。複雑な心境だったといいます。

実は、私が首里城について詳しく知ったのは2020年12月、5th Elementsのお二人と会って話を聞いたことがきっかけ。私も首里城のことは知っていたものの、観光名所の1つとしか考えていませんでした。5th ElementsのA-RAさんが語る首里城の歴史や、沖縄の人たちにとってどれほど思い入れのあるものだったのかを聞き、改めて首里城に興味を持ち、翌日訪れることに。

「海がきれいな観光地」から「歴史を学ぶ旅」へ

今までは「世界遺産として登録された観光名所」としか見ていなかった首里城ですが、沖縄独自の素材を使っていたり、伝統技法を受け継いでいる人がほとんどいないことから復興がかなり難しいこと、過去に4回も焼失しながらも不死鳥のごとく再建され続けてきたことなど、首里城の歴史の一部を知ることができました。また、5th Elementsを始め沖縄出身のアーテイストなどが集まり、首里城の復興ソング「SYURI NO UTA」を手掛けてその収益を復興支援に充てていることなども話してくれました。

今回、2022年11月3日に首里城正殿起工があることもあり、改めて首里城の今を伝えたいということで、CHANTO WEBで記事にすることにしました。沖縄や首里城に関心のない人からしたら、「一地方のこと」となってしまうかもしれないこの話を、しっかりと耳を傾けて多くの人に伝えたいという思いをくみ取ってくれた編集部の方々に感謝します。

本土復帰50周年を迎えた沖縄。返還当時は……

今回改めて5th Elementsのお二人にお話を聞いたことで、沖縄本土復帰50周年を節目にアメリカ軍に占領されていたときの沖縄の話も、直接聞くことができました。
それによると、沖縄県から他の県にいく際にはパスポートが必要で、通貨も円ではなくドルだったといいます。沖縄が日本に変換された日は、日本本土からたくさんの円が運ばれたそうです。また、今まで右車線で走っていた車が左車線に戻ったことで、こちらも大変だったんじゃないかと思います。それに合わせて道路標識を変えたりもしたそうです。

アメリカから日本に返還されたといっても、沖縄の人たちの中には複雑な気持ちがあったかもしれません。というのも、沖縄は1429年から1879年まで450年間続く琉球王国だったため、独自の国家だという意識を持った人たちもいたんじゃないかと推測します。そう考えると、沖縄の人のアイデンティティというのは、琉球王国なのかアメリカなのか日本なのか、すごく複雑なところがありそうです。

私の中での沖縄は「海がきれいな観光地」というイメージが強かったのですが、5th Elementsとの出会いをきっかけに、首里城のことや沖縄の歴史の一部に触れることができました。沖縄には基地問題、サンゴ礁問題、貧困問題、いろいろありますが、単なる観光地としてだけではなく、そういった問題にも目を向けていきたいなと思います。

沖縄観光に行く人は、出かける前にぜひ一度記事に目を通していただければと思います。沖縄の見方が少し変わるかもしれません。



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